|| 単調族と完全加法族の関係についての定理
「完全加法族」「一意性」に深く関わっています。
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事前知識
集合論「数学の最小単位を扱う分野」
集合の演算「和集合やら補集合やら」
完全加法族「普通のことが普通にできる集合の集まり」
有限加法族「完全加法族の条件を緩めた感じのやつ」
目次
単調族定理「単調族と完全加法族の関係を説明したやつ」
単調族「単調増加・減少列の端っこを含む感じ」
証明
完全加法族の定義を満たす
空集合
補集合
完全加法
同値性
単調族 Monotone Class
|| 上限とか下限についてのやつ
「極限」の集合論的な感覚を表現したもの
(以下の性質を満たす集合族 M のこと)
X=∅
{A1,A2,A3,...}{B1,B2,B3,...}⊂⊂MM⊂⊂2X2X
A1⊂A2⊂A3⊂⋯B1⊃B2⊃B3⊃⋯→→n=1⋃∞An∈Mn=1⋂∞Bn∈M
「測度」が持っていて欲しい性質の1つで
分かりやすく「極限」の性質を表しています。
単調族定理 Monotone Class Theorem
|| 完全加法族になる条件の一つ
「有限加法族 F を含む最小の単調族 M 」は
「 F から作れる完全加法族 σ(F) 」になる
F⊂σF⊂Mmin(M(F))→→→σ(F)M(F)Mmin(F)
σ(F)=Mmin(F)
「有限加法族 F 」と
「完全加法族 σ 」の違い
μ(i=1⋃nAi)=i=1∑nμ(Ai)↓μ(i=1⋃∞Ai)=i=1∑∞μ(Ai)
これを知ってれば
この定理の主張はわりと直感的に分かると思います。
(最小の理由は初見だと分からないかも)
単調族定理の証明
Mmin(F) が「完全加法族」である
この証明を行うために
⎝⎜⎜⎜⎜⎜⎛S=∅σ⊂2SAc=S∖A⎠⎟⎟⎟⎟⎟⎞→⎝⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎛∅∈σA∈σAn∈σ→→Ac∈σn=1⋃∞An∈σ⎠⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎞
まずはこの3つの性質を確認していきます。
最小の単調族
「最小の単調族 Mmin(F) 」を考えるのはなぜか
F⊂Mmin(F)Mmin(F)⊂M(F)M(F)⊂2X
その最大の理由は
「任意の M(F) が完全加法族ではない」からで
他にも
「単調族全体 Mono 」を考えた時
MonoMono(F)=={M∣MisMonotone}{M(F)∣M(F)isMonotone}
↓ のように「共通部分」をとれば
min(M)=M∈Mono⋂M
『最小の単調族』が得られることから
A∈FA∈F→←A∈Mmin(F)A∈Mmin(F)→←A∈M(F)A∈M(F)FactDefine
このように定義することができるので
ここでは「最小の単調族」が採用されています。
(部分集合 F に寄せられる)
空集合
まず「空集合」についてですが
∅∈F⊂Mmin(F)Mmin(F)⊂M(F)
∅∈Mmin(F)
これは当然こう。
A∈FA,B∈F→→∅∈FAc∈FA∪B∈F
「有限加法族 F の定義」より
∅∈F である以上これは明らかです。
補集合
次、補集合についてですが
A∈FAc∈F→→Ac∈F(Ac)c∈F
これは「有限加法族 F の定義のみ」では
『 M(F) の余計な要素 Aun 』が入り込んで
Aun∈FAunc∈FAun∈M(F)Aunc∈M(F)
「その補集合 Aunc が M(F) に含まれない」
という可能性が出てくるため
Mcomplement(F)={A∈2X∣Ac∈M(F)}
Mmin(F)⊂Mcomplement(F)
A∈Mmin(F)→Ac∈Mmin(F)
それを避けるために
このような「単調族 Mcomplement(F) 」を定義し
『中身を制限する』必要があります。
完全加法
これについても
A1,A2,...,An,...∈σ→n=1⋃∞An∈σ
「単調族 M の定義」から
A1,A2,...,An,...∈M(F)
A1⊂A2⊂⋯→n=1⋃∞An∈M(F)
Mmin(F) もまた「単調族」であるため
条件そのものはすぐに求められそうですが
{A1,A2,...,An,...}⊂M(F)
この「単調族 M(F) 」は
「有限加法族 F を含む」上に
『最終着地が完全加法族 σ 』です。
Anc∈M(F)
まあつまり結論を考えると
M(F) は必ず「補集合」を含まなければならず
これの「和集合」もまた含まなければなりません。
特に『最小の単調族 Mmin(F) 』については
F⊂Mmin(F)⊂{A∈2X∣Ac∈M(F)}
この制限かかかることになるので
確実に「補集合」を含むことになります。
まとめると
この時点では
n=1⋃∞An∈M(F)
「単調族の定義」から
「一部では」こうなる
ということは分かっていますが
n=1⋃∞Anc(n=1⋃∞An)∪(n=1⋃∞Anc)∈∈M(F)M(F)
全部でこうなるかどうかは分かっていません。
↓ のやつについては
(n=1⋃∞An)∪(n=1⋃∞Anc)∈M(F)
確実に「全体 X 」になるので
An∪Anc=X
A∈F∅∈F→→Ac∈FX∈F
「有限加法族 F の定義」から
「単調族 M(F) 」の中に必ず含まれると言えて
同様に、有限の加法についても
A,B∈FA,B∈M(F)→→A∪B∈FA∪B∈M(F)〇?
結論となる「完全加法族」が
「有限の加法について閉じている」上に
以下が「有限加法族 F の定義」より明らかなことから
A,B∈M(F)→A∪B∈M(F)
例えば ↓ のように
Msum(F)={A,B∈M(F)∣A∪B∈M(F)}
「 A,B が含まれている」こと前提の
「和集合 A∪B 」による制限をかければ
「有限加法族 F の定義」から
Ac∪BcA∪Bc∈∈Mmin(F)Mmin(F)
これらもまた確実に含むと言えます。
となると
残るは以下についてなんですが
n=1⋃∞Anc∈M(F)?
これについてはまだ
Mmin(F) が含むかどうか分かっていません。
(集合の演算を理解していれば含みそうだと分かる)
補集合と完全加法
というわけで
これが含まれるかどうか確認していきます。
(有限加法族と単調族の定義だけで)
A1⊂A2⊂⋯B1⊃B2⊃⋯→→n=1⋃∞An∈M(F)n=1⋂∞Bn∈M(F)
そのために
一通り定義を確認しておくと
n=1⋃∞An∈σ
まずゴールはここ
A∈FAc∈F→→Ac∈F(Ac)c∈F
「有限加法族 F の定義」からこれは明らかで
(A1∩A2)c(n=1⋂∞An)c==A1c∪A2cn=1⋃∞Anc
A∈Fn=1⋂∞An∈F→→Ac∈F(n=1⋂∞An)c∈F
「集合の演算」を思い返してみると
このような変形が可能である
ということも思い起こされます。
というわけで
以上を踏まえて
n=1⋃∞Anc∈M(F)
この結論を得る方法を考えると
(n=1⋂∞An)c=n=1⋃∞Anc
自然とこの関係に行き着くことから
↓ のゴールを考えてみると
n=1⋂∞An∈F?
「共通部分」が含まれる
ということを確認したくなります。
A∈Fn=1⋂∞An∈F→→Ac∈F(n=1⋂∞An)c∈F
そこで
A1,A2,A3,...,An,...∈M(F)
A1⊂A2⊂⋯→n=1⋃∞An∈M(F)
前提となるこの事実を踏まえて
n=1⋂∞An
これについて考えてみると
A1⊂A2⊂⋯→n=1⋂∞An=A1
A1 が「全ての An の部分集合」である以上
これは明らかにこうなることから
A1,A2,A3,...,An,...∈M(F)
この前提を踏まえれば
A1n=1⋂∞An∈∈M(F)M(F)
間違いなくこうだと言えます。
A∈Fn=1⋂∞An∈F→→Ac∈F(n=1⋂∞An)c∈F(n=1⋂∞An)c∈F→n=1⋃∞Anc∈F
ということは
これらが明らかなので
n=1⋃∞Anc∈F
結果として
「補集合 Ac 」の「無限和」もまた
「単調族 M(F) 」に含まれることが分かります。
任意の無限和
以上の結果より
A1⊂A2⊂⋯→n=1⋃∞An
「無限和が存在する」なら
「その構成要素を全て含める」という形にすれば
A1,A2,...,An,...∈M(F)←n=1⋃∞An∈σ(F)
「単調族」の定義から
「無限和の構成要素」を全て含めると
A1⊂A2⊂⋯→n=1⋃∞An∈M(F)
この「無限和」を M(F) は持つと言えるので
結果
「含むかどうか不明な無限和」に対し
A1,A2,...,An,...∈M(F)←n=1⋃∞An∈σ(F)
「単調族で定義される無限和」を構成するような
「無限和の構成要素の全て」を含めるとすれば
「 σ(F) 上の要素で構成可能」な
「全ての無限和」を含めることができ
σ(F)⊂Mmin(F)
結果として
この関係を得ることができます。
無限和を単調増加列で構成できる
本当に「全ての無限和は構成可能か」
この点はちょっと疑問なので確認しておくと
X=n=1⋃∞Xn
まず「全体 X 」については
X1⊂X2⊂⋯⊂Xn⊂⋯⊂X
「 X の部分集合」の中にある
「 F の要素で構成できる単調増加列」の
「和集合」を考えると
{a,b}Xn+1=={a}∪{b}Xn∪Sn
X1X2Xn⊂⊂⊂X1∪X2X2∪X3Xn∪Xn+1==⋮=X2X3Xn+1
例えばこのように
単純に「要素を追加する」感じで構成すれば
X1⊂X2⊂⋯⊂Xn⊂⋯→n=1⋃∞Xn
n→∞⇒Xn→X
F の中に含まれる要素で
これは確実に構成可能になります。
全ての要素は単調増加列で構成可能
そしてこれを考えると
「 X は全体」ですから
A==A∩XA∩n=1⋃∞Xn
「最大の集合族 2X 」に含まれる
「任意の無限和 A 」は
A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)
A∩n=1⋃∞Xn=n=1⋃∞A∩Xn
このように変形できるので
A1⊂A2⊂A3⊂⋯⊂A
A=n=1⋃∞An
この着地を考えると
A∈FXn∈F(Ac∪Xnc)c∈F→A∩Xn∈F
「完全加法族 σ(F) 」は
「共通部分」を含むことから
X1X1⊂X2X2⊂X3X3⊂X4Xn⊂X→→→→⋮→(A∩X1)(A∩X1)⊂(A∩X2)(A∩X2)⊂(A∩X3)(A∩X3)⊂(A∩X4)(A∩Xn)⊂(A∩X)A∩X1∈M(F)A∩X2∈M(F)A∩X3∈M(F)A∩X4∈M(F)A∩X∈M(F)
例えばこれはこうなるので
{X1,X2,X3,...Xn,...}⊂FF⊂M∞(F)
この前提の元
M∞(F)={A∈2X∣∣∣∀n∈NA∩Xn∈M(F)}
このようにすれば
An=A∩Xn
A1⊂A2⊂A3⊂⋯⊂An⊂⋯
A=n=1⋃∞An
「全ての無限和 A 」を
「単調増加列」で構成することができます。
整理しておくと
{X1,X2,X3,...Xn,...}n=1⋃∞An⊂∈FM(F)⊂⊂M(F)2X
要素それぞれの所在はこうなります。
σ(F)⊂2X なので σ(F) よりも広いです。
同値性
以上のことから
M(F)→σ(F)
「有限加法族 F を含む」
「最小の単調族 Mmin(F) 」が
「完全加法族 σ(F) 」であることは示されましたが
σ(F)=Mmin(F)
まだこの関係は得られていません。
M(F)←σ(F)
『 F の要素で単調族 M(F) を構成できる』以上
この結論は直感的には明らかですが
念のため証明しておきます。
そのために
M(F)M(F)→←σ(F)σ(F)〇?
「有限加法族 F を含む単調族 M(F) から」ではなく
「 F の要素で構成できる完全加法族 σ(F) から」
「単調族」を構成してみます。
定義の確認
というわけで確認していくと
A∈σA1,A2,...,An,...∈σ→→∅∈σAc∈σn=1⋃∞An∈σ
まず「完全加法族 σ 」はこれで
{An}⊂M{Bn}⊂M→→A1,A2,...,An,...∈MB1,B2,...,Bn,...∈M
A1⊂A2⊂⋯B1⊃B2⊃⋯→→n=1⋃∞An∈Mn=1⋂∞Bn∈M
「単調族 M 」はこれです。
ざっくりとした方針
以上の各用語の定義と着地を考えると
A1,A2,...,An,...∈σ
A1⊂A2⊂⋯→n=1⋃∞An∈σ
これを満たして
B1,B2,...,Bn,...∈σ
B1⊃B2⊃⋯→n=1⋂∞Bn∈σ
これも満たせば
「完全加法族から」「単調族」を構成できる
そう言えるので
そういった都合の良い操作を考える必要があります。
単調増加列
といっても使えるものは限られてるので
とりあえず分かりやすい形として
A⊂A∪B
A,B∈F→A∪B∈F
「有限加法族 F の定義」から
A1∪A2An∪An+1==A2An+1
こんな感じの
AnAn⊂⊂An∪An+1An+1
「 An の要素を全て持つ集合 An+1 」を定義して
A1⊂A2⊂⋯
シンプルな「単調増加列」を構成してみます。
A1,A2,...,An,...∈σ(F)→n=1⋃∞An∈σ(F)
すると
「有限加法族 F 」から構成できる
「完全加法族 σ(F) の定義」を考えると
A1,A2,...,An,...∈σ(F)
A1⊂A2⊂⋯→n=1⋃∞An∈σ(F)
そのまま「単調族の定義」が得られるので
まずこの定義を満たすことに成功します。
単調減少列
残る「減少列」についてですが
A1∪A2An∪An+1==A2An+1
A1⊂A2⊂⋯
これは「単調増加列」から構成できる
「補集合」について考えてみると
(A1∪A2)c(A2)c==A1c∩A2cA1c∩A2c
(An+1)c=Anc∩An+1cAnc∩An+1c=An+1c
A1c∩A2cA2cAnc∩An+1cAn+1c⊂⊂⊂⊂A1cA1cAncAnc
これは明らかに「単調減少列」になる上に
A1c⊃A2c⊃⋯⊃Anc⊃⋯
この「共通部分」は
「完全加法族」の要素である以上
(n=1⋃∞An)c∈σ(F)→n=1⋂∞Anc∈σ(F)
必ず以下のようになります。
A1,A2,...,An,...A1c,A2c,...,Anc,...∈∈σ(F)σ(F)
A1c⊃A2c⊃⋯→n=1⋂∞Anc∈σ(F)
以上のことから
結果的に全ての単調族の性質を満たせたので
M(F)←σ(F)
これで「 F からできた完全加法族 σ(F) から」
「単調族」が構成できました。
同じになる
以上のことを整理してみると
M(F)M(F)→←σ(F)σ(F)〇〇
まず「単調族 M(F) から」構成された
M(F)→σ(F)
「有限加法族 F の要素で作られた」
「完全加法族 σ(F) 」は
σ(F)σ(F)⊂Mmin(F)Mmin(F)⊂⊂M(F)M(F)
σ(F)⊂Mmin(F)
当然ですが
「 M(F) の要素から作られている」以上
「単調族 M(F) 」の「部分集合」です。
そして
「完全加法族 σ(F) から」構成された
「単調族 M(σ(F)) 」は
M(σ(F))←σ(F)
「完全加法族 σ(F) の要素のみ」で構成されている以上
Mmin(F)⊂M(σ(F))
「最小の単調族 Mmin(F) 」を考えれば
σ(F)⊃Mmin(F)
同様の理屈で
「 σ(F) の部分集合」であると言えるので
↑ で得られた結果をまとめると
Mmin(F)Mmin(F)⊃⊂σ(F)σ(F)〇〇
このような関係が成立すると言えることから
Mmin(F)=σ(F)
結果、こうであると言えます。
結論
まとめると
A∈FA,B∈F→→∅∈FAc∈FA∪B∈F
FF⊂⊂M(F)σ(F)
{An}⊂M(F){Bn}⊂M(F)→→A1,A2,...,An,...∈M(F)B1,B2,...,Bn,...∈M(F)
A1⊂A2⊂⋯B1⊃B2⊃⋯→→n=1⋃∞An∈M(F)n=1⋂∞Bn∈M(F)
Mono(F)={M(F)∣M(F)isMonotone}
Mmin(F)=M(F)∈Mono(F)⋂M(F)
以上の前提から
A∈Mmin(F)A1,A2,...,An,...∈Mmin(F)→→∅∈Mmin(F)Ac∈Mmin(F)n=1⋃∞An∈Mmin(F)
σ(F)=Mmin(F)
この結論が得られたので
これで「単調族定理」の証明は終わりになります。
(これを一般化した定理もあります)