|| 微分のルールから導かれるやつの話
積・商の微分とかは初見じゃ難しい。
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目次
定数倍の微分「定数をかけた時の微分の振る舞い」
和の微分「2つの関数の足し算を微分した時の」
積の微分「2つの関数の掛け算を微分した時の」
商の微分「関数が分母に来る時の微分」
合成関数の微分「変数が関数になる時の微分」
逆関数の微分「逆関数を使う時の微分」
定数倍の微分
まあこれはそのままです。
(cf(x))′===h→0lim(x+h)−xcf(x+h)−cf(x)h→0limc(x+h)−xf(x+h)−f(x)c(f(x))′
(cf(x))′=c(f(x))′
なんの捻りも無い結果になります。
和の微分
これも特に変な結果にはなりません。
=====(af(x)+bg(x))′h→0lim(x+h)−x(af(x+h)+bg(x+h))−(af(x)+bg(x))h→0lim(x+h)−xaf(x+h)−af(x)+bg(x+h)−bg(x)h→0lim(x+h)−xaf(x+h)−af(x)+(x+h)−xbg(x+h)−bg(x)h→0lima(x+h)−xf(x+h)−f(x)+b(x+h)−xg(x+h)−g(x)af′(x)+bg′(x)
(af(x)+bg(x))′=af′(x)+bg′(x)
当然のようにこうなります。
結果、微分の操作が「線形性」を持つ
ということも分かりました。
積の微分
この辺りから怪しくなってきます。
(f(x)g(x))′=f′(x)g(x)+f(x)g′(x)
結果はこうなんですけど
直感的には理解し辛いと思います。
(x+h)−xf(x+h)g(x+h)−f(x)g(x)
実際、これはこのままだとダメで
f(x+h)g(x)−f(x+h)g(x)f(x)g(x+h)−f(x)g(x+h)
「 (x+h) の関数を分離できる」
「元の関数の形を変えない ×1,+0 」
こういった要望を叶えるものが必要になって
==f(x+h)g(x+h)−f(x+h)g(x)f(x+h)(g(x+h)−g(x))f(x+h)g(x)−f(x)g(x)g(x)(f(x+h)−f(x))
==(x+h)−xf(x+h)g(x+h)−f(x)g(x)hf(x+h)(g(x+h)−g(x))+g(x)(f(x+h)−f(x))f(x+h)hg(x+h)−g(x)+g(x)hf(x+h)−f(x)
そこから導かれるので
あまり直感的とは言えないものになります。
f′(x)g′(x)×
こうなりそうなもんですが
f′(x)g(x)+f(x)g′(x)
比較してみると
直感とはまるで異なる結果ですね。
商の微分
これもだいぶやってます。
(f(x)1)′=−(f(x))2f′(x)
「合成関数の微分」を理解してれば直感的ですが
分からないと意味不明な結果だと思います。
(x+h)−xf(x+h)1−f(x)1
ただ、導出はシンプル
f(x+h)1−f(x)1===f(x+h)f(x)f(x)−f(x+h)f(x+h)f(x)1(f(x)−f(x+h))f(x+h)f(x)−1(f(x+h)−f(x))
(f(x)1)′=h→0limf(x+h)f(x)−1(x+h)−xf(x+h)−f(x)
そこまで難しい操作は要求されません。
積の公式との応用
以下の形も見ることがあるので紹介
(g(x)f(x))′=(g(x))2f′(x)g(x)−f(x)g′(x)
これは積の形から求められます。
(g(x)f(x))′====(f(x)g(x)1)′f′(x)g(x)1+f(x)(g(x)1)′f′(x)g(x)1+f(x)⎝⎜⎜⎛−(g(x))2g′(x)⎠⎟⎟⎞f′(x)(g(x))2g(x)−f(x)(g(x))2g′(x)
基本は公式を当てはめるだけで
これも見た目のわりにはそこまで難しくないです。
合成関数の微分
簡易的な証明では不十分ですが
これはわりと直感的に分かると思います。
(f(g(x)))′dxdf(x)==f′(g(x))g′(x)dg(x)f(g(x))dxdg(x)
g(x+h)−g(x)=0 の場合でのみ成立
とまあ以下の証明ではそんな制約がつきますけど
=(x+h)−xf(g(x+h))−f(g(x))g(x+h)−g(x)f(g(x+h))−f(g(x))(x+h)−xg(x+h)−g(x)
hg(x+h)−g(x)→→00
まあ大まかにはこんな感じ。
ちなみにカバーしきれてないのは
g(x)=g(x+h)
こうなってしまう定数関数とか
x の周りで局所的に定数関数になるやつとか
g(x)=k
そういうちょっと変な関数くらいで
よく使う関数は ↑ の証明でカバーできてます。
dg(x)=0 でもいける
g(x+h)−g(x)=0 ってことにしたくない。
そんな要望を満たすような式変形は実は可能です。
dxdxdg(x)=====h→0lim(x+h)−xdx→0limdxh→0limg(x+h)−g(x)h→0limg(x+(x+h−x))−g(x)g(x+dx)−g(x)
dxdg(x)→→00
やり方はこの定義から導かれる感じで
f′(g(x))g′(x)=?→0lim(f′(g(x))+?)(g′(x)+?)
最終着地はこんな感じだと予想されることから
dxdg(x)=g′(x)
最終的に g(x+h)−g(x) が分母に来ないよう
o(dx)=⎩⎪⎪⎨⎪⎪⎧dxdg(x)−g′(x)0dx=0dx=0
dx→0limo(dx)=0
h を動かさないとして
このような誤差関数 o(dx) を定義。
dx→0−0limdxdg(x)−g′(x)=0=dx→0+0limdxdg(x)−g′(x)
すると当然ですが
o(dx) は dx=0 で連続と言えるので
0 を含む全ての x で以下の等式が成立(重要)
g(x+dx)−g(x)=(g′(x)+o(dx))dx
dx=0dx=0〇〇
同様の手順で f(x) のこれも構成出来て
(記号があれなので u=g(x) と置きます)
dg(x)dg(x)+g(x)du+u===g(x+dx)−g(x)g(x+dx)g(x+dx)
f(g(x)+dg(x))−f(g(x))f(u+du)−f(u)==(f′(g(x))+of(dg(x)))dg(x)(f′(u)+of(du))du
ここで1度 du を分母に置き
その上で連続性を確認してみると
du→0−0limdudf(u)−f′(u)=0=du→0+0limdudf(u)−f′(u)
きちんと連続性が確認できるので
「 dg(x) が 0 でもいい」ことが示された上で
f(u+du)−f(u)=(f′(u)+of(du))du
du=0du=0〇〇
式の変形により
「 dg(x) が分母に来るのを回避」できます。
g(x+dx)−g(x)f(u+du)−f(u)==(g′(x)+o(dx))dx(f′(u)+of(du))du
dxdf(g(x))======dxf(g(x+dx))−f(g(x))dxf(u+du)−f(u)dx(f′(u)+of(du))dudx(f′(u)+of(du))(g(x+dx)−g(x))dx(f′(u)+of(du))(g′(x)+o(dx))dx(f′(u)+of(du))(g′(x)+o(dx))
で、後はもうただの式変形
(f(g(x)))′=====dx→0limdxf(g(x+dx))−f(g(x))dx→0limdxf(u+du)−f(u)dx→0lim(f′(u)+of(du))(g′(x)+o(dx))f′(u)g′(x)f′(g(x))g′(x)
dx→0⇒⇒⇒duo(dx)of(du)→→→000
これで関数の制約無く
合成関数の微分を行えることが示されました。
証明の本質
なぜこれで良いのか補足しておきます。
そのために du=0 の場合を考えると
f′(u)=h→0lim(u+h)−uf(u+h)−f(u)
f′(u) の定義をこのように置けば
h を du=h だと考えると
du が分母に来ることは無いので
of(du)=⎩⎪⎪⎨⎪⎪⎧dudf(u)−f′(u)0du=0du=0
f(u+du)−f(u)==(f′(u)+of(du))du0
この部分はこのように 0 になります。
これでなんとなく分かったと思うんですが
dx→0limg(x+dx)−g(x)h→0lim(g(x)+h)−g(x)==dx→0lim0h→0limh
この証明を保証する上で最も大切なのは
この部分になります。
逆関数の微分
これはけっこう直感的な形になります。
yf−1(y)==f(x)x
dxdy=dydx1
証明は簡単
「逆関数の定義」と「合成関数の微分」
この2つが分かっていれば直ちに導かれます。
yf−1(y)==f(x)x
dxdf−1(y)dxdf−1(f(x))==dxdx1
dxdf−1(f(x))===df(x)df−1(f(x))dxf(x)dydf−1(y)dxdydydxdxdy
dxdf−1(f(x))dydxdxdy==11
こう見ると
「合成関数の微分」が若干ハードル高いですね。
逆三角関数の微分
この操作から以下が導かれます。
dxdarcsinxdxdarccosxdxdarctanx===1−x21−1−x21x2+11
導出はちょっと大変
ysiny==arcsinxx
dydx=cosy
dydxdxdarcsinxcosydxdarcsinxdxdarcsinx===11cosy1
sin2θ+cos2θ=1
−2π<y<2π
cosy>0
cosy==1−sin2y1−x2
dxdarcsinx==cosy11−x21
置換積分をする時
よくわからん置換をする時がありますが
∫1−x21dx∫x2+11dxx=sinθx=tanθ
そういうのの明確な根拠はこれです。