整礎関係 Well-founded


|| 下地・基盤・基礎がしっかりしてる

「正の整数」での「 0 」みたいなものがある感じ。

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めっちゃ下の方に行ってみたら

そこにちゃんと地面がある、みたいな。

 

 

『ちゃんと出発点・基盤がある』感じを

「整礎的である」なんて言ったりします。

 

 

 

こいつはあれです。

1 みたいなやつを保証する性質なので超超超重要

基本、これが無いと議論すらままなりません。

 

 

というのも、

基礎が無ければ材料が分かりません。

 

 

そして材料(定義など)が分からないなら

確実に「演繹」はできませんから

正しいかどうかの判定も不可能。

 

 

 

まあつまり「整礎的ではない」場合

 

\begin{array}{llllll} \displaystyle 0,1 \\ \\ && 0 &=&1-1 \\ \\&& 2&=&1+1 \\ \\ && -1&=&0-1 \end{array}

 

こんな感じの「基準 0,1,+,- 」が無いので

自身をきちんと構成することができません。

 

 

まあだから、これはすごく重要なものになる

とまあ要はそんな感じ。

 

 

 

ちなみに「集合論的な数学」だと

『空集合』が下地になります。

 

 

天井は今のところ「到達不能基数」ですね。

ZFC+GCH の公理系では)

 

 

 

 

 

整礎関係の厳密な定義

 

「集合 S 」とその「部分集合 S_{\mathrm{pt}} 」を定義できる

「関係 R 」についての「極小元 e_{\mathrm{min}} 」がある

 

\begin{array}{llllll} \displaystyle e_{\mathrm{min}}&R&a \end{array}

 

そんな感じの『関係 R 』を「整礎関係」と言います。

 

 

ちなみに『関係 R 』ですが、

これは具体的には ↓ みたいなのがそうです。

 

\begin{array}{llllll} \displaystyle e_1&∈&e_2 \\ \\ e_1&⊂&e_2 \\ \\ \\ e_1&<&e_2 \\ \\ e_1&≤&e_2 \end{array}

 

この『二項関係 R 』が「整礎関係 R_{\mathrm{found}} だ」ということは

「基礎」となる『極小元 e_{\mathrm{min}} がある』ということですから

 

\begin{array}{llllll} \displaystyle e_{\mathrm{min}}&<&e_1&<&e_2&<&\cdots&<&e_n&<&\cdots \end{array}

 

まあつまりこういう「 e_{\mathrm{min}} が存在する」ということで

 

\begin{array}{llllll} \displaystyle 0&∈&S_{\mathrm{pt}}&⊂&N \end{array}

 

\begin{array}{llllll} \displaystyle 0&<&1&<&2&<&\cdots& \end{array}

 

具体的にはこの「 0 がある」場合

この「 S_{\mathrm{pt}} 」での「関係 R_{\mathrm{found}} 」を『整礎関係』と言います。

 

 

 

ちなみに言い換えるなら

この「整礎関係 R_{\mathrm{found}} 」上では

\begin{array}{llllll} \displaystyle e&R_{\mathrm{found}}&e_{\mathrm{min}} \end{array} 」は確実に成立しない、と言えます。

 

 

 

 

 

論理式での表現

 

『関係』と『極小元の存在』

これを表現すれば「整礎的である」の論理式を書けます。

 

\begin{array}{llllll} \displaystyle ∀S_{\mathrm{pt}}⊆S&\Bigl[ (S_{\mathrm{pt}}≠∅)⇒(\textcolor{skyblue}{∃e_{\mathrm{min}}} \Bigl( ∀e\,[\,R_{\mathrm{found}}(e,e_{\mathrm{min}})\,] \Bigr) \Bigr] \end{array}

 

結論はこんな感じなんですけど、

『関係 R 』の表現方法を知らないと

これの意味を読み取ることはできないと思います。

 

\begin{array}{llllll} \displaystyle e_1&R&e_2&&:=&&R(e_1,e_2) \end{array}

 

「二項関係」だとまあこんな感じなんですが

これは決まりですね。覚えるしかありません。

 

 

 

 

 

ちなみに『整礎的である』ことを満たす有名な例

例えば「整列集合」っていう集合の定義は

横着して書くと ↓ みたいな感じです。

 

\begin{array}{llllll} \displaystyle S_{\mathrm{well\,\,Ordered}}&:=&\Bigl\{ e \mid e∈\Bigl( S_{\mathrm{Total \,\, Ordered}} ∩ S_{\mathrm{well\,\,Founded}} \Bigr) \Bigr\} \end{array}

 

「全順序 \mathrm{Total \,\, Ordered} 」かつ

「整礎的 \mathrm{well\,\,Founded} 」である

この場合、その集合は『整列集合』と言われます。