|| どう見ても正しい論理式全部
「論理式」の中で「公理」と言えるものの集まり。
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目次
・量化記号の公理
・等号の公理
・まとめ
当然ですけど
「トートロジー」も「論理公理」に当たります。
ただこれは多いので別の記事で。
まあともかく「論理公理」はそういう感じで、
どう見ても『正しいとしか思えない』やつを集めたもの
つまり「恒真命題(トートロジー)」の集まり
これを論理公理と言います。
説明の準備
必要になる「記号」を設定しておきます。
\begin{array}{llllll} \displaystyle x,&y \end{array}
・項(定数・変数・関数のどれか)
\begin{array}{llllll} \displaystyle t,&t_1,&t_2,&\cdots ,&t_n \\ \\ u,&u_1,&u_2,&\cdots ,&u_n \end{array}
・論理式
\begin{array}{rlc} \displaystyle \varphi &\psi \end{array}
量化記号の公理「 ∀,∃ 」
大きく分けて3つ。
「代入」「分配」「否定」についてのものがあります。
どれも『人間の直観』を形式にしただけなので
そんな難しく考える必要はありません。
・「代入」に関すること
「 t が x に代入可能」なら
(代入規則は別記事で)
\begin{array}{llllll} \displaystyle φ_x[t]&&⇒&&∃x\,φ \end{array}
記号「 φ_x[t] 」の意味は
変数 x を項 t で置き換えた命題 φ です。
\begin{array}{ccccccc} \displaystyle φ_x[t]&∃x\,φ&&φ_x[t]⇒∃x\,φ \\ \\ 0&1 && 1 \\ \\ 1&1 &&1 \end{array}
真理値はこんな感じ。
特に疑問は出ないと思われます。
\begin{array}{llllll} \displaystyle ∀x \, φ &&⇒&&φ_x[t] \end{array}
\begin{array}{ccccccc} \displaystyle ∀x \, φ&φ(x)&φ_x[t]&&∀x \, φ ⇒φ_x[t] \\ \\ 1&1&1 &&1 \end{array}
また、これも公理です。
「 t は x に代入可能な値」ですし
\begin{array}{lllllll} \displaystyle ∀x &&&x∈A \end{array}
なによりこの部分で x の範囲は定まってしまうので、
φ が真になる以上、確実に正しくなりますから。
・「分配法則」っぽいやつ
「広い」→「狭い」のパターン
\begin{array}{llllll} \displaystyle ∀x\,(φ→ψ) &&⇒&&∀x\,φ&→&∀x\,ψ \end{array}
これは真理値のパターンの話で、
\begin{array}{ccccc} \displaystyle \varphi&\psi && \varphi → \psi \\ \\ 0&0 &&1 \\ \\ 0&1&&1 \\ \\ 1&0&&0 \\ \\ 1&1&&1 \end{array}
「 ∀x\,(φ→ψ) 」は 3 パターン
「 \begin{array}{llll} \displaystyle ∀x\,φ&→&∀x\,ψ \end{array} 」は φ,ψ が \mathrm{True} の 1 パターン
とまあそんな感じなので
これも特に疑問は出ないと思われます。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \begin{array}{llllll} \displaystyle ∀x\,(φ→ψ) &&⇒&&∀x\,φ&→&∀x\,ψ \\ \\ \mathrm{True} &&&& \mathrm{True}&&\mathrm{True} \end{array} \end{array}
全体としても \mathrm{True} ⇒ \mathrm{True} ですし。
・「否定」について
これは「ド・モルガンの法則」ってやつですね。
\begin{array}{llllll} \displaystyle ∀x\,¬φ&&≡&&¬(∃x\,φ) \end{array}
「 φ 」を満たす『 x は存在しない』
「 φ ではない」を満たす『全ての x 』
「この条件を満たす x 」の中身が同じ
これはこういうことを言ってます。
言い換えるなら
「内側にはなんもない」(外側にある)
「外側の全部」(内側には無い)みたいな感じでしょうか。
\begin{array}{cccccc} \displaystyle φ∨¬φ&=&\mathrm{True} \end{array}
\begin{array}{lllllll} \displaystyle ∀x \, ¬φ &&\{ x \mid ¬φ \} \\ \\ ¬(∃x \, φ) && \{ x \mid ¬φ \}\end{array}
真理集合的にはこんな感じ。
\begin{array}{llllll} ¬(∃x \, φ) && \{ x \mid ¬φ \} \end{array}
ちなみにこの部分は、
「 φ を満たす x は存在しない」を
「全ての x は ¬φ を満たす」と解釈しています。
これは量化記号の変換に必要な式なので
優先して覚えるようにしましょう。
等号の公理「 = 」
「言語」が「等号」を持つ時に満たされる性質のこと。
持たない場合はまず無いので基本採用されますね。
内訳は主に2つ。
「同一律」と「代入」があります。
・同一律
「それはそれ」って感じのやつ
(等号の本質的な役割)
\begin{array}{lllllll} \displaystyle x&=&x \end{array}
すげえ当たり前の話ですね。
『同じ』を使いたいなら否定の余地はありません。
これがダメなら『同じ』を定義できないので。
・「代入」するときの「変数」の役割
記号の意味がちょっとめんどくさい話。
\begin{array}{llllllll} x&=&y&&⇒&&P(t_1,t_2,...,t_n)&→&P(u_1,u_2,...,u_n) \end{array}
記号の意味を確認
「 P 」は「述語を表現する記号」
「項 t 」は「 x に代入可能な項」
「項 u 」は
「項 t の変数 x 」を
「いくつか変数 y に置き換えた項」
とまあこんな感じで、
つまり x=y である場合には
x を置き換えた y は x なので、
つまり u=t ですから
\begin{array}{lllllllllll} \displaystyle &P(t_1,t_2,...,t_n)&→&P(u_1,u_2,...,u_n) \\ \\ &P(t_1,t_2,...,t_n)&→&P(t_1,t_2,...,t_n) \end{array}
\begin{array}{cccccc} \displaystyle P&P&&P→P \\ \\ 0&0&&1 \\ \\ 1&1&&1 \end{array}
まあこうなる、と。
整理してみれば当然の話ですね。
まとめ
論理公理を構成する3つをざっくり紹介。
詳細は省略します。
「トートロジー(恒真命題)」は論理公理だよ
これはほんとそのままですね。
ちなみに「恒真命題」っていうのは、
\begin{array}{ccccc} \displaystyle \varphi &¬\varphi& \varphi ∨ ¬\varphi \\ \\ 0 &1&1 \\ \\ 1&0&1 \end{array}
真理値がこんな感じになる命題のことです。
量化記号の公理
項 t が x に代入可能な場合
\begin{array}{llllll} ∀x \, φ&&⇒&&φ_x[t] \\ \\ \displaystyle φ_x[t]&&⇒&&∃x\,φ \end{array}
これに加えて、
\begin{array}{llllll} \displaystyle ∀x\,(φ→ψ)&&⇒&&∀x\,φ\,→\,∀x\,ψ \\ \\ ∀x\,¬φ&&≡&&¬(∃x\,φ) \end{array}
これらもまた基礎的な公理に当たります。
等号の公理
「同一律」と「代入」について
「項 u 」は「項 t の x を y に置き換えたもの」とすると、
\begin{array}{llllllll} \displaystyle x&=&x \\ \\ x&=&y &&⇒&&\Bigl( P(t_1,t_2,…,t_n)&→&P(u_1,u_2,…,u_n) \Bigr) \end{array}
以上のものが「等号 = 」の公理になります。