シュレーディンガー方程式 Schrödinger


|| 量子力学の根拠になってる保存則っぽい式

実態は「よく分かんないけど正しい式」です。

『意味を与えられた』結果、使える感じに。

スポンサーリンク

 

 

 


目次

 

量子とかの話 <<最初の

ヒルベルト空間 <<計算のルール集

 

エルミート演算子 <<実数にするためのあれこれ

物理量演算子の行列表示 <<行列の中身のあれ

 

最小作用の原理 <<中間の感じ

波動関数 <<波っぽい関数

 

 

 

シュレーディンガー方程式「最も分かりやすい基礎方程式」

ハミルトニアン「位置と運動量を変数に持つ関数」

 

 

基礎方程式「量子力学の根拠になる式」

 

   シュレーディンガー方程式の導出「波動方程式に E を代入」

   時間依存の方程式「時間の変数がある場合」

 

 

ボルンの規則の導出「波動関数に求められる性質」

 

   意味「無意味な式に意味を見出す」

   エネルギー「エネルギーの式にしてみる」

   波形「波の形を全部表せるようにしたい」

   期待値「期待値を導くってことにしてみる」

   確率「期待値を導くなら確率も導けるはず」

   シュレーディンガー方程式「方程式の本来の形」

 

 

無限井戸型ポテンシャル「最も単純な状況」

 

   一般解「波動関数を大雑把に決める」

   連続性「波動関数は連続関数」

   境界「ポテンシャルの境界で絞り込み」

   規格化「ボルンの規則の適用」

   「シュレーディンガー方程式の解」

 

 

 

 

 


シュレーディンガー方程式

 

|| 量子力学の基礎方程式の中で一番わかりやすいやつ

「発想」は別にして、これは数式的には出発点ですね。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle -\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}&=\displaystyle\frac{p^2}{2m} \\ \\ \displaystyle \begin{pmatrix} \displaystyle \frac{p^2}{2m}&\displaystyle U(x)\end{pmatrix}&=\displaystyle \hat{H} \\ \\ \\ \displaystyle \frac{p^2}{2m}\psi(x)+U(x)\psi(x)&=E\psi(x) \\ \\ \hat{H}\psi(x)&=E\psi(x) \\ \\ \\ \psi^*(x)\hat{H}\psi(x)&=\psi^*(x)E\psi(x) \\ \\ \psi^*(x)\hat{H}\psi(x)&=E\psi^*(x)\psi(x) \end{array}

 

こんなのなんですけど、

このように書かれ方自体はいろいろあって、

なにを基準に置くかで書き方は変化します。

 

 

 

具体的には、「発想」基準だと、

『波動方程式から導かれた』ことを強調して、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{p^2}{2m}\psi(x)+U(x)\psi(x)&=E\psi(x) \end{array}

 

このように書かれますね。

 

 

「意味」基準であれば、

『期待値を算出するようにする』ことを強調して、

 

\begin{array}{rlc} \psi^*(x)\hat{H}\psi(x)&=\psi^*(x)E\psi(x) \\ \\ \psi^*(x)\hat{H}\psi(x)&=E\psi^*(x)\psi(x) \end{array}

 

このように書かれます。

 

 

 

だいたいこの二つが基本形になってまして、

他の書き方はこれの派生と考えて特に問題は無いです。

 

 

 

例えば「時間」を考慮する場合だと

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \hat{H}\psi(x,t)&\displaystyle =iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(x,t) \end{array}

 

このように書かれますが、

これの雛型も基本形です。

 

 

基本形とは違う形ですが、

式変形して整理するとこうなります。

 

 

この辺り、詳しくは後で話します。

今はとりあえず、こういう感じ、

くらいに思っておけば大丈夫です。

 

 

 

 

 


ハミルトニアン

 

|| 位置と運動量で書ける関数の一般化

これは『位置・運動量を変数に持つ関数』のことで、

「エネルギー全体の値」とかを表す時に使われます。

 

 

主な役割は「定義」と「省略」ですね。

 

 

具体的には、

「エネルギー」っていう基本的な単位とかを、

『運動』『位置』だけで定義する、みたいな。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle H&=E_{\mathrm{total}} \\ \\ &=E_{\mathrm{kinetic}}+E_{\mathrm{potential}} \\ \\ &\displaystyle =\frac{1}{2}mv^2+mgx \\ \\ &\displaystyle =\frac{p^2}{2m}+mgx \\ \\ \\ \displaystyle H&=H(x,p) \\ \\ &=T+V \\ \\ &\displaystyle =\frac{p^2}{2m}+U(x) \end{array}

 

この「 H 」がハミルトニアンって呼ばれてます。

 

 

他の記号は慣例でして、

T は運動エネルギーを。

V は位置エネルギーを表しています。

 

 

V はポテンシャルって呼ばれることが多いですね。

特に深い理由はありませんけど、

こっちで書かれてる場合が多め。

 

 

 

ただまあ、 T+V の形じゃ

なんかよく分からんと思うので、

とりあえず見慣れた形を↓に書いときます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle H &\displaystyle =\frac{1}{2m}p^2+mgx \\ \\ &\displaystyle =\frac{1}{2}mv^2+mgx \end{array}

 

これは学校で習った物理でみかけるやつですね。

エネルギー保存の法則ってやつです。

 

 

 

 

 

一次元より上の次元の場合

 

↑のは「点」での話なので、

一応、「平面・立体」の場合も書いておきます。

 

 

まあ、そんな難しい話じゃありません。

『向き(ベクトル)』を考慮するだけですので。

 

\begin{array}{rlc} q&=\begin{pmatrix} x&y \end{pmatrix} \\ \\ p&\displaystyle =m\frac{dq}{dt} \\ \\ &\displaystyle = m\begin{pmatrix} \displaystyle\frac{\partial q}{\partial x}\frac{dx}{dt}&\displaystyle\frac{\partial q}{\partial y}\frac{dy}{dt} \end{pmatrix} \\ \\ \\ \displaystyle H(p,q)&\displaystyle =\frac{p・p}{2m}+V(q) \\ \\ &\displaystyle =\frac{1}{2m}\begin{pmatrix} \displaystyle\left(\frac{\partial q}{\partial x}\frac{dx}{dt}\right)^2+\displaystyle\left(\frac{\partial q}{\partial y}\frac{dy}{dt}\right)^2 \end{pmatrix}+V\begin{pmatrix} x&y \end{pmatrix} \end{array}

 

記号は慣例ですね。

q は位置を表すベクトルで、

p は運動量 mv を表すベクトルです。

 

 

ベクトルの中身は、

「位置」の場合だと (x,y) とか、

三次元の場合なら (x,y,z) とかになります。

 

 

 

運動量はちょっと特殊で、

例えば↓みたいに書かれることがあります。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle p&\displaystyle =iℏ\frac{d}{dq} \\ \\ \displaystyle H(p,q)\psi(q)&\displaystyle =\frac{1}{2m}\left(i^2ℏ^2\frac{d^2}{dq^2}\psi(q) \right)+V(q)\psi(q) \end{array}

 

これは「運動量演算子」の表示ですね。

これを使うと『変数を位置 q に限定』できます。

 

 

 

はい、とまあこんな感じで、

ハミルトニアンはこういう時に使われます。

 

 

使い道は主に「省略」です。

これ自体に意味は特にありません。

 

 

 

 

 


基礎方程式

 

|| 粒子のエネルギーから量子のエネルギーへ

これは『量子力学の数式的な基礎』ですね。

 

\begin{array}{rlc} E\psi(x)&=\displaystyle \hat{H}\psi(x) \\ \\ \psi^*(x)E\psi(x)&=\displaystyle \psi^*(x)\hat{H}\psi(x) \\ \\ \psi^*(x)E\psi(x)&=\displaystyle \psi^*(x)\begin{pmatrix} \displaystyle \frac{(iℏ)^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}&U(x) \end{pmatrix}\psi(x) \end{array}

 

現代では『量子の変化』についての根拠になってます。

 

 

これは厳密には

『古典力学のエネルギーの法則を拡張したもの』で、

 

 

具体的には「波動の式で粒子を考える」ことで、

『量子のエネルギーについての関係』

というのを考えた結果が↑なんですよ。

 

 

 

バリエーション自体は3つあって、

『ハイゼンベルグの運動方程式』とか、

『相互作用描像』とかがあります。

 

 

『シュレーディンガー方程式』は

あくまで「基礎方程式の一つ」です。

 

 

 

 

 

時間変化での記述の違い

 

基礎方程式というのは、

『時間』を考える部分で分岐しています。

 

 

具体的には、

↓みたいな数式はどれも基礎方程式なんですが、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(x,t)&\displaystyle =\hat{H}\psi(x,t) \\ \\ \displaystyle iℏ\frac{d}{dt}A(t)&\displaystyle =\left[ \hat{A}(t),\hat{H}(t) \right] \end{array}

 

『時間が固定されてる部分』ってのが違うんですよ。

例えばシュレーディンガー方程式なら、

観測可能量(?) A が固定されてます。

 

 

 

って言われてもよく分かんないと思うので、

ちょっとだけ説明しておきますね。

 

 

\psi(x,t) を波動関数、

t を時間とし、

\hat{A} を観測可能量(物理量)とします。

 

\begin{array}{rlc} \psi(t)&=e^{ i\frac{\hat{H}}{ℏ}(t-t_0)} \\ \\ \hat{A}(t)&=\psi^*(t)\hat{A}\psi(t) \\ \\ \\ \displaystyle \langle A \rangle &\displaystyle =\displaystyle \langle \psi(t)|\hat{A}|\psi(t) \rangle \\ \\ &= \displaystyle \langle \psi(t_0)|\hat{A}(t)|\psi(t_0) \rangle \\ \\ \\ \displaystyle \hat{H}(t)\psi(t) &= \displaystyle \psi^*(t)\hat{H}\psi(t)\,\psi(t) \\ \\ &= \displaystyle \psi^*(t)E\psi(t)\,\psi(t) \\ \\ &=\hat{H}\psi(t) \end{array}

 

観測可能量とかはこんな感じなんですけど、

この辺りはとりあえず後回し。詳しくは後で。

 

 

今はとりあえず、

A を『物理量』だと思っておいてください。

 

 

 

 

 

シュレーディンガー方程式の導出

 

『物質波』は覚えているでしょうか。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E&=mc^2 &=hν \\ \\ \\ p&=mc &\displaystyle =\frac{hν}{c} \\ \\ &&\displaystyle =\frac{h}{λ} \end{array}

 

「電子もまた波である」って感じの話なんですけど、

実はこの話から、基礎方程式は予想されるんですよ。

 

 

というのも、「物質」を『定常波』だと考えて、

「定常波の波動方程式」を考えてみるんです。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{2π}{λ}&=k \\ \\ \displaystyle k^2\psi(x)+\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \end{array}

 

「時間に依存しない式」として

こんなのが導かれたのを覚えてませんか?

 

 

 

で、これを式変形していくわけなんですが、

ここで『物質波』の式を使うと、

 

\begin{array}{rlc} p&\displaystyle =\frac{h}{λ} \\ \\ \displaystyle λ&\displaystyle =\frac{h}{p} \\ \\ \\ k&\displaystyle = \frac{2π}{λ} \\ \\ &\displaystyle =2π\frac{1}{\frac{h}{p}} &\displaystyle =2π\frac{p}{h} \\ \\ &\displaystyle = \frac{p}{ℏ} &\displaystyle \left( ℏ=\frac{h}{2π} \right) \end{array}

 

このように k を書き換えることができて、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle k^2\psi(x)+\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \\ \\ \displaystyle \frac{p^2}{ℏ^2}\psi(x)+\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \end{array}

 

こんな感じに、

『運動量』を「変数」として、

式に組み込むことができます。

 

 

 

ただこの式、どんな「意味」があるんでしょうか?

見た目、なにを表したいのかまったく分かりません。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{p^2}{ℏ^2}\psi(x)+\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \end{array}

 

てなわけで、この意味不明をどうにかするために、

とりあえず「エネルギー」を変数に加えてみます。

 

 

なんでそうするかについては、

一言で言うなら「単位合わせをしたい」って感じ。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle Eχ&=α \\ \\ E&=β \end{array}

 

「式の最終形・単位」を『エネルギー』で揃えて、

そこから「意味」を考えてみる、みたいな。

 

 

そういう流れで式の意味を考えていきます。

 

 

 

じゃあそのために具体的にどうすればいいのか。

それを考えてみると、

 

 

『運動量とエネルギーを変数に持つ式』

というのが必要なことがなんとなく分かりませんか?

 

 

「運動量を変数に持つ式」を

「エネルギーの式」にしたいので。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \textcolor{orange}{E}&\displaystyle =\textcolor{pink}{\frac{p^2}{2m}}+\textcolor{skyblue}{U(x)} \end{array}

 

となると、例えば『エネルギー保存の法則』とか、

こういうのが候補にきますよね。

 

 

でまあ、こいつはかなり有名ですし、

扱いやすい上に応用範囲も広いですから、

「要求を満たすもの」として非常に最適。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \textcolor{orange}{E}&\displaystyle =\textcolor{pink}{\frac{p^2}{2m}}+\textcolor{skyblue}{U(x)} \\ \\ E-U(x)&\displaystyle =\frac{p^2}{2m} \\ \\ \\ \displaystyle p^2&\displaystyle =2m(E-U(x)) \end{array}

 

なので採用し、

式変形のためにこのように変形して、

「運動量の式」から『エネルギーの式』へ変形。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{p^2}{ℏ^2}\psi(x)+\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \\ \\ \displaystyle \frac{2m(E-U(x))}{ℏ^2}\psi(x)+\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \end{array}

 

ここまで来れば、

後は単純な式変形をするだけですね。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{2m(E-U(x))}{ℏ^2}\psi(x)+\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \\ \\ \displaystyle (E-U(x))\psi(x)+\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \\ \\ \displaystyle E\psi(x)-U(x)\psi(x)+\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \end{array}

 

\begin{array}{llll} \displaystyle \textcolor{orange}{E}&=&\displaystyle \textcolor{pink}{\frac{p^2}{2m}}&\displaystyle +\textcolor{skyblue}{U(x)} \\ \\ \displaystyle \textcolor{orange}{E}\psi(x)&=&\displaystyle \textcolor{pink}{-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2 }{d x^2}}\psi(x)&\displaystyle +\textcolor{skyblue}{U(x)}\psi(x) \end{array}

 

するとまあこんな感じに、

『なんかいい感じの式』が得られます。

 

 

 

結論から言うと、

これが「シュレーディンガー方程式」です。

 

 

厳密にはまだ違うんですが、

それは「仮説」か「実証済み」かの差なので、

式の見た目だけではわかりません。

 

 

 

というのも、

これは『数式上は正しい』もので、

「エネルギー」を基準にして求められただけ。

 

 

分かってるのはただそれだけで、

他のことはなーんにも分かりません。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \textcolor{orange}{E}\psi(x)&=\displaystyle \textcolor{pink}{-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2 }{d x^2}}\psi(x)\displaystyle +\textcolor{skyblue}{U(x)}\psi(x) \end{array}

 

「エネルギーの式っぽい」けど、

そもそも、なにを求めたいのか。

どういう意味を持つ式なのか。

 

 

この段階では、まだ何も分かんないんですよ。

 

 

 

『エネルギーの平均を導く式』っていう

「計算結果についての意味」を持つ、

というのは何度か言っていますが、

 

 

これは後付けされたもの。

 

 

結果的にそうなっただけで、

式だけ眺めていても決して分かりません。

 

 

 

詳しくは後で話しますが、簡単に言うと、

実はこの式が導く「解のほとんど」は、

特に意味を持たないんです。

 

 

というのも、範囲があまりにも広すぎるんですよ。

宇宙の中で人が住める星を探すような、

なんかそんな感覚の式なんです、これ。

 

 

なのでその範囲を狭める操作が必要で、

そのアプローチの1つとして、

 

 

『意味のある計算結果』を導くとする

 

 

という方針・ルールが採用され、

結果「エネルギーの平均を導く」と、

そうなって、初めて意味を持ったんです。

 

 

そしてそんな感じのあれこれは、

この式単体を眺めていても分かりません。

 

 

まあですから、↑はまだ未完成なんです 

 

 

詳しくは↓で。

とりあえず、ここではなんとなく分かればOK。

 

 

 

 

 

物理量演算子

 

運動量演算子とかエネルギー演算子とか、

この辺りの用語について解説しておきます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \hat{p}&\displaystyle =iℏ\frac{d}{dx} \\ \\ \hat{H}&\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle \frac{1}{2m}(iℏ)^2\frac{d^2}{dx^2}&\displaystyle U(x) \end{pmatrix} \end{array}

 

結論を言っておくと、

これらの根拠は「シュレーディンガー方程式」です。

 

 

まあ、これはほんとそのままですね。

↓を見れば、まあそりゃそうだと思えるかと。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{p^2}{ℏ^2}\psi(x)+\frac{d^2 \psi(x)}{d x^2}&=0 \\ \\ \displaystyle \frac{p^2}{ℏ^2}\psi(x)&\displaystyle =-\frac{d^2 }{d x^2}\psi(x) \\ \\ \displaystyle p^2\psi(x)&\displaystyle =-ℏ^2\frac{d^2 }{d x^2}\psi(x) \\ \\ \\ \displaystyle \hat{p}(\hat{p}\psi(x))&\displaystyle =iℏ\frac{d}{d x}\left(iℏ\frac{d}{d x}\psi(x)\right) \\ \\ \displaystyle \hat{p}\psi(x)&\displaystyle =iℏ\frac{d}{d x}\psi(x) \\ \\ \\ \displaystyle \hat{p}&\displaystyle =iℏ\frac{d}{d x} \end{array}

 

運動量演算子はこんな感じですね。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \textcolor{orange}{E}\psi(x)&\displaystyle =\textcolor{pink}{-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2 }{d x^2}}\psi(x)+\textcolor{skyblue}{U(x)}\psi(x) \\ \\ \displaystyle \hat{H}\psi(x)&\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2 }{d x^2} & U(x) \end{pmatrix}\psi(x) \\ \\ \\ \displaystyle \hat{H}&\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2 }{d x^2} & U(x) \end{pmatrix} \end{array}

 

エネルギー演算子はそのままこんな感じです。

単にベクトルで表現してるだけ。

 

 

 

 

 

3次元への拡張

 

この形で書かれることも多いので、

念のため、紹介しておきます。

 

 

やることは「運動量 p 」を考えて、

3次元のベクトルを考えるだけですね。

 

\begin{array}{rlc} q&=\begin{pmatrix} x&y&z \end{pmatrix} \\ \\ \displaystyle p&\displaystyle =iℏ\frac{d}{dq} \\ \\ \displaystyle p&\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial x}&\displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial y}&\displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial z} \end{pmatrix} \end{array}

 

これを使って基礎方程式を書くと、

↓みたいな形に。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \displaystyle \psi(q)&\displaystyle =\psi(x,y,z) \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \textcolor{orange}{E}\psi(q)&\displaystyle =\frac{1}{2m}\textcolor{pink}{(iℏ)^2\frac{d^2 }{d q^2}}\psi(q)+\textcolor{skyblue}{U(q)}\psi(q) \\ \\ \displaystyle \textcolor{orange}{E}\psi(q)&\displaystyle =\frac{1}{2m}\textcolor{pink}{(iℏ)^2\left(\frac{\partial ^2 }{\partial x^2}+\frac{\partial^2 }{\partial y^2}+\frac{\partial^2 }{\partial z^2} \right)}\psi(q)+\textcolor{skyblue}{U(q)}\psi(q) \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \Delta&=\nabla・\nabla \\ \\ &\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle \frac{\partial ^2 }{\partial x^2} & \displaystyle\frac{\partial^2 }{\partial y^2} & \displaystyle\frac{\partial^2 }{\partial z^2} \end{pmatrix} \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \textcolor{orange}{E}\psi(q)&\displaystyle =\textcolor{pink}{-\frac{ℏ^2}{2m}\Delta}\psi(q)+\textcolor{skyblue}{U(q)}\psi(q) \end{array}

 

この辺は「偏微分」のあれですね。

座標を追っていけば言ってることは分かると思います。

 

 

 

んでこの場合、演算子は↓に。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle\hat{p}&\displaystyle =iℏ\frac{d}{d q} \\ \\ \displaystyle \hat{p}&\displaystyle =iℏ\begin{pmatrix} \displaystyle\frac{\partial }{\partial x} & \displaystyle\frac{\partial }{\partial y} & \displaystyle\frac{\partial }{\partial z} \end{pmatrix} \\ \\ &\displaystyle =iℏ\nabla \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \hat{H}&\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2 }{d q^2} & U(q) \end{pmatrix} \\ \\ \displaystyle \hat{H}&\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle -\frac{ℏ^2}{2m}\begin{pmatrix} \displaystyle \frac{\partial^2 }{\partial x^2} &\displaystyle\frac{\partial^2 }{\partial y^2} &\displaystyle\frac{\partial^2 }{\partial z^2} \end{pmatrix} & U(q) \end{pmatrix} \\ \\ &\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle -\frac{ℏ^2}{2m}\Delta & U(q) \end{pmatrix} \end{array}

 

一般化しようと思ったらキリがないですが、

3次元の場合だとこんな感じになります。

 

 

1次元以上で話をすることは多いので、

基本的にこっちを使うと思っておいてください。

 

 

 

 

 

時間依存のシュレーディンガー方程式

 

↑では「定常波」で求めてみましたが、

実は『全ての波』に範囲を広げても、

シュレーディンガー方程式は導くことができます。

 

 

さっそく計算してみましょうか。

「波動方程式」「光量子仮説」「物質波」を使います。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =-ω^2 \psi(q,t) \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial q^2}&\displaystyle =-k^2\psi(q,t) \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \displaystyle E&=mc^2&=hν \\ \\ p&=mc&\displaystyle=\frac{hν}{c} \\ \\ \displaystyle λ&\displaystyle =\frac{h}{p} \end{array}

 

流れは定常波の時とだいたい同じです。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(q,t)&\displaystyle =r\,e^{i(ωt-kq)} \\ \\ \displaystyle \psi(q,t)&\displaystyle =r\,e^{iωt}e^{i(-kq)} \end{array}

 

違うとすればこの部分ですね。

ここで「時間変化を除ける定常波」ではなく、

『全ての波』を考えます。

 

\begin{array}{rll} \displaystyle ℏ&\displaystyle =\frac{h}{2π} \\ \\ k&\displaystyle =\frac{2π}{λ}&\displaystyle =2π\frac{1}{\frac{h}{p}} \\ \\ &\displaystyle =2π\frac{p}{h}&\displaystyle =\frac{p}{ℏ} \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle ν&\displaystyle =\frac{ω}{2π} \\ \\ E& = \displaystyle hν&\displaystyle =h\frac{ω}{2π} \\ \\ \\ \displaystyle ω&\displaystyle =\frac{E}{ℏ} \end{array}

 

変数も、角速度 ω を考える部分は違いますね。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial q^2}&\displaystyle =-k^2\psi(q,t) \\ \\ &\displaystyle =-\frac{p^2}{ℏ^2}\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =-ω^2\psi(x,t) \\ \\ &\displaystyle =-\frac{E^2}{ℏ^2}\psi(q,t) \end{array}

 

以上、材料は揃いました。

後は式変形して整理してみます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle -\frac{p^2}{ℏ^2}\psi(q,t)&\displaystyle =\frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial q^2} \\ \\ \displaystyle p^2\psi(q,t)&\displaystyle =-ℏ^2\frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial q^2} \\ \\ \displaystyle p(p\psi(q,t))&\displaystyle =iℏ\frac{\partial }{\partial q}\left(iℏ\frac{\partial }{\partial q}\psi(q,t)\right) \end{array}

 

運動量はこう。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle -\frac{E^2}{ℏ^2}\psi(q,t)&\displaystyle =\frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2} \\ \\ \displaystyle E^2\psi(q,t)&\displaystyle =-ℏ^2\frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2} \\ \\ \displaystyle E(E\psi(q,t))&\displaystyle =iℏ\frac{\partial }{\partial t}\left(iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t)\right)\end{array}

 

角速度はこうで、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle p\psi(q,t)&\displaystyle =iℏ\frac{\partial }{\partial q}\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle \hat{p}&\displaystyle =iℏ\frac{\partial }{\partial q} \\ \\ \\ \displaystyle E\psi(q,t)&\displaystyle =iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t) \end{array}

 

まとめるとこうですから、

基礎方程式は↓みたいに。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E\psi(q,t)&\displaystyle =iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle \hat{H}\psi(q,t)&\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle \frac{p^2}{2m} & U(q) \end{pmatrix}\psi(q,t) \\ \\ \\ \displaystyle \hat{H}\psi(q,t)&\displaystyle =\begin{pmatrix} \displaystyle \frac{1}{2m}(iℏ)^2\frac{\partial^2 }{\partial q^2} & U(q) \end{pmatrix}\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle \hat{H}\psi(q,t)&\displaystyle = -\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,t) + U(q)\psi(q,t) \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E\psi(q,t)&\displaystyle =\hat{H}\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,t) + U(q)\psi(q,t) \end{array}

 

はい、ちゃんと良い感じの式が導けましたね。

E の部分には違いがありますが。

 

 

 

導出の時点では

これはまだ仮説の段階です。

 

 

ただまあ、すでに昔の人がいろいろ調べていて、

これが正しい計算結果を導くことは判明しています。

 

 

 

確認しておくと、

順序は『仮説』→『実証』→『正しい』です。

導出の段階は『仮説』の段階になります。

 

 

 

 

 


ボルンの規則の導出

 

これは「式の意味」を考える過程で、

『必要になる性質』として導かれたルールです。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,t) + U(q)\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle E\psi(x,t)&=\hat{H}\psi(x,t) \\ \\ \displaystyle E\psi&=\hat{H}\psi \end{array}

 

そもそもこれが何を求めたいのか。

この式だけを見ても意味分かんないですよね。

 

 

波動関数 \psi が『波を表してる』として、

だからなに? って話じゃないですか。

 

 

せっかく『粒子の性質』を

『波の式で表すことができた』のに、

肝心の式自体が意味不明。

 

 

 

式から算出される値にしても、

 

E\psi(x,t)

 

これは「複素数全体」を表しているだけで、

特に意味のある値を導くわけではありません。

 

 

まあつまるところ、

これには『特に意味はない』わけで、

なんか複素数の値になる、ってことが分かるだけ。

 

 

すごく味気無いです。

せっかく良い感じの式が得られたのに、

それには特に意味が無いってのは、なんか・・・

 

 

 

とまあそういうわけなので、

どうにか『意味を与える』ために、

 

 

どうにかしてみよう!

 

 

とまあそんな感じで、

昔の人は知恵を振り絞ったわけですね。

 

 

 

 

 

意味を与える

 

基本に立ち返って考えてみましょうか。

まず事実を確認してみます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,t) + U(q)\psi(q,t) \end{array}

 

↑は「エネルギーについての式っぽい式」です。

加えて各変数には、とれる値の制限がありません。

 

 

特に \psi(q,t) は全ての複素数になり得るので、

なんの値でもとれてしまいます。

 

 

つまり方程式として解く場合、

位置・時間のどちらを固定しても、

\psi(q,t) の値の範囲を制限できないんです。

 

\begin{array}{rlcc} \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,t) + U(q)\psi(q,t) \\ \\ \psi(q,t)&=\textcolor{pink}{r}\,e^{iωt}\,e^{-ikq} \\ \\ \\ \\ t=c \\ \\ \\ 0&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,c) + U(q)\psi(q,c) \\ \\ \psi(q,c)&\displaystyle =\frac{1}{U(a)}\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,c) \\ \\ \\ \\ q=a \\ \\ \\ \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(a,t)&\displaystyle =0 + U(a)\psi(a,t) \\ \\ \psi(a,t)&\displaystyle =\frac{1}{U(a)}iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(a,t) \end{array}

 

\psi(q,c)\psi(a,t) も、

任意の実数を表す r がある限り、

値がとれる範囲は複素数全体のまま。

 

 

 

変数を両方とも固定してしまう

というのも考えられますが、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle 0&=0+U(a)\psi(a,c) \\ \\ U(a)\psi(a,c)&=0 \end{array}

 

そうすると、単なる定数の等式になるだけ。

意味のある解は導けません。

 

 

 

 

 

どこかを固定するしかない

 

「どこかを固定」しないことには

『意味のある計算結果』を導けそうにありません。

 

\begin{array}{rlc} \psi(q,t)&=\textcolor{pink}{r}\,e^{iωt}\,e^{-ikq} \end{array}

 

それが事実から分かったことで、

特に任意の実数 r がすごく邪魔な気がします。

 

 

 

結論から言っておくと、

『意味を与えるため』に、

この任意の実数 r を制限します。

 

 

具体的には、

『エネルギーの期待値 \overline{E} を導くことにする』ために、

\psi をどうにかして 1 にする』ことによって。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E\,χ(\psi)&=\overline{E} \\ \\ \displaystyle χ(\psi)&=1 \\ \\ \\ \displaystyle E\int\psi^{*}(q)\psi(q)\,dq&=\overline{E} \\ \\ \displaystyle\int\psi^{*}(q)\psi(q)\,dq&=1 \end{array}

 

式としてはこんな感じですね。

 

 

 

なんで↑にするかは後で話すとして、

このように「波動関数の役割」っていうのを、

 

 

『確率に関連するものに限定する』ことで、

任意の実数 r の値を制限します。

 

 

 

これはもちろん

↓以外の方法でも良いかもしれません。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E\int\psi^{*}(q)\psi(q)\,dq&=\overline{E} \\ \\ \displaystyle\int\psi^{*}(q)\psi(q)\,dq&=1 \end{array}

 

なにせ実際のところ、

「波動関数の絶対値の2乗を 1 にする」以外にも、

r を制限する方法はいくらでも思い付きます。

 

 

 

ただ、これ以外の方法には

『意味を与える指針』ってのがありません。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E\int\psi^{*}(q)\psi(q)\,dq&=\overline{E} \\ \\ \displaystyle\int\psi^{*}(q)\psi(q)\,dq&=1 \end{array}

 

というのも↑のやり方は、

『エネルギーを導くことにする』というような

分かりやすい指針を持っています。

 

 

しかしぱっと浮かんだものはどうでしょうか?

そういう「指針」はありますか?

 

 

無いですよね。

まあ、要はそんな感じで、

 

\displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t)=-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,t) + U(q)\psi(q,t)

 

目的をあくまで『意味を与えること』とするなら、

ただ r を制限するだけのルールに意味は無いんです。

 

 

なので r を制限するやり方には、

そういう「意味を与える指針」が必要になります。

 

 

 

とまあこの辺りの話はこんな感じなので、

ここからは『 r を制限する理由』について、

その目的を考えつつ見ていこうと思います。

 

 

まあ結論としては↓になるんですが、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle χ(\psi)&\displaystyle =\int_{\mathrm{all}}\psi^*(q,t)\psi(q,t)\,dq \\ \\ & =1 \end{array}

 

この『意味のある値を導ける条件』を

どのようにして見つけるのか。

 

 

このあたりがよく分かんないと思うので、

↓で説明していきます。

 

 

 

 

 

量子のエネルギーを表したい

 

『式への意味付け』は当然大事なんですけど、

『複素数の意味付け』も実は大事です。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(q,t)&=r\,e^{i(ωt-kq)} \\ \\ z&=r\,e^{iθ} \\ \\ &=r\,(\cosθ +i\sin θ) \end{array}

 

無意味になる原因となってるのは、

複素数全体を表してしまうこれ。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(q,t)&=r\,e^{i(ωt-kq)} \end{array}

 

確認しておくと、

変数 q,t がなんの値をとったとしても、

任意の実数 r が、値の範囲を全体に広げます。

 

 

そのためこのままの状態では、

『意味のある値』を導くことができません。

 

 

まあつまり、

これはこのままの形じゃだめなんですね。

 

 

 

じゃあどうすればいいのか。

ちょっと考えていくわけですが、

 

 

「意味」となると、まず「 0,1,2 」などの、

『意味を持ち易い基本的な値』が思い浮かびませんか?

 

 

 

というのも、数値的に意味を持ち易いのは、

0,1,2 の3つがほとんど。

 

 

例えば「量を表す単位」とかは全部 1 ですし、

『基準』としての在り方はすごく実感できると思います。

 

 

0 も似たようなもので、

これは無いってことを表現する場合が多いですね。

あるいは原点などの、出発点・基準点を意味します。

 

 

2 にしても、

1 とは違うもの」としての意味を持っていますし、

次元を拡張する場合とかで必ず出てきます。

 

 

とまあこのように 0,1,23 つの値は、

「意味」に近い位置にあるんですよ。

 

 

 

ちなみに他の数字ですが、

これらが意味を持つことは基本的にはありません。

 

 

稀に 3,5,9,12,60,100 辺りが意味を持ちますが、

これは極一部の例外ですね。

 

 

例えば 1 分は 60 秒、

1 時間は 60 分ですが、

これ以外で 60 が意味を持つことはほぼありません。

 

 

あったとしても、非常にローカルなものになるので、

共通認識としての意味にはならないでしょう。

 

 

 

以上、そういう感じなので、

「意味」を考えるために、

とりあえず波動関数にこれらをぶちこんでみます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E\psi(q,t)&=0 \\ \\ E\psi(q,t)&=E \\ \\ E\psi(q,t)&=2E \end{array}

 

するとこんな感じになりますが、どうでしょうか。

意味を見出せますか?

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E\psi(q,t)&=0 \\ \\ E\psi(q,t)&=2E \end{array}

 

0,2 はちょっと意味分かんないですね。

なんのことだかさっぱりです。

 

E×1=E

 

ただ、 1 の場合だけは、

なんか、意味を読み取れませんか?

 

 

というのも、これは見たまま、

「エネルギー」を表してませんか?

 

 

まあ、この時点ではそれだけですが、

これだけが、ちゃんと意味を読み取れます。

 

 

 

整理しておくと、

\psi(q,t)1 とするなら、

あるいは 1\psi(q,t) で表せば、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(q,t)&=1 \\ \\ \displaystyle χ\left( \psi (q,t) \right)&=1 \end{array}

 

式全体である E\psi(q,t) が、

『エネルギーの値を導く』っていう、

「意味」を持つことになります。

 

 

 

 

 

波の形と範囲の広さ

 

↑のように波動関数の値を決めてしまえば、

式が「意味」を持つことは分かりました。

 

 

しかし単純に波動関数 \psi(q,t)1 にする場合では、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle r\,e^{iθ}&=r(\cos θ+i \sin θ) \\ \\ &=1 \\ \\ \\ r\cos θ&=1 \\ \\ i\,r\sinθ &=0 \end{array}

 

このように r 以外に、

「変数のとれる範囲」もまた限定されてしまうため、

「式の意味の範囲」がすごく狭くなってしまいます。

 

 

 

なにより、

これでは『全ての波形』を表すことができません。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(q,t)&=r\,e^{i(ωt-kq)} \end{array}

 

確認しておくと、

r を変えても「波の形」は変わりません。

r は「波の大きさ・広さ」を変える実数です。

 

 

なので『波の形だけを保証したい』なら、

r が変わっても特に問題はありません。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle r\,e^{iθ}&=r(\cos θ+i \sin θ) \\ \\ &=1 \\ \\ \\ r\cos θ&=1 \\ \\ i\,r\sinθ &=0 \end{array}

 

しかし↑のように『変数が限定される』場合は、

「表現できる波の形」は制限されてしまいます。

 

 

 

つまるところ、

「単に波動関数 \psi(q,t)1 にするだけ」では、

『限定され過ぎてしまう』わけで、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle θ&=0+2nπ \\ \\ θ&=ωt-kq \end{array}

 

これではただの「エネルギー保存の法則」

 

 

 

あちらを立てればこちらが立たず。

この時点ではそんな感じなんですが、

 

 

『全ての波の形を表せる』ことを担保しつつ、

1 にすることができる』操作が存在すれば、

 

 

「意味」のために必要な要求を、

全て満たすことができます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle\int \psi^*(x)\psi(x)\,dx&=1\end{array}

 

でまあ、それがこれなんですね。

 

 

 

この「内積を 1 とする」操作は、

r を限定するために 1 にする』ことや、

『全ての波形を表す』ことを実現します。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle\int \psi^*(x)\psi(x)\,dx&=1 \\ \\ \displaystyle r^2\int_{0}^{\frac{2π}{k}} e^{-i(ωt-kx)}e^{i(ωt-kx)}\,dx&=\displaystyle r^2\int_{0}^{\frac{2π}{k}} e^{0}\,dx \\ \\ &\displaystyle =r^2\Bigl[\, x \,\Bigr]_{0}^{\frac{2π}{k}} \\ \\ &\displaystyle =\frac{2π}{k}r^2 \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{2π}{k}r^2&=1 \\ \\ r^2&\displaystyle =\frac{k}{2π} \end{array}

 

この操作は、変数に制限がかかりません。

しかし r にだけは制限がかかります。

 

 

そう、この操作を行ったとしても、

『全ての波形を表現できる』し、

その上で『 r の値を 1 にできる』んです。

 

 

すごい都合が良いですが、

そういう都合の良い操作を求めた結果、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle\int \psi^*(x)\psi(x)\,dx&=1\end{array}

 

これが見つかったんですね。

 

 

 

 

 

期待値と確率っぽい形

 

↑の操作が発見された経緯について見ていきます。

と言っても、これはそんなに難しくありません。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle Eχ(\psi)&=E \\ \\ χ(\psi)&=1 \end{array}

 

重要なのはこの「形」なんですけど、

なんか、すごく見覚えがありませんか?

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle Ep(x)&=\overline{E} \\ \\ \displaystyle\int p(x)\,dx&=1 \end{array}

 

『期待値』と『確率』を思い出してみてください。

この形とすごく似てると思いませんか?

 

 

 

 

 

 

1 の意味

 

整理しておくと、

χ(\psi) は『エネルギーにかけられている値』です。

 

Eχ(\psi)

 

そしてこれは「意味」を考える上で、

1 になる」ってことにとりあえずされています。

 

 

 

とまあそんな感じなんですが、どうでしょう?

なんか、これだけじゃよく分からなくないですか?

 

 

具体的には、これをただ「 1 とするだけ」ってのは、

なんかスッキリしませんよね。

 

E×1

 

これが「エネルギーの値である」とする以上、

この引っ付いている 1 にもまた、

なんらかの意味がある、と考えたくなりませんか?

 

 

 

 

 

エネルギーの期待値

 

というわけで考えていくわけですが、

1 と言えば、やはり『確率』

 

 

思い返してみれば、

E は『エネルギーの値』ってだけで、

その他には具体的な意味を持っていません。

 

 

しかしこの 1 を『確率だ』と考えると、

この Eχ(\psi) を『エネルギーの期待値』だと、

そう考えることができませんか?

 

 

 

というわけで、

試しに『エネルギーの期待値だ』としてみます。

 

 

数式的には、とりあえず↓みたいにしてみます。

両方の式を合わせてみたいので。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle Eχ(\psi)&=\overline{E} \\ \\ \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} x\,p(x) \,dx&=\overline{x} \end{array}

 

するとなんか、それっぽくなりましたね。

 

 

 

 

 

複素関数と確率

 

しかしこれ、このままだとダメです。

\psi(x)p(x) とは根本的に異なるので。

 

 

\psi は全ての波形を表せる複素数関数

p(x) は確率と解釈できる実数値関数

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \int\psi(x)\,dx &\displaystyle ≠\int p(x)\,dx \end{array}

 

積分値の範囲がそもそも一致しません。

『確率だ』ってことにするにしても、

このままでは負の値やら虚数やらをとっちゃいます。

 

 

 

より厳密に「確率の公理」で考えてみても、

 

\begin{array}{rll} \displaystyle \displaystyle 0&\displaystyle ≤\int_a^b p(x)\,dx&≤1 \\ \\ &\displaystyle \int_{\infty}^{-\infty}p(x) \,dx&=1 \end{array}

 

「確率として定義されるもの p(x) 」は↑を満しますが、

『波の形を表す関数』はこれを満たしません。

 

\begin{array}{rlc} \psi(x)&=r\,e^{ikx} \\ \\ \\ \displaystyle \int_a^b\psi(x)\,dx&\displaystyle =\frac{r}{k}\Bigl[ \sin kx -i\cos kx \Bigr]_a^b \\ \\ \displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}}\psi(x)\,dx&\displaystyle =\frac{r}{k}\Bigl[ \sin kx -i\cos kx \Bigr]_{0}^{\frac{2π}{k}} \\ \\ &=0 \end{array}

 

関数の範囲を制限してもこれは同じですね。

 

\begin{array}{rlc} \psi(x)&=r\,\cos kx \\ \\ \\ \displaystyle \int_a^b\psi(x)\,dx&\displaystyle =\frac{r}{k}\Bigl[ \sin kx \Bigr]_a^b \\ \\ \displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}}\psi(x)\,dx&\displaystyle =\frac{r}{k}\Bigl[ \sin kx \Bigr]_{0}^{\frac{2π}{k}} \\ \\ &=0 \end{array}

 

実数値関数だと仮定しても、

「負の値」をとってしまうこともありますし、

そもそも全区間が 1 になりません。

 

 

つまるところ、

\psi(x) は「確率の公理」を満たさないんです。

なので、これはこのままでは『確率』と解釈できません。

 

 

 

 

 

確率だと解釈したい

 

『確率の公理を満たすようにしたい』なら、

\psi を『確率として加工』しなければなりません。

 

 

でもまあ加工って言っても

具体的にどうすればいいのか分かりませんよね。

 

 

結論を言うと↓の考え方を使うんですが、

 

\begin{array}{rll} \displaystyle \displaystyle \psi&=r(\cosθ+i\sinθ) \\ \\ \displaystyle \psi^{*}&=r(\cosθ-i\sinθ) \\ \\ \displaystyle r&=\sqrt{a^2+b^2} \\ \\ \\ \displaystyle \psi^{*}\psi&=|\psi|^2 \\ \\ &=r^2>0 \end{array}

 

なんでこうするのかもよく分かんないと思います。

 

 

 

整理すると、

『複素数』は「確率だと解釈できない」し、

そもそも『確率』は「正の実数値」です。

 

 

ということは、

『確率だと解釈したい』のであれば、

『複素数を正の値にしなければならない』わけで、

 

 

つまりは、そういう『正の値にする操作』が必要だ

ということが予想できます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle z&=a+bi \\ \\ z^*&=a-bi \\ \\ \\ z^*z&=a^2+b^2 \end{array}

 

んでまあそういうことであれば、

やはり最も都合が良いのは「複素共役」

 

 

『複素数』を考える時、

実数への変換と言えばだいたいこれを使います。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi^{*}\psi&=|\psi|^2 \\ \\ &=r^2 \end{array}

 

数式的にはこのように『複素数の長さ』を得て、

「実数と比較できる形」に。

 

 

 

より具体的には、

「複素数」を「ベクトル」と解釈して、

その『長さ』をベースにして意味を与える感じですね。

 

 

イメージとしては、

『平面で伸びている直線』を

無理矢理『実数直線と平行』にします。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \displaystyle \psi&=r(\cosθ+i\sinθ) \\ \\ \displaystyle \psi^{*}&=r(\cosθ-i\sinθ) \\ \\ \\ \displaystyle \psi^{*}\psi&=r^2 \\ \\ \displaystyle \sqrt{\psi^{*}\psi}&=\sqrt{|\psi|^2} \\ \\ |\psi|&=r \end{array}

 

数式的にはこんな感じ。

 

 

 

 

 

確率と関数の規格化

 

波動関数 \psi は『波の形を表す式』ですから、

出力することになる値は「座標」になります。

 

 

『確率』を意味する値をとるわけではないですし、

その値は連続的です。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \overline{x}&\displaystyle =\int_{-\infty}^{\infty} xp(x) \,dx \\ \\ \displaystyle 1&\displaystyle =\int_{-\infty}^{\infty} p(x) \,dx \end{array}

 

確認しておくと、連続値で考える場合、

『面積』としての『確率』はこうなります。

 

 

で、これに倣うなら、

波動関数を確率として加工する場合、

↓のような形にするとなんだか良い気がしませんか?

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \overline{x}&\displaystyle =\int_{-\infty}^{\infty} xp(x) \,dx \\ \\ \displaystyle 1&\displaystyle =\int_{-\infty}^{\infty} p(x) \,dx \\ \\ \\ \displaystyle \overline{x}&\displaystyle =\int_{0}^{\frac{2π}{k}} x\psi^*(x)\psi(x) \,dx \\ \\ \displaystyle \textcolor{pink}{1}&\displaystyle =\int_{0}^{\frac{2π}{k}} \psi^{*}(x)\psi(x) \,dx \end{array}

 

というのも、このようにすれば、

『実数と比較できる形へ変換する』ことと、

『全区間が 1 になる』ことを実現できます。

 

 

 

「規格化」の由来はここですね。

 

\begin{array}{rlc} \psi^{*}(x)\psi(x)&=r\,e^{-ikx}\,r\,e^{ikx} \\ \\ &=r^2\,e^{ikx-ikx} \\ \\ &=r^2e^0 \\ \\ \\ \displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}} \psi^{*}(x)\psi(x) \,dx &\displaystyle =r^2\Bigl[ x \Bigr]_{0}^{\frac{2π}{k}} \\ \\ &\displaystyle =r^2\frac{2π}{k} \end{array}

 

これは 1 になるとは限りませんが、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle r^2\frac{2π}{k}&=\textcolor{pink}{1} \\ \\ r^2&\displaystyle =\frac{k}{2π} \end{array}

 

1 ということにする」ことで、

『確率』にしてしまいます

 

\begin{array}{rlrl} \displaystyle 0&\displaystyle ≤\int_{a}^{b}|\psi|^2\,dx&\displaystyle ≤\int_{0}^{\frac{2π}{k}}|\psi|^2\,dx \\ \\ &&\displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}}|\psi|^2\,dx&=1 \end{array}

 

確認しておくと、

このように全区間積分の値を 1 にすれば、

 

\begin{array}{rlrl} \displaystyle 0&\displaystyle ≤\int_{a}^{b}p(x)\,dx&\displaystyle ≤\int_{-\infty}^{\infty}p(x)\,dx \\ \\ &&\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}p(x)\,dx&=1 \end{array}

 

強引ではありますが、

「確率の公理」をちゃんと満たします。

 

 

 

 

 

波動関数が確率を導くように加工する

 

整理しておきます。

波動関数は↓のように加工すると、

   

\begin{array}{rlc} \displaystyle \int_{a}^{b}|\psi|^2\,dx&≥0 \\ \\ \displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}}|\psi|^2\,dx&=1 \end{array}

 

「確率として扱うことが可能」に。

 

 

加えて「意味を与える」という目的を実現できる、

『期待値を求めたい』という要望も実現できました。

 

\begin{array}{rrl} \displaystyle \int_{a}^{b}\psi^{\dagger}\psi\,dx&\displaystyle =\int_{a}^{b}|\psi|^2\,dx&≥0 \\ \\ &\displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}}|\psi|^2\,dx&=1 \end{array}

 

まとめると、

数式的にはこのようにすれば、

あらゆる要望が実現されます。

 

 

 

もちろん他にもやり方は考えられるでしょう。

でもまあ、最も分かりやすいやり方はこれで、

他のやり方はこれよりも複雑になります。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} xp(x)\,dx&=\overline{x} \\ \\ \displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}} E\psi^{\dagger}\psi\,dx&=\overline{E} \end{array}

 

\begin{array}{rcl} \displaystyle \psi^{\dagger}\psi&≡&p(x) \end{array}

 

比較するとこんな感じ。

 

 

 

補足しておくと、

↑の場合は3次元空間の話ではなく、

x 軸と虚数軸の2次元平面の話になります。

 

 

3次元以上を考える場合は重積分を使いますね。

要領は偏微分の感覚と似たような感じ。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle D&= \Bigl\{ (x,y) \, \mid \, x_1≤x≤x_2,y_1≤y≤y_2 \Bigr\} \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \int_D \psi^*(q)\psi(q) \,dq &\displaystyle =\int_{y_1}^{y_2} \int_{x_1}^{x_2} \psi^{*}(x,y)\psi(x,y) \,dxdy \\ \\ &\displaystyle =\int_{y_1}^{y_2}\left( \int_{x_1}^{x_2} \psi^*(x,y)\psi(x,y) \,dx \right)\,dy \\ \\ &\displaystyle =\int_{y_1}^{y_2}S(y)\,dy \\ \\ \\ dS&=dxdy \\ \\ dV&=f(x,y)dxdy \end{array}

 

平面の面積 → 立体の体積

という感じに次元を拡張するだけで、

基本的な形は変わりません。

 

 

 

 

 

データ形式とベクトル

 

「行列」形式の由来について、話をしてみます。

数式的には↓の形にする理由を説明する感じですね。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi^{\dagger}\hat{H}\psi \end{array}

 

結論から言っておくと、

これは「スカラー値にする手順」を考えると、

こうするしかないからこうしてます。

 

 

特に『統計』を考えると、

『PCで計算する』場合の

「手順」を考える必要があって、

 

\begin{array}{rlll} \displaystyle \psi^{\dagger}\hat{H}\psi&=\psi^{\dagger}E\psi \\ \\ \displaystyle \int \psi^{\dagger}E\psi\,dx&\displaystyle =\int E\psi^{\dagger}\psi\,dx \\ \\ &\displaystyle =\int E|\psi|^2\,dx \\ \\ &=\overline{E} \end{array}

 

そのためのやり方の中で最適なのが

↑のやり方なんですね。

 

 

 

なんでこうすると良いかについては、

「手続き」に必要な「データの形式」から

どのようにすべきか、みたいに考えると分かります。

 

 

というのも、

これはデータ形式の話になるのであれですが、

 

 

集めた「サンプル(データ)」は、

基本的に『ベクトル』で表現されるんですよ。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E\psi&\displaystyle =\begin{pmatrix} E_1\psi_1&E_2\psi_2&\cdots&E_n\psi_n \end{pmatrix} \\ \\ \\ \overline{E}&\displaystyle =\frac{1}{n}\Bigl( E_1+E_2+\cdots+E_n \Bigr) \\ \\ \psi&=c_1\psi_1+c_2\psi_2+\cdots+c_n\psi_n \\ \\ \\ E&=\begin{pmatrix} E_1&E_2&\cdots&E_n \end{pmatrix} \\ \\ \psi&=\begin{pmatrix} \psi_1&\psi_2&\cdots&\psi_n \end{pmatrix} \end{array}

 

そして『ベクトルで表現できる』ということは、

『行列で表現されることもある』わけで、

 

\psi^{\dagger}\hat{H}\psi

 

そうなると、

この「並び」で計算しなければ、

『スカラー値を導く』ことができません。

 

 

なので、式はこの形になるんです。

他の形には基本的になりません。

 

 

 

 

 

行列とベクトルと順番

 

「行列」→「スカラー値」について、

↑の話が何でそうなるのか確認しておきます。

 

\begin{array}{rlcc} \displaystyle \int \hat{H}\psi^{\dagger}\psi \,dx&=\hat{H} &&\mathrm{Matrix} \\ \\ \displaystyle \int\psi^{\dagger}\hat{H}\psi \,dx&=\overline{E} &&\mathrm{Scalar} \end{array}

 

まあこれは見たままですね。

データ形式をベクトルだと仮定すると、

 

 

『スカラー値を出すようにしたい』なら、

波動関数の位置はこうするしかありません。

 

 

 

 

 

以上、このように「定義」することで、

波動関数は『確率を表現できるもの』として、

「役割」を与えられたんですね。

 

 

ボルンの規則っていうのは、

つまりはこの『決まり』のこと。

 

 

 

 

 

シュレーディンガー方程式

 

以上をまとめて、

基礎方程式の本来の形を書いておきます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,t)+U(q)\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t)&\displaystyle =\hat{H}\psi(q,t) \end{array}

 

波動方程式の「エネルギーの式」への変形がこれ。

よくシュレーディンガー方程式と言われてるのもこれ。

実際には式の一部ですが。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}} \psi^*(x)\psi(x)\,dx &=1 \\ \\ \displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}} \psi^*(q)\psi(q)\,dq &=1 \end{array}

 

『式の意味』を考えた場合、

「波動関数が満たすべき条件」がこれ。

ボルンの規則って呼ばれてます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi^*\hat{H}\psi&=\mathrm{Scholar} \\ \\ \displaystyle \int \psi^*\hat{H}\psi \,dq&=\overline{E} \end{array}

 

で最後、

「データの形式」が『ベクトル』の場合、

式はこのような順番である必要が。

 

 

 

まとめると、

シュレーディンガー方程式の本来の形は↓です。

 

\begin{array}{rlc} \begin{pmatrix} \displaystyle \frac{1}{2m}(iℏ)^2\frac{\partial^2 }{\partial q^2}&U(q) \end{pmatrix}&=\hat{H} \\ \\ \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(q,t)&\displaystyle =\hat{H}\psi(q,t) \\ \\ \\ \displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}} \psi^*(q)\psi(q)\,dq &=1 \\ \\ \displaystyle \int_{0}^{\frac{2π}{k}} \psi^*(q)\hat{H}\psi(q)\,dq&=\overline{E} \end{array}

 

このワンセットが、

シュレーディンガー方程式になります。

 

 

 

 

 


無限井戸型ポテンシャル

 

|| ものすごく単純な状況

これは「シュレーディンガー方程式の解」

というのを考えるための、代表的な問題です。

 

m=1,2,3,4,...

\displaystyle \psi(x)= \left\{ \begin{array}{cll} \displaystyle \sqrt{\frac{1}{a}}\cos n\frac{π}{2a}x & n=2m-1 & (-a≤x≤a) \\ \\ \displaystyle \sqrt{\frac{1}{a}}\sin n\frac{π}{2a}x & n=2m & (-a≤x≤a) \\ \\ 0 & & (x<-a,a<x) \end{array} \right.

 

先に結論を書いておくと、

これが「方程式の解」になります。

 

 

 

んで、肝心の『井戸型ポテンシャル』なんですけど、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle U(x)&=\begin{cases} \,\,0 & (0≤x≤a) \\ \,\infty & (x<0,a<x) \end{cases} \\ \\ \displaystyle U(x)&=\begin{cases} \,\,0 & (-a≤x≤a) \\ \,\infty & (x<-a,a<x) \end{cases} \end{array}

 

結論から言うと、

こういう風に「式で表される図形」のことを、

『無限井戸型ポテンシャル』と言います。

 

 

 

イメージは「コ」の字型の入れ物で、

箱の底から↑までの高さが無限。

 

 

つまり「 -a≤x≤a 」までは移動できて、

その時に『位置エネルギーが 0 になる』状況。

 

 

まあ要は

『位置エネルギーを考えたくない』

『位置が簡単に分かる』

 

 

こういう要望を実現した結果、

「高さが無限の井戸」ができちゃったって感じです。

 

 

 

確認しておくと、

↓を見たらだいたい分かると思います。

 

\begin{array}{rlc} E\psi(x)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial x^2}\psi(x)+U(x)\psi(x) \end{array}

 

まあ要はそういうことで、

この「位置エネルギー U(x) を定めるため」に、

この『井戸型ポテンシャル』を考えたわけですね。

 

 

もちろん他のやつでもよくて、

「深さが有限」のやつも当然あります。

 

 

ただ「最も単純な計算」となると、

これ以上のものは無いんですよ。

 

 

 

 

 

方程式の単純化

 

「シュレーディンガー方程式を解く」と言っても、

何をすればいいのかよく分かりません。

 

 

なのでとりあえず、

『式をできるだけ単純に』してから

どうすればいいのかを考えて、

 

 

最終的に、

計算手順の雛型を導いてみます。

 

 

そのために式の確認をしておくと、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial q}\psi(q,t)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial q^2}\psi(q,t) + U(q)\psi(q,t) \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x,t)&=r\,e^{i(ωt-kx)} \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&=r\,e^{iωt}e^{-ikx} \\ \\ \\ \displaystyle \psi(x)&=r\,e^{-ikx} \\ \\ \displaystyle \phi(t)&=e^{iωt} \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&=\psi(x)\phi(t) \end{array}

 

\begin{array}{rlc}\displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(x,t)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial x^2}\psi(x,t) + U(x)\psi(x,t) \\ \\ \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(x)\phi(t)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial x^2}\psi(x)\phi(t) + U(x)\psi(x)\phi(t) \end{array}

 

指数の法則 x^{a+b}=x^ax^b から、

波動関数の変数はこう分離することが出来て、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle iℏ\frac{\partial }{\partial t}\psi(x)\phi(t)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial x^2}\psi(x)\phi(t) + U(x)\psi(x)\phi(t) \\ \\ \displaystyle iℏ\frac{\partial \phi(t)}{\partial t}\psi(x)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}\phi(t) + U(x)\psi(x)\phi(t) \end{array}

 

\psi(x)\phi(t) 」で両辺を割ると、

定数 E を考えれば、

   

\begin{array}{rlc} \displaystyle iℏ\frac{\partial \phi(t)}{\partial t}\frac{1}{\phi(t)}&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}\frac{1}{\psi(x)} + U(x) \end{array}

 

\displaystyle \begin{cases} \displaystyle E=-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}\frac{1}{\psi(x)} + U(x) \\ \\ \displaystyle E=iℏ\frac{\partial \phi(t)}{\partial t}\frac{1}{\phi(t)} \end{cases}

 

\displaystyle \begin{cases} \displaystyle E\psi(x)=-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2} + U(x)\psi(x) \\ \\ \displaystyle E\phi(t)=iℏ\frac{\partial \phi(t)}{\partial t} \end{cases}

 

式はこのように、

変数ごとに分離することができるわけで。

 

 

ということは、

「別々に考える」ことができそうです。

 

 

 

これでまあなんとなく分かると思うんですけど、

 

\begin{array}{rlc} E\psi(x)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 }{\partial x^2}\psi(x)+U(x)\psi(x) \end{array}

 

この計算と↑の計算って、

「似たような感じ」になりそうじゃないですか?

 

 

 

要はまあ、そういう話ですね。

「シュレーディンガー方程式の計算」の手順

というのを調べるために、

 

 

井戸型ポテンシャルという「状況」と

「1次元」という変数が最小限のパターンで、

『計算手順の雛型』を導く、と。

 

 

 

まあそういう感じのことをするために、

『無限井戸型ポテンシャル』を

「時間を除く1次元の式」で考えるわけです。

 

 

 

 

 

位置での場合分け

 

「無限井戸型ポテンシャル」での

『波動関数』を、これから考えていきます。

 

\begin{array}{rlrr} \displaystyle \textcolor{skyblue}{U}(x)&=0&&(-a≤x≤a) \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E\psi(x)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2} + \textcolor{skyblue}{U}(x)\psi(x) \\ \\ \displaystyle E\psi(x)&\displaystyle =-\frac{ℏ^2}{2m}\frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2} \\ \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}&\displaystyle =-\frac{2m}{ℏ^2}E\psi(x) \end{array}

 

まず「 -a≤x≤a 」の範囲はこう。

要望通り、位置エネルギーを取り除けてます。

 

 

というわけで次、

x<-a,a<x 」の範囲なんですけど、

 

\begin{array}{rlrr}\displaystyle U(x)&=\infty & & (x<-a,a<x) \end{array}

 

\begin{array}{lrl} &\displaystyle |\psi(x)|^2&=0 \\ \\ ⇒&\psi(x)&=0 \\ \\ ⇒&\displaystyle E\psi(x)&=0 \end{array}

 

U(x)=\infty の場合については、

「その位置には行けない」ことから、

『存在確率 |\psi(x)|^2=0 』と考えます。

 

 

まあこれはあれです。

「無限に高い壁」を乗り越えるには、

「無限にエネルギーが必要」だから、

 

 

それは「行けない」のとほぼ同じだよね

という感じ。

 

 

なのでこの場合では存在確率を 0 と設定し、

式全体の値を 0 と考えます。

 

 

 

以上、まとめると、

↓であることがとりあえず導けました。

 

\displaystyle \begin{array}{rlll} \displaystyle\frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}&\displaystyle =-\frac{2m}{ℏ^2}E\psi(x) && U(x)=0 \\ \\ \psi(x)&=0 && U(x)=\infty \end{array}

 

ひとまず、これで一区切り。

 

 

 

 

 

波の式と波動方程式

 

複素数の一般形を確認して、

波動方程式を弄ってみます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x)&=r(\cosθ+i\sinθ) \\ \\ \displaystyle \psi(x)&=r\,e^{iθ} \\ \\ \displaystyle \psi(x)&=r\,e^{αx} \end{array}

 

波動方程式の性質↓から、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle\frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}&\displaystyle =-\frac{2m}{ℏ^2}E\psi(x) \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}&=-k^2\psi(x) \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle k&\displaystyle =\sqrt{\frac{2mE}{ℏ^2}} \end{array}

 

まあこんな感じになるので、

↓のような解を導けることが分かります。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}&=-k^2\psi(x) \\ \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}&\displaystyle =\frac{\partial^2 (r\,e^{αx})}{\partial x^2} \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 (r\,e^{αx})}{\partial x^2}&\displaystyle =r\frac{\partial e^{αx}}{\partial x} \\ \\ & =rα^2e^{αx} \\ \\ & =α^2\psi(x) \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle α^2\psi(x)&=-k^2\psi(x) \\ \\ \displaystyle (α^2+k^2)\psi(x)&=0 \\ \\ \\ \displaystyle α^2+k^2&=0 \\ \\ \displaystyle α&=±ik \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x)&=r\,e^{±ikx} \end{array}

 

以上、こんなのが導けるわけですが、

これ、このままだとよく分かんないですよね。

 

 

特に何か特定できたわけではありませんし、

↑から分かることも特に無いですし。

 

 

 

 

 

解を導く準備と一般解

 

よく分からないものは

とりあえずよく分からないまま放置して、

その上で話を進めていきます。

 

 

具体的には、

「よく分からないもの」を

「現時点での解」だ、として、

 

 

その「よく分からない解」を、

「いろんな条件」で絞り込むわけですが、

 

 

「解の全体を表すやつ」は必要ですよね?

これはまあ、要はそういう話です。

 

 

 

というわけで、

そのために『波動関数』の「一般解」を考えて、

それを「現時点での解」にします。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}&=-k^2\psi(x) \end{array}

 

具体的にどうするかというと、

解になる波動関数 \psi(x) を、

「二階微分されて形が元に戻る関数」として、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x)&=A\cos kx+B\sin kx \\ \\ \displaystyle \psi(x)&=Ce^{ ikx}+De^{- ikx} \end{array}

 

このような形が考えられるので、

これを「解」とします。

 

 

 

「一般解」っていうのは、

要はこういう感じのものです。

 

 

厳密には「微分方程式の全ての解」

という感じなんですけど、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle y^{\prime}&\displaystyle =\frac{d}{dx}f(x) \\ \\ y&\displaystyle =\int \frac{d}{dx}f(x) \,dx +C \end{array}

 

まあこの用語はなんとな~く分かってればOK。

 

 

とりあえず「解の全体を表すもの」

とでも思ってれば、

それでだいたい合ってます。

 

 

 

使い方は↑で言った通り、

これを「条件」で絞り込んでいって、

より具体的な形にしていきます。

 

 

まあ要は、これは計算の途中ですね。

どう考えていくかを整理するために、

いったんこういう解を定めてます。

 

 

 

まあとりあえず式の確認をしておきましょうか。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \displaystyle \psi(x)&=r\,e^{±ikx} \\ \\ \\ \displaystyle e^{ikx}&=\cos kx+i\sin kx \\ \\ \displaystyle e^{-ikx}&=\cos (-kx)+i\sin (-kx) \\ \\ &\displaystyle =\cos kx-i\sin kx \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \cos(-θ)&=\cosθ \\ \\ \displaystyle \sin(-θ)&=-\sinθ \end{array}

 

使うのはこれです。

加えて任意の定数 A,B,S,T も使います。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x)&=Se^{ikx}+Te^{-ikx} \\ \\ &\displaystyle =(S+T)\cos kx+(S-T)i\sin kx \end{array}

 

\displaystyle \begin{array}{llllllll} S=1&T=0 & → && \psi(x)&=e^{ikx} \\ \\ S=0&T=1 & → && \psi(x)&=e^{-ikx} \end{array}

 

軽く確認しておくと、

まあこんな感じですね。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle A&=S+T \\ \\ B&=i(S-T) \end{array}

 

他にもこうすれば、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x)&=A\cos kx+B\sin kx \end{array}

 

こうなるので、

まあこれは、どっちでも良いです。

 

 

 

見ての通り、

これは単なる計算上の手続きなので、

「書き方の変更」くらいに思っておきましょう。

 

\displaystyle \psi(x)= \left\{ \begin{array}{cllll} A\cos kx+B\sin kx && (-a≤x≤a) \\ \\ 0 && (x<-a,a<x) \end{array} \right.

 

難しく考える必要はありません。

 

 

これを採用するのは、

「計算しやすいと思われるから」で、

それ以上の意味は特に無いので。

 

 

ともかく、

「現時点で分かってること」をこれと定めて、

これから、これをもっと具体的にしていきます。

 

 

 

 

 

波動関数の連続性

 

話は飛びますが、

ここで『波動関数は連続でなければならない』

という制約についての話をしておきます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle -\frac{ℏ^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}\psi(x)+U(x)\psi(x)&=E\psi(x) \\ \\ \displaystyle \frac{d^2}{dx^2}\psi(x)&\displaystyle =\frac{2m}{ℏ^2} \Bigl(E-U(x)\Bigr) \psi(x) \end{array}

 

根拠は基本的にこれ。

 

 

「不連続である」と仮定して、

「不連続な点」を考えることで、

式の矛盾を導くと、そういう結論になります。

 

 

 

どういうことかというと、

要は「波動関数が不連続」だと

矛盾が生じてしまうんですよ。

 

 

だから、矛盾しないために、

『波動関数は連続でなければならない』

という制約を課す感じです。

 

 

 

一応、軽く証明をしておきましょうか。

↓の式を使います。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{d^2}{dx^2}\psi(x)&\displaystyle =\frac{2m}{ℏ^2} \Bigl(E-U(x)\Bigr) \psi(x) \end{array}

 

というわけで「不連続」だと『仮定』して、

「不連続な点」を考えます。

 

 

すると「不連続な点 δ 」では、

当然ながら『2点の変化』を表す「微分」は

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{d}{dx}\psi(δ)&=\infty \\ \\ \displaystyle \frac{d^2}{dx^2}\psi(δ)&=\infty \end{array}

 

まあこうなるわけですよ。

 

 

 

念のため確認しておくと、

微分の定義を考えてもらえば分かる通り、

例えば点が x=0 で不連続な場合、

 

\begin{array}{rlc} a&≠b \\ \\ \\ f(0) &=a \\ \\ \displaystyle \lim_{h→0+0} f(0+h) &=b \\ \\ \\ \displaystyle f^{\prime}(0)& = \displaystyle \lim_{h→0} \frac{f(0+h)-f(0)}{(x+h)-x} \\ \\ &\displaystyle =\lim_{h→0} \frac{b-a}{h} \\ \\ &=\infty \end{array}

 

このように発散するので、

当然、↑のようになりますよね。

 

 

 

整理すると、

「不連続な波動関数の微分」は

「不連続な点で発散してしまう」ので、

 

 

『等式が正しいとする』のであれば、

当然↓も無限になる必要があります。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{d^2}{dx^2}\psi(x)&=\infty \\ \\ \displaystyle \frac{2m}{ℏ^2} \Bigl(E-U(x)\Bigr) \psi(x) &\textcolor{pink}{=}\infty \end{array}

 

しかし、↓側の式はどうでしょう?

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{2m}{ℏ^2} \Bigl(E-U(x)\Bigr) \psi(x) &\textcolor{pink}{=}\infty&(\mathrm{?}) \\ \\ \\ \displaystyle \int |\psi(x)|^2\,dx&≤1 \\ \\ E-U(x)&(\mathrm{?}) \end{array}

 

確認すると、

E-U(x) の部分は↓のようになり、

 

\begin{array}{rllll} \displaystyle &E-U(x)&=\infty&&\Bigl( U(x)=-\infty \Bigr) \\ \\ -\infty<&E-U(x)&<\infty &&\Bigl( U(x)=\mathrm{limited} \Bigr) \\ \\ &E-U(x)&=-\infty &&\Bigl( U(x)=\infty \Bigr) \end{array}

 

「無限のポテンシャル」を持つ場合では、

「無限のエネルギーを持つ粒子は無い」

 

 

と考えられることから、

そこに「粒子がある確率は 0 」と言えるので、

 

\begin{array}{rlll} \displaystyle \psi(x)&=0&&\Bigl( U(x)=-\infty,\infty \Bigr) \end{array}

 

こうですから、結果、

 

\begin{array}{rllll} -\infty<& \displaystyle \frac{2m}{ℏ^2} \Bigl(E-U(x)\Bigr) \psi(x)&<\infty&&\Bigl( U(x)=\mathrm{limited} \Bigr) \\ \\ &\displaystyle \frac{2m}{ℏ^2} \Bigl(E-U(x)\Bigr) \psi(x)&=0&&\Bigl( U(x)=-\infty,\infty \Bigr) \end{array}

 

\begin{array}{rlc}-\infty<& \displaystyle \frac{2m}{ℏ^2} \Bigl(E-U(x)\Bigr) \psi(x)&<\infty \end{array}

 

↑の部分は有限の値になります。

無限になることはありません。

 

 

しかし「不連続な点 δ 」では、

「等式を満たしたい」なら

「無限にならないといけない」わけで。

 

 

ということは、

『不連続である』という仮定の下では、

「左辺と右辺が一致しない」わけです。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{d^2}{dx^2}\psi(x)&\displaystyle =\frac{2m}{ℏ^2} \Bigl(E-U(x)\Bigr) \psi(x) \end{array}

 

なら、これは矛盾してます。

 

\begin{array}{rlc}\displaystyle \frac{d^2}{dx^2}\psi(d)&\displaystyle \textcolor{pink}{≠}\frac{2m}{ℏ^2} \Bigl(E-U(d)\Bigr) \psi(d) \end{array}

 

ということは必然、

『波動関数は不連続ではない』となり、

 

 

であるならば、

「波動関数」は「連続」だと考えられます。

 

 

 

 

 

連続性と存在確率

 

「境界 x=-a,a での波動関数」について、

『連続性』を使って絞り込んでみます。

 

 

これはまあ、あれです。

無限の高さを持つ井戸型の場合

 

 

「高さ無限の位置」へは

『移動できない』わけですから、

 

 

その高さにおける『粒子の存在確率』は、

0 である」と考えるのが妥当。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle |\psi(x)|^2&=0 &&x<-a,a<x \\ \\ \psi(x)&=0 && |\psi(x)|≥0\end{array}

 

ということは、

つまり波動関数はこうなるはず。

 

 

 

んで、こっからが本題なんですけど、

「波動関数」には『連続的である』

という制約がありますよね。

 

 

となると、

「位置エネルギー」が「 0 から \infty になる境界」は、

いったいどうなるのか。

 

\begin{array}{llc} \displaystyle \psi(a)&=\mathrm{?} \\ \\ \displaystyle \psi(-a)&=\mathrm{?} \end{array}

 

とまあこんな感じで、

なんか、「境界」について、

波動関数の値を絞り込めそうな気がしませんか?

 

 

 

とまあ、要はそういう話で、

実際、絞り込むことはできちゃいます。

 

 

と言われても分からんと思うので、

ともかく、まずは計算してみましょうか。

 

 

 

『連続性の証明』ということなので、

「右極限と左極限」を使います。

 

 

まず「ポテンシャルが無限の位置」では

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \lim_{x→-a-0} \psi(x) &=0 \\ \\ \displaystyle \lim_{x→a+0} \psi(x) &=0 \end{array}

 

当然、こうなります。

これは↑の確認ですね。

記号の意味が分かれば疑問は無いでしょう。

 

 

んでまあ片側がこうなると分かってるので、

『連続している』のであれば、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \lim_{x→-a-0} \psi(x)&=\displaystyle \lim_{x→-a+0} \psi(x) \\ \\ &=\displaystyle \lim_{x→-a} \psi(x) \\ \\ &=0 \\ \\ \\ \displaystyle \lim_{x→a-0} \psi(x)&=\displaystyle \lim_{x→a+0} \psi(x) \\ \\ &=\displaystyle \lim_{x→a} \psi(x) \\ \\ &=0 \end{array}

 

こうなるわけで、

 

 

となると必然、

『連続である場合』は、必ず↓のようになります。

 

\begin{array}{llc} \displaystyle \psi(a)&=0 \\ \\ \displaystyle \psi(-a)&=0 \end{array}

 

はい。

とまあそういうわけで、

 

 

『連続性を満たすため』には、

「境界」は、このようになる必要があるんですね。

 

 

 

 

 

境界条件から導かれる解

 

↑の条件から、

解をより具体的にしていきます。

 

 

整理しておくと、

波動関数は↓になるので、

 

\begin{array}{llllll} A\cos k(-a)+B\sin k(-a) \\ \\ =A\cos ka-B\sin ka \end{array}

 

\displaystyle \psi(x)= \left\{ \begin{array}{clllll} A\cos ka+B\sin ka&=0 && (x=a) \\ \\ A\cos ka-B\sin ka&=0 && (x=-a) \end{array} \right.

 

この連立方程式を解いて、

A,B を求めます。

 

 

 

というわけで、

さっそく計算していきましょうか。

 

 

まず A=0,B=0 のパターンですが、

これは特に意味が無いので考慮しません。

 

 

固有値方程式の時と同様ですね。

特に意味が無い部分は無視して、

意味のある解を求めていきます。

 

A≠0

\begin{array}{rlc} \displaystyle (A\cos ka+B\sin ka) \\ \\ \displaystyle +(A\cos ka-B\sin ka) \\ \\ \displaystyle =2A\cos ka \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle 2A\cos ka&=0 \\ \\ \displaystyle ka&\displaystyle =\frac{π}{2},\frac{3}{2}π,\frac{5}{2}π,... \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle k≥0 , a≥0 &→& ka≥0 \end{array}

 

まずこのパターンではこう。

 

B≠0

\begin{array}{rlc} \displaystyle (A\cos ka+B\sin ka) \\ \\ \displaystyle -(A\cos ka-B\sin ka) \\ \\ \displaystyle =2B\sin ka \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle 2B\sin ka&=0 \\ \\ \displaystyle ka&=0,π,2π,... \end{array}

 

そしてこのパターンではこうなので、

まとめると、

 

\begin{array}{rlll} \displaystyle ka&\displaystyle =0,\frac{1}{2}π,π,\frac{3}{2}π,2π,... \\ \\ \displaystyle k&\displaystyle =n\frac{π}{2a} &&(n=0,1,2,3,...) \end{array}

 

このように「境界の条件」から、

『より具体的な定数 k 』が導かれます。

 

 

「飛び飛びな値」の由来はこの辺りですね。

計算上、この部分で初めてこういう値が導かれます。

 

\begin{array}{llc} \displaystyle m&=0,1,2,3,4,5,6,7,... \\ \\ 2m&=0,2,4,6,8,10,... \\ \\ 2m+1&=1,3,5,7,9,11,... \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x)&=\left\{ \begin{array}{clllll} \displaystyle A\cos kx && n=2m+1 && (-a≤x≤a) \\ \\ \displaystyle B\sin kx && n=2m && (-a≤x≤a) \\ \\ 0 && && (x<-a,a<x) \end{array} \right. \\ \\ &= \left\{ \begin{array}{clllllll} \displaystyle A\cos n\frac{π}{2a}x && n=2m+1 && (-a≤x≤a) \\ \\ \displaystyle B\sin n\frac{π}{2a}x && n=2m && (-a≤x≤a) \\ \\ 0 && && (x<-a,a<x) \end{array}\right. \end{array}

 

ともかく以上のことから、

「波動関数」はこうなります。

 

 

 

 

 

存在の仮定と n

 

結論を言うと、

n=0 にはなりません。

 

 

確認しておくと、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle k≥0 \\ \\ a≥0 \end{array}

 

これらの値はこの範囲にあります。

 

 

ということは、

仮に n=0 を認める場合、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle k=0 &\mathrm{or}& a=0 \end{array}

 

このようになるわけで。

 

 

であるなら、

「波動関数」は↓のようになってしまいます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle B≠0 \\ \\ A=0 \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x)&=A\cos ka+B\sin ka \\ \\ &=A\cos 0a+B\sin 0a &=0 \\ \\ \\ \displaystyle \psi(x)&=A\cos ka+B\sin ka \\ \\ &=A\cos k0+B\sin k0 &=0 \end{array}

 

そう、 n=0 の場合、

『存在確率が 0 の状態』が導かれるんです。

 

 

まあつまり、

n=0 の状態」というのは、

『存在確率が 0 の状態』なんですよ。

 

 

言い換えるなら、

n=0 の状態」は『存在しません』

 

 

 

ということは、計算上の値から、

n=0 は『存在しないことが分かる』ので、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle n>0 \end{array}

 

『何かが存在すると仮定する』場合、

「波動関数における n 」は、

必ずこの範囲でなければなりません。

 

 

 

まとめると、

『何かが存在すると仮定する』場合、

 

m=1,2,3,4,...

\displaystyle \psi(x)= \left\{ \begin{array}{clllllll} \displaystyle A\cos n\frac{π}{2a}x && n=2m-1 && (-a≤x≤a) \\ \\ \displaystyle B\sin n\frac{π}{2a}x && n=2m && (-a≤x≤a) \\ \\ 0 && && (x<-a,a<x) \end{array} \right.

 

「波動関数」はこのようになります。

 

 

 

 

 

ボルンの規則を適用

 

\psi を定める条件と言えば、

「境界」や「存在の仮定」の他にも、

『確率解釈』ってのがあります。

 

 

これは具体的には『規格化』なんですけど、

思えば、まだこれは行っていません。

 

 

まあそういうわけなので、

これから「規格化」を行っていきます。

 

m=1,2,3,4,....

 

\displaystyle \psi(x)= \left\{ \begin{array}{clllllll} \displaystyle A\cos n\frac{π}{2a}x && n=2m-1 && (-a≤x≤a) \\ \\ \displaystyle B\sin n\frac{π}{2a}x && n=2m && (-a≤x≤a) \\ \\ 0 && && (x<-a,a<x) \end{array} \right.

 

確認しておくと、

「波動関数」はこうです。

 

\begin{array}{llc} \displaystyle \int_{-a}^{a}|\psi(x)|^2dx&=1 \\ \\ \displaystyle \int_{-a}^{a} \left| A\cos n\frac{π}{2a}x \right|^2 dx&=1 \\ \\ \displaystyle \int_{-a}^{a} \left| B\sin n\frac{π}{2a}x \right|^2 dx&=1 \end{array}

 

んで「規格化」するとこんな感じに。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \displaystyle \int_{-a}^{a} \left| \cos n\frac{π}{2a}x \right|^2 dx&=\mathrm{?} \\ \\ \displaystyle \int_{-a}^{a} \left| \sin n\frac{π}{2a}x \right|^2 dx &=\mathrm{?} \end{array}

 

問題を単純化すればこうなので、

 

 

見た目、計算を行えば、

任意定数 A,B は絞り込めそうな気がしませんか?

 

 

 

 

 

ボルンの規則から分かる解

 

ボルンの規則から、

任意定数 A,B を絞り込んでいきます。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \int_{-a}^{a} \left| A\cos n\frac{π}{2a}x \right|^2 dx&=\displaystyle A^2\int_{-a}^{a} \cos^2 n\frac{π}{2a}x \,dx \\ \\ &=1 \end{array}

 

やることはこれの計算ですね。

この計算結果から任意定数を導きます。

 

 

 

使う材料から確認しておきましょうか。

まず \cos^2 θ の図形ですけど、

これはy軸対称の図形なので、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle A^2\int_{-a}^{a} \cos^2 n\frac{π}{2a}x \,dx &= \displaystyle 2A^2\int_{0}^{a} \cos^2 n\frac{π}{2a}x \,dx \\ \\ &=1 \end{array}

 

左右同じ積分値になります。

 

 

続いて、↓を確認。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \displaystyle \cos(θ+θ)&=\cosθ\cosθ-\sinθ\sinθ \\ \\ \displaystyle 2\cos^2 θ&=1+\cos2θ \end{array}

 

↑が分かれば、

↓の式変形が分かるので、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle 2A^2\int_{0}^{a} \frac{1}{2}\left( 1+\cos 2n\frac{π}{2a}x \right) dx&=1 \\ \\ \displaystyle A^2\int_{0}^{a} \left( 1+\cos n\frac{π}{a}x \right) dx&=1 \end{array}

 

後は微分した式から、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \cos n\frac{π}{a}x& =\displaystyle \frac{d}{dx}\left( \frac{1}{\displaystyle n\frac{π}{a}}\,\sin n\frac{π}{a}x \right) \end{array}

 

積分結果は↓になりますから、

 

\begin{array}{lc} \displaystyle A^2 \left[ x+\frac{1}{\displaystyle n\frac{π}{a}}\sin n\frac{π}{a}x \right]_{0}^{a} dx \\ \\ =A^2\Bigl( (a+0)-(0+0) \Bigr) \\ \\ =1 \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \sin n\frac{π}{a}a &=0 \\ \\ \displaystyle \sin n\frac{π}{a}0 &=0 \end{array}

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \sin0&=\sin nπ \\ \\ &=0 \end{array}

 

計算結果はこのようになります。

 

 

ここまで来れば、

後はもう消化試合ですね。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle A^2[a-0]&=1 \\ \\ \displaystyle A^2&\displaystyle =\frac{1}{a} \end{array}

 

残る B ですけど、

こちらも同じ様に求めることが。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \cos(θ+θ)&=\cosθ\cosθ-\sinθ\sinθ \\ \\ \displaystyle -2\sin^2θ&=-1+\cos 2θ \end{array}

 

違うのはこの部分くらいで、

後はほとんど同じですね。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle B^2 \left[ x\textcolor{skyblue}{-}\frac{1}{\displaystyle n\frac{π}{a}}\sin n\frac{π}{a}x \right]_{0}^{a} dx&=1 \end{array}

 

A の時とほとんど同じなので、

すぐに計算結果が分かると思います。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle B^2&\displaystyle =\frac{1}{a} \end{array}

 

以上、まとめると、

任意定数は↓になります。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle A&= \displaystyle \sqrt{\frac{1}{a}} \\ \\ \displaystyle B&= \displaystyle \sqrt{\frac{1}{a}} \end{array}

 

符号については

どうせ 2 乗するのでどっちでも良いです。

 

 

 

 

 

方程式の解

 

以上をまとめると、

波動関数が↓のようになることが分かりました。

 

\displaystyle \psi(x)= \left\{ \begin{array}{cll} \displaystyle \sqrt{\frac{1}{a}}\cos n\frac{π}{2a}x & n=2m-1 & (-a≤x≤a) \\ \\ \displaystyle \sqrt{\frac{1}{a}}\sin n\frac{π}{2a}x & n=2m & (-a≤x≤a) \\ \\ 0 & & (x<-a,a<x) \end{array} \right.

 

整理しておくと、

「ポテンシャルの適用」「一般解の用意」

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle\frac{\partial^2 \psi(x)}{\partial x^2}&\displaystyle =-\frac{2m}{ℏ^2}E\psi(x) \\ \\ \\ \displaystyle \psi(x)&\displaystyle = \left\{ \begin{array}{cllll} A\cos kx+B\sin kx && (-a≤x≤a) \\ \\ 0 && (x<-a,a<x) \end{array} \right. \end{array}

 

「連続性の確認」「境界の条件」

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(a)&=0 \\ \\ \psi(-a)&=0 \\ \\ \\ \displaystyle ka&\displaystyle =0,\frac{1}{2}π,π,\frac{3}{2}π,2π,... \\ \\ \displaystyle k&\displaystyle =n\frac{π}{2a} &&(n=0,1,2,3,...) \end{array}

 

「存在の仮定」「確率解釈」「規格化」

 

\begin{array}{rlc} n&≠0 \\ \\ \displaystyle A&= \displaystyle \sqrt{\frac{1}{a}} \\ \\ \displaystyle B&= \displaystyle \sqrt{\frac{1}{a}} \end{array}

 

↑の条件で絞り込まれた結果、

この波動関数は導かれています。

 

 

 

 

 

無限井戸型ポテンシャルでのエネルギーの値

 

↑が分かると何が良いのか。

↑だけじゃよく分かんないと思いますが、

 

 

例えば「エネルギーの値」について考えると、

なんとなく分かるかもしれません。

 

\displaystyle \begin{array}{rlc} k & \displaystyle =\sqrt{\frac{2mE}{ℏ^2}} \\ \\ \displaystyle k & \displaystyle =n\frac{π}{2a} \end{array}

 

というのも、

まあこうなるわけですが、

この式から『エネルギーの最小値』が導けるんです。

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle \sqrt{\frac{2mE}{ℏ^2}} &\displaystyle = n\frac{π}{2a} \\ \\ \displaystyle \frac{2mE}{ℏ^2}&\displaystyle = n^2\frac{π^2}{2^2a^2} \\ \\ \\ \displaystyle E&\displaystyle =n^2\frac{π^2ℏ^2}{8ma^2} \end{array}

 

連続値じゃなくなるのも興味深いですが、

なにより『エネルギーは 0 にならない』

というのが非常に面白い結果で、

 

\begin{array}{rlc} \displaystyle E_n&\displaystyle =n^2\frac{π^2ℏ^2}{8ma^2} \\ \\ \displaystyle E_1&\displaystyle =\frac{π^2ℏ^2}{8ma^2} & > & 0 \end{array}

 

どういうことかというと、

これを根拠にすれば、

『電子の軌道』についての説明ができるんです。

 

 

 

記事冒頭で語りましたが、

『電子は原子核に落ちない』

ということの数式的な説明が↑でなされていて、

 

 

だからこそ、

『今の原子の形』が正しくなっています。

 

 

 

 

 

んで、この事実を考慮すると、

『ミクロの世界での物質の動きが分かった』

 

 

というのが「量子力学の成果」と言えるので、

なんか、分かると良い感じがしませんか? 

 

 

とまあ最後雑になりましたが、

これはまあこんな感じです。

 

 

 

>> 続き