|| ゆにばーす (*^▽^*)
「なんかの話で使う」『在るもの全部』のこと。
実体の集合という意味で「議論領域」なんて言ったりもします。
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目次
・議論領域「宇宙の本質に当たる概念で、より広い意味」
・グロタンディーク宇宙「集合論で作れる最大の大きさ」
・フォン・ノイマン宇宙「整礎的集合から得られたでかい領域」
・構成可能宇宙「人間に扱える有限モデルに行き着く領域」
代表的なものだと
「実数」で『閉じてるとする』なら
『実数全体』のことを「宇宙(議論領域)」と言います。
他にも「複素数」で議論が閉じてるなら
『複素数全体』が議論領域です。
まあつまり「その議論の中で使う実体全部」
これが『宇宙』の本質になります。
議論領域 Domain of Discourse
|| 基礎と基礎から創れる全部のこと
そのまま「議論で使う範囲のもの」のことを指します。
「関心の向いてる先」だとか
「現実の実体をモデル化したもの」だとか
そんな風に言われたりもしますね。
「ドメイン」とか「空間」とか
そういう名前で見ることの方が多いかもしれません。
具体的な感じ
基本的には「一階述語論理」でのお話で、
「『項』の集合」を指す概念になります。
もちろんそれ以外の「項」の定義も含むわけですが。
数学の根幹で扱うことが多いので
基本的には『一階述語論理』での説明に限定され、
その場合では ↓ みたいな意味に。
「項」から『演繹』によって得られたもの(論理式)全体の集合
『一階』での「演繹」による推論
そして「量化」されたもの
これら全体を指して「議論領域」と言うことが多いです。
使いどころ
その「範囲の外は扱わない」とか
そういうことを宣言したりする時に使います。
まあ要は「話題のメイントピック」みたいな感じで、
それに関連すること以外は基本的に別の話、みたいな
なんかそういうことをしたい時に使う感じで
例えば「仕事の話」とか「プライベートの話」とか
「楽しい話」とか「悲しい話」とか
そういうのも議論領域の1つと言えます。
グロタンディーク宇宙 Grothendieck
|| 意味のあるものの中でもっともでかいサイズ
「数学的に扱えるもの全て」のこと。
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_X∈S_Y∈U &&⇒&&S_X∈U \\ \\ e_x,e_y∈U &&⇒&& \{e_x,e_y\}∈U \\ \\ S∈U &&⇒&& 2^S∈U \\ \\ \{S_α\}_{α∈I}∈U)∧(I∈U) &&⇒&&\displaystyle\left(\bigcup_{α∈I}S_α\right)∈U \end{array}
『集合』と『その操作によって創れるもの』
この「全てを要素に持つもの」として
この「宇宙」は定義されています。
そんな「グロタンディーク宇宙 U 」で使われる
操作の詳細は ↓ の 4 つです。
・推移的集合
\begin{array}{llllll} \displaystyle S_X∈S_Y∈U&&⇒&&S_X∈U \end{array}
・対の公理
\begin{array}{llllll} \displaystyle e_x,e_y∈U&&⇒&&\{e_x,e_y\}∈U \end{array}
・冪集合の公理
\begin{array}{llllll} \displaystyle S∈U &&⇒&& 2^S∈U \end{array}
・和集合の公理
\begin{array}{llllll} \displaystyle (\{S_α\}_{α∈I}∈U)∧(I∈U) &&⇒&&\displaystyle \left(\bigcup_{α∈I}S_α\right)∈U \end{array}
「宇宙」の中身になるものは
全てこの操作で作られたものに限定されています。
ただ限定されていると言っても
それでも『ほぼ全てのものを表現可能』で
最下層が「無限モデルになる」ものなど
中には「人間には扱えないもの」も含まれています。
感覚的な話
『推移的集合』の感覚は ↓ みたいな感じです。
\begin{array}{llllll} \displaystyle 人&∈&哺乳類&∈&動物 \\ \\ 人&&&∈&動物 \end{array}
一番下の方まで全て持つ
そういうことをこれは保証します。
他も似たようなものですね。
\begin{array}{llllll} \displaystyle 1番目&∈&U \\ \\ あ&∈&U \\ \\ (1番目,あ)&∈&U \end{array}
『対(ペア)の公理』はこういうのを。
\begin{array}{llllll} \displaystyle 袋1&∈&U \\ \\ 袋2&∈&U \\ \\ 袋1∪袋2&∈&U \end{array}
別のと別のを一緒にする時は『和集合の公理』で。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \{あれ,それ\}&∈&U \\ \\ \{∅,\{あれ\},\{それ\},\{あれ,それ\}\}&∈&U \end{array}
もとのやつより確実にでかいのを作ったり
部分集合をまとめて扱うなら『冪集合の公理』を使って。
とまあこんな感じで、この宇宙の構造は
私たちの持つ「情報の構造」を提供します。
以上
「グロタンディーク宇宙」についてはこんな感じです。
ちなみに
これの存在は『到達不能基数』の存在と同値になります。
これについての説明も長くなるので別の記事で。
フォン・ノイマン宇宙 Von Neumann
|| 直観でわかるものを全部集めてみました
これは『順序数』基準で作られた「宇宙」になります。
『順序数』由来なんで、かなり直観に近いです。
\begin{array}{llllll} \displaystyle V_0&=&∅ \\ \\ V_{α+1}&:=&2^{V_α} \\ \\ \displaystyle V_α&:=&\displaystyle\bigcup_{β<α}V_β & (\mathrm{limit}) \end{array}
「順序数」で作られてるんで、
作られ方は基本的に『順序数』と一緒です。
初期値はいつもの『空集合』
確実に大きくするために『冪集合』で後者を
『極限順序数』の場合だけは「前の集合全体」を
\begin{array}{llllll} \displaystyle V_0&=&∅ \\ \\ V_{α+1}&:=&2^{V_α} \\ \\ \displaystyle V_α&:=&\displaystyle\bigcup_{β<α}V_β \end{array}
まあいつもの感じですね。
余談ですが
『順序数』由来なんで『宇宙 V 』はクラスになります。
「真のクラス」です。集合じゃありません。
構成可能宇宙 Costructible
|| 人間が扱えるものだけ集めてみました
恐らく考え得る限り『最小限の宇宙』がこれ。
\begin{array}{llllll} \displaystyle L_0&:=&∅ \\ \\ L_{α+1}&:=&\{S⊆L_α\,|\,L_α⊨φ(S)\} \\ \\ L_α&:=&\displaystyle\bigcup_{β<α}L_β &(\mathrm{limit}) \end{array}
慣例では『構成可能宇宙』は「 L 」と表されます。
基本は↑の「フォン・ノイマン宇宙」と同様。
違いは 2 番目の「後者」の規則だけで
そこに『人間に扱える範囲』
という条件がかかっています。
\begin{array}{llllll} \displaystyle L_{α+1}&:=&\{S⊆L_α\,|\,L_α⊨φ(S)\} \end{array}
ちなみに『 L_α⊨φ(S) 』これの意味は
L_α の上で、命題 φ(S) が『定義可能』
つまり
「 L_α のみで」
「 S を用いた命題が定義できる」
これを保証しています。
どういうことかというと
『上から有限個で表現可能』であること
要は「全」を『単一の全という単語で表現できる』ように
「多」から「1」へ「まとめることができる」
そういうことを保証しています。
以上
数学で扱う「宇宙」についてはこんな感じです。
わりとみんな無意識に使っているので
意識してみるとちょっと面白いかもしれません。