|| 波形でいろんな図形が表せるんだよってやつ
これは『三角関数の積分』と『直交性』から得られた
『仮説』を検証した「結果」になります。
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目次
フーリエ解析の感覚「単純な波形を組み合わせる」
ベクトルと関数「同じものを表現できる」
基底と完全系「いろんな関数を表せるやつ」
内積と直交「掛けると 0 になるやつ」
フーリエ級数「ほとんどの関数はこれで表せる」
複素関数の一般形「オイラーの公式を使ってみた」
フーリエ解析というと
見た目がかなりごついあれです。
初見だとほんとよくわからないというか
とにかく直感的に理解しにくいものだと思います。
『テイラー展開』を理解している人であれば
まあ「正しいだろうな」とはわかるんですけど
それでも『なんでこれを導けたのか』とか
いわゆる「発想の元」みたいな
『仮説が得られるまで』の過程とかの
フーリエ級数を求めるための手順
についてはよくわからないと思います。
実際、自分もよく分かんなかったので
この記事ではその話をメインで扱っていきます。
ちょっとやりすぎなくらい詳しくやるつもりです。
まあ「テイラー展開」はさすがに省略しますが。
ちなみに具体的なイメージについては、
「 \mathrm{myFourierEpicycles} 」これで検索してみてください。
図形を描くソフトなんですけど、
たぶんこれがフーリエ級数展開のイメージの中で
もっとも直感的に分かりやすいものだと思います。
一応、近似していくイメージは作りましたが
最後、ちょっと雑です。
関数とベクトル
|| 関数とベクトルは似たようなもんだよねって話
「横にいくつか・縦にいくつか」と
「 x 軸にいくつか・ y 軸にいくつか」
まあ要は↓みたいなのは
\begin{array}{rlc} \displaystyle \vec{a}&=&\begin{pmatrix} 1\\2 \end{pmatrix} \\ \\ \displaystyle 2\vec{a}&=&\begin{pmatrix} 2\\4 \end{pmatrix} \\ \\ \\ \displaystyle f(x)&=&2x \end{array}
『ほとんど同じようなものに見える』よねって話です。
「ベクトル」は『原点からの座標』を表してますし
少なくとも「傾き」については
間違いなく一致してるのが分かると思います。
傾き以外も考えたいなら、
\begin{array}{rlc} \displaystyle f(x)&=&2x+5 \\ \\ \displaystyle f(x)&=&\begin{pmatrix} 5&2 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} x^0\\x^1 \end{pmatrix} \end{array}
こうするのも良いです。
一般化すると
\begin{array}{rlc} \displaystyle f(x)&=&\begin{pmatrix}a_1&a_2&\cdots&a_n \end{pmatrix}\begin{pmatrix} x^0\\x^1\\ \vdots \\ x^n \end{pmatrix} \\ \\ \\ \displaystyle f(x)&=&\begin{pmatrix}1&0&\cdots&0 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} x^0\\x^1\\ \vdots \\ x^n \end{pmatrix} \\ \\ &=&1 \end{array}
こんな感じに
好きな関数を作ることができますし。
基底と完全系
↑ の話を一般化した
用語についての話をしていきます。
『基底』については、とりあえず
「いろいろ表せる基準」とでも思っておいてください。
具体的には
例えば ↑ の場合だと
↓ みたいなやつを「基底」って呼んでいて、
\displaystyle \begin{pmatrix} x^0\\x^1\\x^2 \\ \vdots \\ x^n \end{pmatrix}
これは「係数を良い感じに決める」と
『ほとんど全ての関数を表すことが可能』ですから
「基準」として考えることができる。
まあつまり
「明確に意味のあるもの」なので
「基底」って名前が付けられてる
とまあそんな感じで
フーリエ級数ではこの基底に三角関数を用います。
なぜ正しいのか
これが正しい理由の厳密な説明には
「代数学の基本定理」「テイラーの定理」など
主題がズレるのでここでは解説しません。
\displaystyle \begin{pmatrix} x^0\\x^1\\x^2 \\ \vdots \\ x^n \end{pmatrix}
ここでは
とりあえず「基底」の中でも
特に ↑ みたいな便利なやつがあって
こういう『ほぼ全て表せる便利な基準』を
「完全系」と呼ぶ。
これをなんとなく覚えておいてください。
フーリエ級数の主張
フーリエ級数の主張は
↓ も完全系だ、って言ってる感じで
\displaystyle \begin{pmatrix} \cos 0x \\ \sin 0x \\ \cos 1x \\ \sin1x \\ \vdots \\ \cos nx \\ \sin nx \end{pmatrix}
実数の範囲だと ↑
複素数の範囲だと ↓
\displaystyle \begin{pmatrix} e^{i0x} \\ e^{i1x} \\ e^{i2x} \\ \vdots \\ e^{inx} \end{pmatrix}
まあこの時点じゃよくわかんなくて当然なので
こうなる理由はいったんスルーしておいてください。
これの説明は ↓ でしていきます。
この時点では
とりあえず用語とか性質とか
なんかそういうのがあることを覚えてください。
内積と直交
|| 掛けて 0 になると嬉しい
『内積』って操作があるんですけど
これは「連続」値の場合だと↓みたいに表せます。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle \langle f(x),g(x) \rangle &=&\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}f(x)g(x)\,dx \end{array}
ちなみに『内積』っていうのは
↓ みたいな操作です。
\begin{array}{rlc} \displaystyle ||x||&=&\displaystyle\sqrt{x^2} \\ \\ & =&\displaystyle\sqrt{\langle x,x \rangle} \\ \\ \\ \displaystyle \frac{\langle a,b \rangle}{||a||\,||b||}&=&\cosθ \end{array}
これの意味は
「長さの求め方を一般化した操作」って感じで
\begin{array}{rlc} \displaystyle \vec{a}&=&(a_1,a_2) \\ \\ \displaystyle \langle \vec{a},\vec{a} \rangle&=&a_1a_1+a_2a_2 \end{array}
\displaystyle \begin{array}{rlc} A&=&(a_1,a_2,...,a_n) \\ \\ B&=&(b_1,b_2,...,b_n) \\ \\ \\ \displaystyle \langle A,B \rangle&=&a_1b_1+a_2b_2+...+a_nb_n \end{array}
他にも↓みたいに
『間にあるちょっと邪魔なやつ』とか
\displaystyle \begin{array}{clllc} \vec{a}&=&(a_1,a_2) \\ \\ \vec{b}&=&(b_1,b_2) \\ \\ \\ \displaystyle (\vec{a}+\vec{b})^2&=&|| \vec{a} ||^2+2\vec{a}・\vec{b}+|| \vec{b} ||^2 \end{array}
なんかそんな感じで
\displaystyle \begin{array}{rlc} \vec{a}^2&=&||\vec{a} ||^2 \\ \\ &=&\displaystyle\left(\sqrt{a_{1}^{2}+a_{2}^{2}}\right)^2 \\ \\ \\ \vec{b}^2&=&||\vec{b} ||^2 \\ \\ &=&\displaystyle\left(\sqrt{b_{1}^{2}+b_{2}^{2}}\right)^2 \\ \\ \\ \displaystyle \vec{a}・\vec{b}&=&\langle \vec{a},\vec{b} \rangle \end{array}
こう見ると
もしかしたら分かりやすいかもしれません。
内積の一般形
これの一般形なんですけど
これは ↓ みたいな感じで見ていくと
もしかしたら分かりやすいかもしれません。
\begin{array}{llc} \displaystyle \sum_{x=0}^{\infty} f(x)g(x)&=&f(0)g(0)+f(1)g(1)+\cdots \\ \\ \displaystyle \sum_{x=0}^{\infty} f(x)g(x) ×1&=&f(0)g(0)+f(1)g(1)+\cdots \end{array}
これは「間隔 dx=1 」のパターンで、
↓はこの「間隔を小さくしたもの」だと考えてください。
\displaystyle \lim_{dx→0} \sum_{x=-\infty}^{\infty} f(x\,dx)g(x\,dx)\,dx
すると
これが ↓ の結果と一致することが分かります。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle \langle f(x),g(x) \rangle&=&\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} f(x)g(x) \,dx \end{array}
ちょっとややこしいですが
『連続値の場合の内積』については
感覚的にはこんな感じです。
とりあえずこの時点では
へー ってくらいに思っておいてください。
直交と 0
フーリエ級数を考える場合に重要なのは
これを使った場合の「性質」でして
具体的には「 0 」になるパターンと
「特定の場合以外に 0 」になるパターンが大事になります。
具体的には ↓ のパターンが重要で
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle \cos \left(\frac{π}{2}+nπ\right)&=&0 \end{array}
これは見た目の上では
「2つのベクトルが 90° で交わってる」
つまり
『直角に交わってる』感じなので
そこから「直交系」って名前が来ていて
これがけっこう便利でして
この場合 ↓ の操作ができることから
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle || \vec{x} || \, || \vec{y} ||\,\cos \frac{π}{2}&=&0 \end{array}
こういう風に「排除したい部分がある」時
「直交系」が良い感じに使えたりします。
直交系と完全系
「直交」ってのを『縦横 90° 』として
『片方を横 もう片方を縦 と考える』感じにすると
\begin{array}{lllllllllllll} \displaystyle \begin{pmatrix} 2&3 \end{pmatrix}&=&2\begin{pmatrix} 1&0 \end{pmatrix}&+3\begin{pmatrix} 0&1 \end{pmatrix} \\ \\ \displaystyle \begin{pmatrix} 2&3 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} x\\y \end{pmatrix}&=&2\begin{pmatrix} 1&0 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} x\\y \end{pmatrix}&+3\begin{pmatrix} 0&1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} x\\y \end{pmatrix} \end{array}
これはこんな感じにできます。
で、これは結果的に「完全系」の話に関わる感じで
いろんなものを統一的に表現する時
よく使われる考え方になります。
まあそれだけ言われてもって感じかもしれませんが
関数の表現で「ベクトルが使える」
その計算に「内積」が絡むパターンがある
こういう事実から
これはなんとなく想像できると思います。
実際、特に広い範囲を扱える直交系は
直交系の中でも「完全だ」って言われていて
有名なやつだと ↓ みたいなのが。
\begin{array}{ccc} \displaystyle a_n\cos nx+b_n\sin nx &\begin{pmatrix} \cos 0x\\ \sin 0x\\ \cos 1x\\ \sin 1x \\ \vdots \end{pmatrix} \\ \\ \displaystyle c_n e^{inx} &\begin{pmatrix} e^{i0x}\\ e^{i1x}\\ e^{i2x}\\ \vdots \\ e^{inx} \\ \vdots \end{pmatrix} \end{array}
見て分かると思いますが
これらが「フーリエ級数」の基盤となる
「完全系」って言われてるやつで
\displaystyle \begin{pmatrix} a_0&b_0&a_1&b_1&\cdots \end{pmatrix}\begin{pmatrix} \cos 0x \\ \sin0x \\ \cos1x \\ \sin1x \\ \cos2x \\ \sin2x \\ \vdots \end{pmatrix}
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle f(x)&=&\displaystyle\begin{array}{ccc} a_0\cos 0x+a_1\cos 1x+\cdots+a_n\cos nx +\cdots \\ \\ +\, b_0\sin 0x+b_1\sin1x+\cdots+b_n\sin nx +\cdots \end{array} \end{array}
これを使うと
この「定数 a_i,b_i 」を好きに定めれば
いろんな図形・関数を表現できたりします。
具体的には
実数値関数であればだいたいこれで表せます。
稀に表せないものもありますが
そういうのはだいたい「無限」が絡んでる場合で
「部分的に積分できない」やつとか
「連続じゃない関数」とか
そういう異常な関数を除けば
「完全系」は全部の図形を表現することができます。
直交系が完全だってことの感覚
これは言葉より、シミュレーションとか
そういうので見た方が分かりやすいんですが
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle f(θ)&=&a\cos θ + b\sin θ \end{array}
『1変数関数』とかで見てみると
「 x 座標の変化量を a\cos θ 」
「 y 座標の変化量を b\sin θ 」とおいて
複素数の極座標による表現
あるいはベクトルによる表現みたいにすると
『両方の座標を決める』ものは
『変数 θ だけ』になることから
『変数 θ の値だけ』決まれば
全体である「 f(θ) 」の値も定まると言えて
これはベクトルで表すと
↓ みたいな感じになりますから
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle \begin{pmatrix} a\\b \end{pmatrix}&=&a\begin{pmatrix} 1\\0 \end{pmatrix}+b\begin{pmatrix} 0\\1 \end{pmatrix} \end{array}
これで「フーリエ級数」が
この『関数の足し算』を
「回数無制限で行える」
みたいな感覚がなんとなく掴めると思います。
具体的には ↓ みたいな感じに。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle f(x)&=&f_0(0x)+f_1(1x)+f_2(2x)+\cdots \end{array}
\displaystyle \begin{array}{llclllllll} \displaystyle f_0(0x)&=&a_0\cos 0x + b_0 \sin 0x \\ \\ f_1(1x)&=&a_1\cos 1x + b_1 \sin 1x \\ \\ f_2(2x)&=&a_2\cos 2x + b_2 \sin 2x \\ \\ &&\vdots \end{array}
まあ要は
『表現したい形に近づける』って意味での
『補正』ってやつを「無限回行える」
とまあこんな感じで
「直交系」は『係数に影響を与えず』に
この操作を行えることから
「完全系」に応用できる
とまあこんな感じで
この直交系は完全系と関わってるんです。
と言っても
この時点じゃよくわからんと思います。
なのでとりあえず
なんとなく分かれば今はそれでOK
『なんどでも補正できる』
みたいな感じに思ってれば
だいたいそれで合ってます。
フーリエ級数
|| 細かくグルグルを組み合わせるといろいろ表せる
「直交系で完全系を作れんじゃね?」っていう
『仮説』から得られた完全系がこれ。
\begin{array}{rllll} \displaystyle f(x)&=& \displaystyle \frac{a_0}{2}+\sum_{k=1}^{\infty} a_k\cos kx+b_k\sin kx \\ \\ \\ \displaystyle a_k&=&\displaystyle \frac{1}{π} \int_{-\infty}^{\infty} f(x)\cos kx \,dx \\ \\\displaystyle b_k&=&\displaystyle \frac{1}{π} \int_{-\infty}^{\infty} f(x)\sin kx \,dx \end{array}
式はこんな感じ。
初見じゃ意味わからなくて当然なので
とりあえずこれの意味については一端スルーで。
なんとなくの意味
「使うとき」は ↑ のが分かりやすいんですけど
「意味を考える」場合は ↓ みたいに書く方が良いかも?
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle f(t)&=&\displaystyle\frac{a_0}{2}+\sum_{ω=1}^{\infty} a_ω\cos ωt+b_ω\sin ωt \end{array}
「 ω 」は『角速度(角度の時間変化)』
「 t 」は『時間』だと考えると
ちょっとだけ式の意味が分かると思います。
三角関数の重要な性質
フーリエ級数を説明する上で最も重要になるのは
↓ の三角関数の積分になります。
\displaystyle \begin{array}{rlc}\displaystyle \int_{-π}^{π} \cos ωt \,dt &=&0 \\ \\ \displaystyle \int_{-π}^{π} \sin ωt \,dt &=&0 \end{array}
周期関数ですし
図形の見た目で計算しなくても値は分かると思います。
(「上の半円」と「下の半円」を足して相殺する感じ)
といってもこの時点じゃ
これが「なんで必要なのか」
については分かんないと思います。
結論としては
『この時点では』特に意味は無いんですが
『あらゆる関数 f(x) を積分する』時に
この性質が超重要になる理由が分かります。
これはその前の段階の話で
まあつまり、これは計算で言うところの
「 1+1=2 」みたいなものに当たります。
とりあえずこの時点では
『積分すると無くなる』
という事実だけ理解できればOKです。
三角関数の内積
「三角関数の性質」を調べていく過程で
当然「三角関数の内積」を使った話は出てくる。
\begin{array}{llllllll} \displaystyle \langle \cos x ,\sin 3x \rangle &=&\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\cos x \sin 3x \,dx \\ \\ &=&0 \end{array}
\displaystyle \begin{array}{llllllll} \sin(α+β)&=&\sin α \cos β +\sin β \cos α \\ \\ \sin(α-β)&=&\sin α \cos β -\sin β \cos α \\ \\ \\ \sin(2-1)x+\sin(2+1)x&=&2\sin 3x \cos x \end{array}
すると必然的に ↑ のような計算が出てくるので
「計算結果が 0 になって消える」ものが
新たに発見できます。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\cos x \sin 3x \,dx &=&\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\sin(2-1)x \,dx+\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\sin(2+1)x \,dx \\ \\ &=&0+0 \end{array}
で、これは内積ですから
どうやら「 \cos x 」と「 \sin 3x 」の2つは
『直交している』と言えるわけで
結果として
「あらゆる整数 n,m 」で調べてみると
\displaystyle \begin{array}{lllllll} \sin(α+β)&=&\sin α \cos β +\sin β \cos α \\ \\ \sin(α-β)&=&\sin α \cos β -\sin β \cos α \\ \\ \\ \sin(α+β)+\sin(α-β)&=&2\sin α \cos β \end{array}
\begin{array}{llc} \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\sin nx \cos mx\,dx & =&\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\left(\frac{1}{2}\sin(nx+mx)+\frac{1}{2}\sin(nx-mx) \right)\,dx \\ \\ &=&0\end{array}
どの整数でも成立することが分かります。
0 にはならないパターン
↑ を調べたということは
当然 ↓ のパターンも調べられています。
\displaystyle \begin{array}{llllll} \cos(α+β)&=&\cos α \cos β-\sin α \sin β \\ \\ \cos(α-β)&=&\cos α \cos β+\sin α \sin β \\ \\ \\ 2\cos α \cos β&=&\cos(α-β)+\cos(α+β) \\ \\ 2\sin α \sin β&=&\cos(α-β)-\cos(α+β) \end{array}
n≠m
\displaystyle \begin{array}{llll}\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \cos nx \cos mx \,dx &=&0 \\ \\ \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \sin nx \sin mx \,dx &=&0 \end{array}
n=m
\displaystyle \begin{array}{lllll}\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \cos nx \cos nx \,dx &=&\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \frac{1}{2}\Bigl( \cos 0x-\cos 2nx \Bigr) \,dx \\ \\ \\ \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \sin nx \sin nx \,dx &=&\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \frac{1}{2}\Bigl( \cos 0x+\cos 2nx \Bigr) \,dx \end{array}
この計算は一見すると大変ですが
「全ての区間 -π≤nx≤π 」は円なので
\begin{array}{llllll}\displaystyle \int_{-π}^{π} \frac{1}{2}\Bigl( \cos 0x±\cos 2nx \Bigr) \,dx &=&\displaystyle \int_{-π}^{π} \frac{1}{2} \,dx±0 \\ \\ &=&\displaystyle \frac{1}{2}\Bigl[ x \Bigr]_{-π}^{π} \\ \\ &=&\displaystyle \frac{1}{2}(π-(-π))&=&π \end{array}
この部分が分かれば十分だと分かります。
重要なのは「全体であること」ですから
この「1周期の形」さえ押さえておけば
これ以上の範囲の大きさは考える必要はありません。
ちなみに1周期であれば良いので
ここは 0≤nx≤2π とかでもOK
「 -π≤nx≤π 」にしてるのは
計算が分かりやすいから
ただそれだけの理由になります。
0 になる場合とそれ以外
↑ の計算結果から
三角関数の内積は「 n=m 」で
0 以外の値になることが分かりました。
\begin{array}{llllll} \displaystyle δ_{nm}&=&\begin{cases} \displaystyle 0&&n≠m \\ 1&&n=m \end{cases} \end{array}
\begin{array}{lllllll} \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\sin nx \cos mx\,dx&=&0 \\ \\ \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\cos nx \cos mx\,dx&=&πδ_{nm} \\ \\ \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\sin nx \sin mx\,dx&=&πδ_{nm} \end{array}
てことは n≠m のパターンでは
『積分すると邪魔な部分が 0 になる』わけで
てことは、内積(積分)をとった時
『必要な部分以外を排除できる』っていう
そういう事実が確定するわけです。
これがいわゆる『直交系の性質』ってやつで
完全系はこれを利用して作られています。
直交性と全体の感覚
フーリエ級数のイメージは
『波の重ね合わせ』が基本なんですけど
なんか直観的にはよく分かんないと思います。
\displaystyle \begin{array}{lllllll} f(x)&≒&f(0) \\ \\ &≒&f(0)+f^{\prime}(0)x^1 \\ \\ &\displaystyle ≒&\displaystyle f(0)+f^{\prime}(0)x^1+\frac{1}{2!}f^{\prime\prime}(0)x^2 \\ \\ &\displaystyle ≒&\displaystyle f(0)+f^{\prime}(0)x^1+\frac{1}{2!}f^{\prime\prime}(0)x^2+\frac{1}{3!}f^{(3)}(0)x^3 \\ \\ &&\vdots \end{array}
テイラー展開の場合だと
「微分」で『点の傾き』を求めて
『線の形の精度を上げる』ことで
「正確な形に近づけていく」っていうのが
\begin{array}{cllllll} \displaystyle f(x)&≒&f(a)+f^{\prime}(x-a) \\ \\ y&=&f(a)+f^{\prime}(x-a) \end{array}
『 x=0 の周り』で
どんどん「 f(x) 」に近づくことが
なんとなく感覚的に分かるんですけど
フーリエ級数に関しては
テイラー級数のようなイメージはしにくいです。
イメージの目安
フーリエ級数にも、イメージの基本となる
「点の傾き」にあたるものが欲しい。
この要望を叶えるためには
まず『大まかな形』を考える必要があって
\displaystyle \left\{\begin{array}{lll} x&=&a\cos ωt \\ \\ y&=&b\sin ωt \end{array} \right.
とりあえず
「非常に単純な形」である1次式から
『円』の形を読み取ってみます。
\begin{array}{llllll} \displaystyle f(t)&=&\cos ωt+\sin ωt \\ \\ \displaystyle f(t)&=&a\cos ωt+b\sin ωt \end{array}
すると
これがイメージの基礎になりそうな
なんかそんな感じがしますがどうでしょうか。
円の変形
「円が描ける」こと
「 a,b で伸縮」して
「楕円が描ける」ことは確定しました。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle f(0)&=&a_0 \end{array}
加えて「図を描く出発点」として
↑ の線が来るのも分かります。
これは「図の中心の位置」
という風に言えるもので
具体的な値はさておき
これが「元の形 f(x) 」の
「平均・大まかな高さ」を表すのは分かると思います。
円と全体の高さと補正
ここまでが基礎として
フーリエ級数の式が主張しているのが
『波の平均を重ねてる』みたいな
そういう感じなんですが
この時点でなんとなーくその感覚が分かりませんか?
ある図形 f(t) の
「すごく大まかな形」が a_0 で
\begin{array}{llllll} \displaystyle f(t)&≒&a_0 \end{array}
ちょっとだけ「細かな形を付け足した」のが ↓
\begin{array}{llllll} \displaystyle f(t)&≒&a_0+a_1\cos t +b_1\sin t \end{array}
以下、徐々に近づいていく、みたいな
ただの予想
「他の円・波を加えていく」と
『いろんな図形を描けそう』
式だけを見ても
直感的にはこれ以上のことは分かりません。
でも ↓ みたいな円・楕円を加えると
\displaystyle \begin{array}{lllll} x_{2}&=&a_2\cos 2t \\ \\ y_2&=&b_2\sin 2t \end{array}
『前の図形に余計な影響を与えない』で
『良いように波形を加える』ことができる
そして「波を加える」場合
間違いなく『形は変わる』
\begin{array}{rlc} a_n\cos nt+b_n\sin nt&≠0 \\ \\ \displaystyle f(t)+a_n\cos nt+b_n\sin nt&≠f(t) \end{array}
これを『無限(無制限)』の回数行える
この事実から
「いろんな図形を表現できそう」
これがなんとなく正しそうなのは分かると思います。
予想できる形
フーリエ級数の発想ってのはこんな感覚なので
直交系の性質から ↓ のやつが『予想』できる
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle f(x)&=&\begin{array}{lcc} a_0\cos 0x+a_1\cos 1x+a_2\cos 2x+\cdots \\ \\ +b_0\sin 0x+b_1\sin 1x+b_2\sin 2x+\cdots \end{array}\end{array}
とまあそんな感じで
これでいけんじゃないの? っていうのが
フーリエ級数の雛型となった『仮説』になります。
もう一度確認しておくと
\begin{array}{llll} \displaystyle f(t)&≒&a_0 \\ \\ f(t)&≒&a_0+a_1\cos t +b_1\sin t \\ \\ f(t)&≒&a_0+a_1\cos t +b_1\sin t+a_2\cos 2t +b_2\sin 2t \\ \\ &&\vdots \end{array}
『表したい図形の平均・重心』から
任意の関数を復元できそう。
これが予想で
根拠は『直交性』が保証されていることと
『積分によって a_n,b_n が求められる』可能性があること
ついでにメタ的な話として
「オイラーの公式」を理解しているなら
フーリエ級数が正しそうな理由がなんとなくわかります。
以上がフーリエ級数に至るまでの話で
以下、これが正しいかどうかの確認作業
まあつまり計算を行っていきます。
平均と係数
まず『図形の出発点 a_0 』については
わりと簡単に求めることが出来るので
説明はざっくりと。
\displaystyle \begin{array}{rllll} f(0)&=&c \\ \\ f(t)&=&\displaystyle c+\sum_{ω=1}^{\infty} a_n\cos ωt+b_n\sin ωt \\ \\ \\ \displaystyle\int_{-π}^{π} f(t) \,dt &=&\displaystyle\int_{-π}^{π} c \,dt +\int_{-π}^{π} \sum_{ω=1}^{\infty} a_n\cos ωt+b_n\sin ωt \,dt \\ \\ &=&\displaystyle c\int_{-π}^{π} \,dt+0 \\ \\ &=&\displaystyle c \Bigl[ t \Bigl]_{-π}^{π} \\ \\ &=& 2πc \end{array}
\displaystyle \begin{array}{rllll} \displaystyle 2πc&=&\displaystyle\int_{-π}^{π} f(t) \,dt \\ \\ c&=&\displaystyle \frac{1}{2π}\int_{-π}^{π} f(t) \,dt \end{array}
「三角関数の積分」は 0 になるので
この辺りは特に疑問なくわかると思います。
\displaystyle \frac{1}{2π}\int_{-π}^{π} f(t) \,dt
で、これの『意味』なんですけど
これ、なんか「中間の線」って感じがしませんか?
やってることは ↓ の連続値バージョンですし。
\displaystyle \begin{array}{llc} 1+2+3&=&3c \\ \\ 1+2+3+4+5&=&5c \\ \\ \\ \displaystyle \sum_{i=1}^{n}f(x_i)&=&nc \end{array}
\displaystyle \frac{1}{2π}\int_{-π}^{π} f(t) \,dt
この c は「全体の平均」のようなもの。
だからこれが「すごい大雑把な形」を表してる。
これはなんとなく分かると思います。
係数 a_n,b_n
直交性を考えると
他の係数も ↑ と同じように求めることができます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos nx \,dx&=&\displaystyle a_n\int_{-π}^{π} \cos nx\cos nx \,dx \\ \\ \displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\sin nx \,dx&=&\displaystyle b_n\int_{-π}^{π} \sin nx\sin nx \,dx \end{array}
「内積」を使うと
「直交する部分」は 0 になるので
このようにすれば「 a_n,b_n 」を取り出せる。
これが確かなので
例えば「 \cos 1x 」を抜き出すと
\displaystyle \begin{array}{lc} \displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos 1x \,dx & =& \displaystyle\int_{-π}^{π} \Bigl(a_0\cos 1x +a_1\cos 1x \cos 1x+ \cdots\Bigr)\,dx \\ \\ && +\displaystyle\int_{-π}^{π} \Bigl(b_1\sin 1x \cos 1x + b_2\sin 2x \cos 1x + \cdots\Bigr)\,dx \end{array}
\displaystyle \begin{array}{rlc} \displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos 1x \,dx&=&\displaystyle\int_{-π}^{π} a_1\cos 1x \cos 1x\,dx \\ \\ &=&a_1\displaystyle\int_{-π}^{π} \cos^2 x \,dx \\ \\ \\ &=&a_1\displaystyle\int_{-π}^{π} \frac{1+\cos (x+x)}{2} x \,dx \\ \\&=&a_1π \end{array}
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle a_1&=&\displaystyle\frac{1}{π}\displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos x \,dx \end{array}
こんな感じに。
同じように
「 a_2 」の場合も ↓ みたいになります。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle a_2&=&\displaystyle\frac{1}{π}\displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos 2x \,dx \end{array}
必然、同様の計算手順で
↓ が正しいことも分かる。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle a_k&=&\displaystyle\frac{1}{π}\displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos kx \,dx \end{array}
とまあこんな感じで
係数 a_n が定まることも分かりました。
同様に「係数 b 」も
「 \sin kx 」を使えば
特に問題なく「 b_k 」を取り出せます。
\displaystyle \begin{array}{llll} \displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\sin kx \,dx&=&\displaystyle\int_{-π}^{π}b_k\sin kx\sin kx \,dx+0 \\ \\ &=&\displaystyle b_k\int_{-π}^{π} \frac{1-\cos(kx+kx)}{2} \,dx \\ \\ &=&b_k π \end{array}
まとめると
係数は ↓ の式で導けることが分かりました。
\begin{array}{rlc} \displaystyle a_k&=&\displaystyle \frac{1}{π}\displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos kx \,dx \\ \\ \displaystyle b_k&=&\displaystyle \frac{1}{π}\displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\sin kx \,dx \end{array}
以上で
計算してみると具体的な係数が求まる
ということが分かったので
「三角関数の性質」から
『こうなるだろうと予想されていた』わけですが
見事にちゃんと求めることが出来たので
これで f(x) を再現できることが分かりました。
初期値 a_0 の書き方
最後、忘れないように
初期値の調整をしておきます。
\begin{array}{rlllllll} c&\displaystyle =&\displaystyle\frac{1}{2π}\displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos 0x \,dx \\ \\ \displaystyle a_k&\displaystyle =&\displaystyle\frac{1}{π}\displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos kx \,dx \end{array}
これは慣例なんですけど
統一的に書きたいので
↓ のように手直しをされることが多いです。
\displaystyle \begin{array}{rllllllll} c&=&\displaystyle \frac{1}{2π}\int_{-π}^{π} f(x) \,dx \\ \\ &=&\displaystyle \frac{1}{2π}\int_{-π}^{π} f(x)\cos 0x \,dx \end{array}
\begin{array}{rlllll} \displaystyle a_k&\displaystyle =&\displaystyle\frac{1}{π}\displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos kx \,dx \\ \\ \displaystyle \frac{1}{2}a_0&\displaystyle =&\displaystyle\frac{1}{2π}\displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\cos 0x \,dx \end{array}
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle f(x)&=&\displaystyle\frac{1}{2}a_0+\sum_{k=1}^{\infty} a_k\cos kx + b_k\sin kx \end{array}
これは計算手順としては
そんなに重要ではありません。
でも複素数を考える時ちょっと必要になります。
複素関数の一般形
|| オイラーの公式で複素数に対応させる
「複素数でもいけんじゃね?」バージョンがこれ。
「オイラーの公式 e^{iθ}=\cosθ+i\sinθ 」が使われてます。
\begin{array}{lllll} \displaystyle f(x)&=&\displaystyle \lim_{n→\infty} \sum_{k=-n}^{n}c_k e^{ikx} \\ \\ \displaystyle f(t)&=&\displaystyle \lim_{n→\infty} \sum_{ω=-n}^{n}c_ω e^{iωt} \end{array}
オイラーの公式については
とりあえずここでは覚えてください。
証明には「テイラーの定理」が必要になって長いので。
オイラーの公式と三角関数
複素数の範囲では
三角関数は指数関数に統一できます。
\displaystyle \left\{\begin{array}{lllll} \displaystyle e^{ix}&=&\cos x +i\sin x \\ \\ e^{i(-x)}&=&\cos x -i\sin x \end{array}\right.
\displaystyle \left\{\begin{array}{llllll} \displaystyle e^{ix}+e^{-ix}&=&2\cos x \\ \\ e^{ix}-e^{-ix}&=&2i\sin x \end{array}\right.
\displaystyle \left\{\begin{array}{llllll} \displaystyle \cos x&=&\displaystyle\frac{e^{ix}+e^{-ix}}{2} \\ \\ \displaystyle\sin x&=&\displaystyle\frac{e^{ix}-e^{-ix}}{2i} \end{array}\right.
ただの式変形
オイラーの公式を飲み込めば
これはすぐに理解できると思います。
複素数の範囲とフーリエ級数
↑ のを実数のやつに入れて
式を良い感じに整理すれば
フーリエ級数の複素数形は導かれます。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle f(x)&=&\displaystyle\frac{1}{2}a_0+\sum_{k=1}^{\infty} a_k\cos kx + b_k\sin kx \end{array}
ちょっと複雑ではありますが。
\displaystyle \begin{array}{llllll} f(t)&=&\displaystyle \frac{1}{2}a_0+\sum_{ω=1}^{\infty} a_ω\cos ωt +b_ω\sin ωt \\ \\ &=&\displaystyle\frac{1}{2}a_0+\sum_{ω=1}^{\infty} a_ω\frac{e^{iωt}+e^{-iωt}}{2} +b_ω\frac{e^{iωt}-e^{-iωt}}{2i} \\ \\ \\ &=&\displaystyle\frac{1}{2}a_0+\sum_{ω=1}^{\infty} \frac{a_ω}{2}e^{iωt} + \frac{a_ω}{2}e^{-iωt} +\frac{b_ω}{2i}e^{iωt}-\frac{b_ω}{2i}e^{-iωt} \\ \\ &=&\displaystyle\frac{1}{2}a_0+\sum_{ω=1}^{\infty} \frac{a_ω}{2}e^{iωt} + \frac{a_ω}{2}e^{-iωt} -\frac{ib_ω}{2}e^{iωt}+\frac{ib_ω}{2}e^{-iωt} \\ \\ \\ &=&\displaystyle\frac{1}{2}a_0+\sum_{ω=1}^{\infty} \frac{a_ω-ib_ω}{2}e^{iωt} +\sum_{ω=1}^{\infty}\frac{a_ω+ib_ω}{2}e^{-iωt} \end{array}
ここまでやって
整理するために指数を合わせてみると
\displaystyle \begin{array}{llllll} \displaystyle\sum_{ω=1}^{\infty}\frac{a_ω+ib_ω}{2}e^{-iωt}&=&\displaystyle\frac{a_1+ib_1}{2}e^{-it}+\frac{a_2+ib_2}{2}e^{-2it}+\cdots \\ \\ &=&\displaystyle\sum_{ω=-\infty}^{-1}\frac{a_{-ω}+ib_{-ω}}{2}e^{iωt} \end{array}
ここでちょっと特殊な操作を使って
初期値と最終位置に気を付けて
最後に定数部分を「 c_ω 」とおいて整理すれば
\displaystyle \begin{array}{lll} f(t)&=&\displaystyle\frac{1}{2}a_0+\sum_{ω=1}^{\infty} \frac{a_ω-ib_ω}{2}e^{iωt} +\sum_{ω=1}^{\infty}\frac{a_ω+ib_ω}{2}e^{-iωt} \\ \\ &=&\displaystyle\frac{1}{2}a_0+\sum_{ω=1}^{\infty} \frac{a_ω-ib_ω}{2}e^{iωt} +\sum_{ω=-\infty}^{-1}\frac{a_{-ω}+ib_{-ω}}{2}e^{iωt} \\ \\ \\ &=&\displaystyle c_0e^{i0t}+\sum_{ω=1}^{\infty} c_ωe^{iωt} +\sum_{ω=-\infty}^{-1}c_ωe^{iωt} \\ \\ &=&\displaystyle \sum_{ω=-\infty}^{-1}c_ωe^{iωt}+c_0e^{i0t}+\sum_{ω=1}^{\infty} c_ωe^{iωt} \\ \\ \\ &=&\cdots+c_{-2}e^{i(-2)t}+c_{-1}e^{i(-1)t}+c_0e^{i0t}+c_1e^{i1t}+c_2e^{i2t}+\cdots \\ \\ &=&\displaystyle\sum_{ω=-\infty}^{\infty} c_ω e^{iωt} \end{array}
とりあえずこんな感じになります。
この時点じゃ係数はよく分かりませんが
これも『直交系』なので
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle \int_{-π}^{π} f(t) e^{-iωt} \,dt&=&2πc_ω \end{array}
同様の手順で導けるのは
なんとなく予想できると思います。
複素数の内積と係数
結論は予想の通りになります。
やることは『複素共役』を使って
実数のパターンのように『内積をとる』だけ。
\begin{array}{rcrllllll} \displaystyle \displaystyle \int_{-π}^{π} f(t) e^{-iωt} \,dt&=&2πc_ω \\ \\ \displaystyle\frac{1}{2π}\int_{-π}^{π} f(t) e^{-iωt} \,dt&=&c_ω \end{array}
これを求める流れ自体は
実数の場合と似たようなものなんですが
『複素数の場合の内積』を知らないと
なにをしているのか分からないと思います。
複素数の内積
『複素数の内積』は
『実数に変換したい』という要望から
↓ の制約に縛られています。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle \langle z,z \rangle &=& || z ||^2 \end{array}
この制約は「ノルム」の定義における
『長さ(測度)を求めたい』から来ていて
内積の操作を行う場合
↓ のように
\begin{array}{llr} \displaystyle z&=&i \\ \\ z^2&=&-1 \end{array}
『ただ2乗しても正にならない』場合があるので
\begin{array}{lll} \displaystyle z&=&a+bi \\ \\ \overline{z}&=&a-bi \end{array}
\displaystyle \begin{array}{llll} \displaystyle \langle z,z \rangle &=&z\overline{z} \\ \\ &=&a^2+b^2 \end{array}
このように「複素共役」をとって
実数 a,b のみを抜き出す。
こうすると
「実数にはなんの変化も起こさない」ので
特に問題なく内積の制約として追加できます。
係数と内積
「正にするため」に『複素共役』をとる
\displaystyle \begin{array}{lll} \displaystyle \overline{e^{iωt}} &=&\displaystyle \overline{\cos ωt+i\sin ωt} \\ \\ &=&\displaystyle\cos ωt-i\sin ωt \\ \\ \\ &=&\displaystyle\cos (-ωt)+i\sin (-ωt) \\ \\ &=&\displaystyle e^{-iωt} \end{array}
この手順が分かれば
係数についてはだいたいわかると思います。
\displaystyle \begin{array}{llllll} \displaystyle \int_{-π}^{π} c_αe^{iαt} e^{-iβt} \,dt&=&0 \\ \\ \displaystyle \int_{-π}^{π} c_ωe^{iωt} e^{-iωt} \,dt&=&2πc_ω \end{array}
見た目ごついですけど
これは ↓ みたいに考えてみても
n≠m
\displaystyle \begin{array}{rlllll} \displaystyle e^{int} e^{-imt} &=& \displaystyle (\cos nt +i\sin nt)(\cos (-mt) +i\sin (-mt)) \\ \\ &=&\displaystyle (\cos nt +i\sin nt)(\cos mt -i\sin mt) \\ \\ \\ \displaystyle\int_{-π}^{π} e^{int} e^{-imt} \,dt &=&\displaystyle\int_{-π}^{π} (\cos nt +i\sin nt)(\cos mt -i\sin mt) \,dt \\ \\ &=&0 \end{array}
「三角関数の性質」から
明らかにこうなることがわかります。
\displaystyle \begin{array}{llll} \displaystyle e^{iωt} e^{-iωt}&=&e^{iωt-iωt} \\ \\ &=&e^0 \\ \\ &=&1 \end{array}
\displaystyle \begin{array}{lllllll} \displaystyle \int_{-π}^{π} c_ωe^{iωt} e^{-iωt} \,dt&=&\displaystyle c_ω\displaystyle \int_{-π}^{π} 1 \,dt \\ \\ &=&\displaystyle c_ω\Bigl[\, t \,\Bigr]_{-π}^{π} \\ \\ &=&c_ω2π \end{array}
んでこっちはこう。
指数法則の基本を考えれば
明らかにこうなるのはすぐに分かると思います。
\displaystyle \begin{array}{llllllll} \displaystyle \int_{-π}^{π} c_ne^{int} e^{-imt} \,dt&=&0 \\ \\ \displaystyle \int_{-π}^{π} c_ωe^{iωt} e^{-iωt} \,dt&=&2πc_ω \end{array}
でまあこんな感じに
特に疑問もなく ↑ が導くことができる。
結果、係数が分かったので
\begin{array}{llllll} \displaystyle \displaystyle f(t)&=&\displaystyle\sum_{ω=-\infty}^{\infty} c_ω e^{iωt} \end{array}
\begin{array}{lllllllll} &\vdots \\ \\ \displaystyle \int_{-π}^{π} f(t) e^{-i(-1)t} \,dt&=&2πc_{-1} \\ \\ \displaystyle \int_{-π}^{π} f(t) e^{-i0t} \,dt&=&2πc_0 \\ \\ \displaystyle \int_{-π}^{π} f(t) e^{-i1t} \,dt&=&2πc_1 \\ \\ \displaystyle \int_{-π}^{π} f(t) e^{-i2t} \,dt&=&2πc_2 \\ \\ &\vdots \\ \\ \displaystyle \int_{-π}^{π} f(t) e^{-iωt} \,dt&=&2πc_ω \\ \\ &\vdots \end{array}
複素数の場合でのフーリエ級数が
わざわざ正弦波と余弦波に分けないで
見た目、簡単に表せることが分かります。
まとめ
フーリエ級数は ↓ のようになります。
\displaystyle \begin{array}{rlll} \displaystyle f(x)&=&\displaystyle \frac{1}{2}a_0+\sum_{k=1}^{\infty} a_k\cos kx + b_k\sin kx \\ \\ \\ \displaystyle a_k &=&\displaystyle \frac{1}{π}\int_{-π}^{π} f(x)\cos kx \,dx \\ \\ \displaystyle b_k&=&\displaystyle\frac{1}{π}\int_{-π}^{π} f(x)\sin kx \,dx\end{array}
実数のバージョンは↑で
複素数のバージョンは↓
\displaystyle \begin{array}{rllll} \displaystyle f(x) &=&\displaystyle \lim_{n→\infty} \sum_{k=-n}^{n} c_k e^{ikx} \\ \\ \\ \displaystyle c_k &=&\displaystyle \frac{1}{2π} \int_{-π}^{π} f(x) e^{-ikx} \,dx \end{array}
この記事の内容を理解していれば
これの意味はもうだいたい分かると思います。
\displaystyle \begin{array}{rlc} \displaystyle f(x)&=&\displaystyle \frac{1}{2}a_0+\sum_{k=1}^{\infty} a_k\cos kx + b_k\sin kx \end{array}
\begin{array}{llllll} \displaystyle \int_{-π}^{π} f(x)\cos kx \,dx &=& \displaystyle a_kπ \\ \\ \displaystyle\int_{-π}^{π} f(x)\sin kx \,dx &=&b_kπ \end{array}
\displaystyle\begin{array}{rlc} \displaystyle f(x) &=&\displaystyle \lim_{n→\infty} \sum_{k=-n}^{n} c_k e^{ikx} \\ \\ \\ \displaystyle \int_{-π}^{π} f(x) \overline{e^{ikx}} \,dx &=&\displaystyle c_k 2π\end{array}
分かりにくければこっちで覚えましょう。
こちらの方が「意味」は分かりやすいので。
導出に至るまでの発想
フーリエ級数の発想の基盤は
『三角関数の直交性』『内積』の2つがメイン
\begin{array}{llllll} \displaystyle δ_{nm}&=&\displaystyle\begin{cases} \displaystyle 0&&n≠m \\ 1&&n=m \end{cases} \end{array}
\begin{array}{llllll} \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\sin nx \cos mx\,dx&=&0 \\ \\ \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\cos nx \cos mx\,dx&=&πδ_{nm} \\ \\ \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\sin nx \sin mx\,dx&=&πδ_{nm} \end{array}
イメージの基準には
「単純な図形」『平均の重なり』が来る
\begin{array}{rll} \displaystyle f(t)&≒&a_0 \\ \\ f(t)&≒&a_0+a_1\cos t +b_1\sin t \\ \\ f(t)&≒&a_0+a_1\cos t +b_1\sin t+a_2\cos 2t +b_2\sin 2t \\ \\ &&\vdots \end{array}
オイラーの公式関連
その辺りについてはよく分かんないかもしれませんが
そこを除けばだいたい分かると思います。