|| またいでも関係ある感じ
「推移関係」を持った『集合』のこと。
数学の本質の一端を担ってる部分になります。
スポンサーリンク
形式的には ↓
\begin{array}{llllll} \displaystyle ∀S_X∀S_Y∀S_{tr}& \Bigl[ \Bigl( (S_X∈S_Y)∧(S_Y∈S_{\mathrm{tr}}) \Bigr)⇒(S_X∈S_{\mathrm{tr}}) \Bigr] \end{array}
その集合が「推移的集合 S_{\mathrm{tr}} 」なら ↑ を満たします。
\begin{array}{llllllllllllllllllllll} \displaystyle 0&<&1&<&…&<&n&&⇒&&0&<&n \\ \\ \displaystyle S_0&∈&S_1&∈&…&∈&S_n&&⇒&&S_0&∈&S_n \end{array}
具体的にはこんな感じ。
記号の解釈
形式で重要なのは ↓ の部分ですね。
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_X&∈&S_Y&∈&S_{\mathrm{tr}}&&⇒&&S_X&∈&S_{\mathrm{tr}} \end{array}
「 S_X∈S_{\mathrm{tr}} 」だとすると
「 S∈S_X 」なら「 S∈S_{\mathrm{tr}} 」になる
\begin{array}{llllllllll} \displaystyle 0&<&1&<&5 &&→&&0&<&5 \end{array}
言われてみれば当然のことを言ってるだけなので
そんな気にすることは無いと思います。
具体的な形
「推移的集合」は『推移関係』を持つ
これを実現する手段の1つに ↓ みたいなやり方があります。
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_α∪\{S_α\}&=&S_{α+1} \end{array}
確認しておくと
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_{α+1}∪\{S_{α+1}\}&=&S_{α+2} \\ \\ S_α∪\{S_α\}∪\{S_α∪\{S_α\}\}&=&S_{α+2} \end{array}
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_α&∈&S_{α+1} \\ \\ &&S_{α+1}&∈&S_{α+2} \\ \\ S_{α}&&&∈&S_{α+2} \end{array}
見て分かる通り
ちゃんと推移的になっています。
実例
「推移的集合」の一番有名な例は『順序数』です。
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_α∪\{S_α\}&=&S_{α+1} \end{array}
その具体的な中身はだいたいこれ。
特に矛盾も出ない上にシンプルなので
この定義が採用されることが多いです。
\begin{array}{lllllllllllll} \displaystyle 0&:=&S_0&=&\{\}&=&∅ \\ \\ 1&:=&S_1&=&\Bigl\{ \{\},\{\{\}\} \Bigr\}&=&\{∅,\{∅\}\} \\ \\ &&&\vdots \\ \\ α+1&:=&S_{α+1}&&&=&S_α∪\{S_α\} \end{array}
ちなみに『順序数』ってのは
「よく使ってる数字」のことです。
推移的集合の一般形
「推移的集合の作り方」は
だいたい ↑ のやつが採用されるんですが
\begin{array}{llllll} \displaystyle \textcolor{pink}{S_{α}∪\{S_{α}\}}∪X&=&S_{α+1} \end{array}
「より広い範囲」で『推移的になる』
そういう条件もまた存在していて
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_{α}&:=&\displaystyle \bigcup_{β<α}\Bigl( \{S_β\}∪S_β \Bigr) \end{array}
まあこれがそうなんですけど、
これは「より多くの集合」を『共有できる』ので
より広い範囲で推移関係を構築できる集合になります。
導出の経緯は ↓
\begin{array}{llllll} \displaystyle \textcolor{pink}{S_{α}∪\{S_{α}\}}∪X&=&S_{α+1} \end{array}
これが最低限の形っぽいから
これにいろいろぶちこんで
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_{α+1}&=&\{S_α\}∪S_α∪\{S_{α-1}\}∪S_{α-1}∪…∪\{S_0\}∪S_0 \end{array}
こんな感じにしてみたら
「より広い範囲の推移的集合」ができた。
とまあそんな感じで
推移的集合の範囲をできるだけ拡張すると
↓ みたいにも書くことができるわけですね。
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_{α}&:=&\displaystyle \bigcup_{β<α}\Bigl( \{S_β\}∪S_β \Bigr) \end{array}
ちなみにこういう風に創った「推移的集合」は
「 β<α 」とかを『関係 S_β∈S_α 』で定義できます。