|| 結果的に、内積をとると確率になる関数
これは『正規直交基底』の中身で、
だからこそ「確率として解釈できる」ものです。
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目次
波動関数「波っぽい確率のようななにか (?)」
波「水面とかで見るあれ」
調和振動(単振動)「バネ・振り子のあれ」
進行波「海とかで見るあれ」
定常波「その場で上下してる感じ」
波動方程式「波が満たすべき条件」
ボルンの規則「波動関数の解釈」
波動関数
|| 波っぽいし確率っぽくもある関数
これは『波っぽい性質を持つ関数』のことで、
『 2 乗すると確率になるもの』と解釈されてます。
え? とか ん? ってなると思いますが、それでOK。
正常な感覚なので、大丈夫です。
これ、結果論なので。
ともかく、ざっと説明をしていくと、
まあ具体的には↓みたいな感じ。
\begin{array}{rlc} \psi(x,t)&=a\cos(kx-ωt) \\ \\ \psi(x,t)&=ae^{i(kx-ωt)} \end{array}
\begin{array}{rlc} θ&=kx-ωt \\ \\ \psi(x,t)&=a\cosθ \\ \\ \psi(x,t)&=ae^{iθ} \end{array}
この「 \psi(x,t) 」が波動関数ってやつです。
この時点じゃ分からなくて当然なので、
とりあえず、まずは『波』について説明します。
波の基礎知識
これは『水面とかに映る形』の話ですね。
図形的には「正弦波」と「円」が基礎にきます。
はい、まあそんなわけで話を進めてくんですが、
いや、そもそも波ってなんなんでしょ?
水面にモノを落とすと広がってく感じとか、
そういうのをイメージすると思うんですが、
なにをもって波と言うのか、
その辺りの基準がよく分かりません。
目には見えますし、
直観的にどういうものかは分かります。
でも、なんかはっきりしない。
まあそんなわけなんで、
これを厳密に取り扱ってみます。
具体的には、その「形」に注目して、
『図形で表すための方法』を考えてみます。
結論から行くと、最初に言ったように
「円」と『正弦波』を使う感じになります。
その下地になるのは「フーリエ級数展開」
および「テイラー展開」です。
この辺りの詳細は省略。
まあとりあえず、
「極座標の感覚」が分かればだいたいそれでOK。
\begin{array}{rlc} x&=r\cos θ \\ \\ y&=r\sin θ \end{array}
実際にはもっと複雑なんですけど、
ベースはこの「極座標」の感覚になるので、
そんなに難しく考えなくていいです。
波と図形と数式
「波の形」を考えてみると、
『進行方向』と『振れ幅』がある
というのは、見れば直感的に分かると思います。
一応言い換えておくと、
進行方向は「横に広がっていく方向」のことで、
振れ幅は「波の高さ(振幅)」のことです。
んでここが重要なんですけど、
この2つは『同時に変わります』
つまり図形で表すなら、
これらは最低限、表現できなくてはなりません。
結論から行くと、
これは『時間』でまとめて解決します。
具体的には、『波の進行方向』を↓みたいにして、
\begin{array}{rlc} \displaystyle θ&=ωt \\ \\ x&=r\cosθ \end{array}
『振れ幅/振幅』を↓のように表現する感じ。
\begin{array}{rlc} \displaystyle θ&=ωt \\ \\ y&=r\sinθ \end{array}
ちなみに「 ω 」は『角速度』です。
意味は「 1 秒で角度が ω 変わる」って感じ。
まとめると、波の形を表す式は↓です。
\begin{array}{rlc} \displaystyle x&=r\cos θ \\ \\ y&=r\sin θ \end{array}
これが『最も単純な、波の座標を表す式』になります。
他のいろんな波は、これを変形したやつです。
というのも、
例えば「進行方向を表す x 軸」に着目して、
「波の始まり」を『原点スタートとしない』なら、
\begin{array}{rlc} \displaystyle x&=r\cos(ωt+α) \\ \\ y&=r\sin(ωt+α) \end{array}
このように、ズレ α があるので、
波の式はこういう風になるはずです。
はい、とまあ「波の座標表示」については、
単純な部分の話だとこんな感じですね。
ちなみに「 ωt+α 」は『位相』と呼ばれていて、
「 α 」は『初期位相』と呼ばれています。
この場合だと、位相の意味は「角度」ですね。
とはいえ、表したいのは円ではなく『波』です。
なので、区別するためにこう呼ぶことにしてます。
単振動/調和振動
単振動ってのは『超単純な振動』のことです。
「振動を表す最も単純な形」はこれになります。
具体的には「振り子」とか「バネ」とか、
そういう「その場での振動」の総称がこれ。
他の振動はこれをベースにして、
条件を加えたり、変形させたりして作られます。
具体的には↑で説明したやつとかがそうですね。
\begin{array}{rlc} \displaystyle x&=r\cos(ωt+α) \\ \\ y&=r\sin(ωt+α) \end{array}
これが波を最も単純に視覚化した式で、
これを基礎にして、波は説明されます。
三角関数の微分と運動方程式
「運動方程式 F=ma 」を考えてみます。
速度 v ・加速度 a を微分で求めて。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{d(\sinθ)}{dθ}&=\cosθ \\ \\ \displaystyle \frac{d(\cosθ)}{dθ}&=-\sinθ \end{array}
使うのはこの「三角関数の性質」ですね。
これを使って『座標 x の時間 t での変化』
という意味での「速度」を導いてみます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle v&\displaystyle =\frac{dx}{dt} \\ \\ &\displaystyle =r(\cos(ωt+α))^{\prime} \\ \\ \\ \displaystyle (\cos(ωt+α))^{\prime}&\displaystyle =\frac{dx}{dθ}\frac{dθ}{dt} \\ \\ &\displaystyle =(\cosθ)^{\prime}(ωt+α)^{\prime} \\ \\ &=-ω\sinθ \\ \\ &\displaystyle =-ω\sin(ωt+α) \end{array}
「加速度」は『時間 t での速度 v の変化』ですから、
\displaystyle \begin{array}{rlc} \displaystyle a&\displaystyle =\frac{dv}{dt} \\ \\ &\displaystyle =\frac{d(\frac{dx}{dt})}{dt} \\ \\ &\displaystyle =\frac{d^2x}{dt^2} \\ \\ \\ \displaystyle (-ω\sin(ωt+α))^{\prime}&=-ω(ω\cosθ) \\ \\ &\displaystyle =-ω^2\cos(ωt+α) \end{array}
こうなります。
整理すると↓
\begin{array}{rlc} \displaystyle v&\displaystyle =\frac{dx}{dt} \\ \\ &=-rω\sin(ωt+α) \\ \\ \\ \displaystyle a&\displaystyle =\frac{d^2x}{dt^2} \\ \\ &=-rω^2\cos(ωt+α) \\ \\ &=-ω^2x \end{array}
ここまで分かれば、
運動方程式を↓のように書き換えられるのが分かるかと。
\begin{array}{rlc} \displaystyle F&=ma \\ \\ &=-mω^2x \end{array}
「角速度 ω 」と「質量 m 」は定数です。
なので、まとめて『 k=mω^2 』と書かれることがあります。
\begin{array}{rlc} \displaystyle F&=-mω^2x \\ \\ &=-kx \\ \\ \\ \displaystyle ω&\displaystyle =\sqrt{\frac{k}{m}} \end{array}
整理するとこんな感じ。
余談ですが、
「角速度 ω 」は↓で定義されます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle ω&\displaystyle =\sqrt{\frac{k}{m}} \end{array}
これは「 F=ma 」を測って、
次に「位置 x 」から「 k 」を求めて、
それから角速度 ω を導くためですね。
\begin{array}{rll} \displaystyle m,a&→&ma \\ \\ ma,kx&→&k \\ \\ k,m&→&ω \end{array}
この順番じゃないと、
角速度を求めることができません。
進行波
↑は「その場での振動」の話なんですけど、
波の中には「形はそのまま」に、
『一定方向に進んでいく』ものがあります。
これはそういう『進んでいく振動』の話で、
↑の話に『進行方向を加えたもの』になります。
具体的には「進行方向の速度を考えるかどうか」
この点で単振動を拡張する感じですね。
ちなみに単振動だと、
この進行方向の速度がどの方向でも 0 になります。
それと、これは慣例ですが、
基本的に速度の方向は x 軸で考えます。
別に y 軸でも良いんですけど、
その場合だと振幅を x 軸にしますね。
その方が図にしやすいので。
ちなみに「振幅と進行方向が重なる」パターンは、
この場合を複雑にする感じです。
速度を両方の軸にベクトルで分けて考えたり、
そのために偏微分とか使ったり。
とまあ、複雑にするとそんな感じで分かりにくいので、
そっちはとりあえず考えません。
まずは「進行波」の中で『最も単純な形』を考えて、
それをベースに組み立てていきます。
↑の単振動でやった感じの要領で。
速度と周期
そのために、とりあえず「速度」を定義。
単純にするために『等速直線運動』とします。
\begin{array}{rlc} \displaystyle v \end{array}
続いて、
「1秒で1つの波が振動する回数 f 」から、
『1回振動する秒数 t_1 (周期)』を求めてみます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{1}{f}&=t_1 \end{array}
まあ、これは説明不要でしょう。
単位から意味を考えればすぐに分かるので。
波長を周期から求める
『波の1周期の長さ λ 』を、
「速度」と「振動数」で表現してみます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle vt_1&\displaystyle =\frac{v}{f} \\ \\ &=λ \end{array}
するとこんな風に、
『波の1周期の進行方向への長さ λ 』が定義できますね。
\begin{array}{rlc} \displaystyle v&=λf \\ \\ \displaystyle λ&\displaystyle =\frac{v}{f} \end{array}
これが「波長 λ 」ってやつです。
慣例では『振動数 f 』と「速度 v 」で、
このように表現されます。
周期と角速度の関係
『三角関数の周期 2π 』から、
「角速度 ω 」と「振動数 f 」は、
\begin{array}{rlc} ωt_1&=2π \\ \\ \\ \displaystyle f&\displaystyle =\frac{ω}{2π} \\ \\ ω&=2πf \end{array}
このような関係にあると考えられますが、
これ、分かるでしょうか。
パっと見で分かりにくいかもしれませんが、
けっこう大事なので分かってください。
「三角関数の周期が 2π である」ことと
『振動数 f と周期 t_1 の意味』を考えると
けっこう理解しやすいかもしれません。
角速度と位相のズレ
「波長 λ 」と「位置 x 」から、
『位置 x での位相のズレ ωt 』を導いてみます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle f&\displaystyle =\frac{ω}{2π} \\ \\ \displaystyle \frac{ω}{2π}&\displaystyle =\frac{v}{λ} \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle ω&\displaystyle =2π\frac{v}{λ} \\ \\ \displaystyle ωt_1&\displaystyle =2π\frac{vt_1}{λ} \\ \\ \\ \displaystyle ωt&\displaystyle =2π\frac{vt}{λ} \\ \\ \displaystyle ωt&\displaystyle =2π\frac{x}{λ} \end{array}
ちょっと見た目複雑ですけど、
こうなるのは特に疑問なく分かりますよね。
やってることはただの式変形ですし。
進行波の式と位相のズレ
↑が分かれば、
「進行方向を考えた時」の、
『振動を表す式』が↓みたいになるのが分かるかと。
\displaystyle ωt-2π\frac{x}{λ}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x,t)&\displaystyle =r\cos \left( ωt-2π\frac{x}{λ} \right) \end{array}
慣例では、これはよく↓のように書かれますね。
\begin{array}{rlc} \displaystyle k&\displaystyle =\frac{2π}{λ} \\ \\ \displaystyle 2π\frac{x}{λ}&=kx \end{array}
\cos θ = \cos (-θ)
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x,t)&=r\cos \left( ωt-kx \right) \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&=r\cos \left( kx-ωt \right) \end{array}
表現の仕方はなんでもいいんですけど
一応、これがベースです。
\displaystyle \psi(x,t)=r\cos \left( kx-ωt \right)
振幅も一緒くたに表現する場合は、
e^{iθ}=\cosθ+i\sinθ
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x,t)&\displaystyle =r\Bigl( \cos \left( kx-ωt \right)+i\sin \left( kx-ωt \right) \Bigr) \\ \\ &\displaystyle =re^{i \left( kx-ωt \right) } \end{array}
このように書かれたりもします。
これで波の縦と横をまとめて表現してる感じですね。
直交系ですし、一般形はだいたいこれで書かれます。
波のいろんな書かれ方
波の形っていうとだいたい↑で書かれるんですけど、
↑じゃないとダメ、ってわけではなかったりします。
というのも、
重要なのは『波の形を表せること』ですから、
その条件を満たす関数であればなんでも良いんですよ。
具体的には↓とか。
\begin{array}{llc} \displaystyle \sin(kx-ωt) \\ \\ e^{i(kx-ωt)} \end{array}
\sinθ と \cosθ の波の形なんですけど、
実は『位相が違うだけ』で全く同じ。
\displaystyle \sinθ=\cos\left( θ+\frac{π}{2} \right)
なので「波の形」を数式で表す時、
『初期位相が違うだけ』ですから、
↓のように書いても特に問題がなかったり。
\displaystyle \psi(x,t)=r\sin \left( kx-ωt \right)
というのも、
これも波の形をちゃんと表現できてるじゃないですか。
てことは、これも「波の形を表す式」って言えますよね。
なんでこの話をするのか。
疑問に思った人がいると思いますが、
実はこれ、けっこう重要なんですよ。
というのも実はこれ、
書かれ方があんまり統一されてなくて、
どれが一番見る、みたいなものが無いんです。
\begin{array}{rlc} \displaystyle y&=A\sin(ωt-α) \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&\displaystyle =r\sin \left( ωt-kx \right) \end{array}
どういうことかというと、
例えばこんな書き方を採用してる人もいれば、
\begin{array}{rlc} \displaystyle y&=r\sin(ωt-kx) \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&\displaystyle =A\cos \left( ωt-kx \right) \end{array}
こんな書き方を採用してる人もいて、
文献によって違うんです。
なので、計算結果が違ったりもします。
とまあそんな感じなので、
ごちゃごちゃしないようにこの話をしておきました。
まとめると、
↓は全部、単に『波の形を表現したい』だけ。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x,t)&=r\cos \left( kx-ωt \right) \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&=r\sin \left( kx-ωt \right) \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&=r\sin \left( ωt-kx \right) \\ \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&\displaystyle =re^{i \left( kx-ωt \right) } \end{array}
これらはぜんぶ違うものですけど、
『役割は同じ』
ちなみに、これが『波動関数』の中身になります。
詳しい話は後述。
まとめると、波の基本形は↓
\begin{array}{llc} \displaystyle r\sin θ \\ \\ \displaystyle r\cos θ \\ \\ \displaystyle r\,e^{iθ} \end{array}
時間の変化「 t 軸でのずらし」を考えると↓
\begin{array}{llc} \displaystyle \sin ωt \\ \\ \displaystyle r\,e^{iωt} \end{array}
進行方向の速度による変化、
x 軸/位相のズレを考えると↓
\begin{array}{llc} \displaystyle r\sin (ωt-kx) \\ \\ \displaystyle r\,e^{i(ωt-kx)} \end{array}
図は、基本的に t が横軸で、
x,y,z を縦軸にして考えます。
定常波
こいつはあれです。
その場でうにょんうにょんする感じのやつです。
分類としては「合成波」ってやつで、
これは、その中でも特殊なやつになります。
具体的には、
例えば「進行方向の速度が真逆」な
2つの波の合成波とかがこれ。
見た目は『その場で上下に動いている』感じですね。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi_{\mathrm{right}}(x,t)&\displaystyle =r\sin 2π\frac{x-vt}{λ} \\ \\ \displaystyle \psi_{\mathrm{left}}(x,t)&\displaystyle =r\sin 2π\frac{x+vt}{λ} \end{array}
\begin{array}{llc} \displaystyle \psi_{\mathrm{right}}(x,t)+\psi_{\mathrm{left}}(x,t) \\ \\ \displaystyle =r\sin 2π\frac{x-vt}{λ}+r\sin 2π\frac{x+vt}{λ} \end{array}
定常波を表す式については、
まあこんな感じになります。
で、この式なんですけど、
実は変形するとけっこう面白い形に。
というのも、↓みたいに
『変数を分離』することができちゃったりします。
\begin{array}{rlc} \psi(x,t)&=\psi(x)\phi(t) \end{array}
まあこう言われてもよく分かんないと思うので、
とりあえず変形してみますね。
使うのは三角関数の加法定理です。
\begin{array}{llc} \displaystyle r\sin 2π\frac{x-vt}{λ}&\displaystyle +r\sin 2π\frac{x+vt}{λ} \\ \\ \displaystyle \sin \left( \frac{2π}{λ}x-\frac{2π}{λ}vt \right) &\displaystyle +\sin \left( \frac{2π}{λ}x+\frac{2π}{λ}vt \right) \\ \\ \\ \displaystyle \sin \left( kx-kvt \right) &\displaystyle +\sin \left( kx+kvt \right) \\ \\ \displaystyle \sin \left( kx-ωt \right) &\displaystyle +\sin \left( kx+ωt \right)\end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle k &\displaystyle =\frac{2π}{λ} \\ \\ kv&=ω \end{array}
まず式を整理するとこう。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \sin(α-β)&=\sinα\cosβ-\cosα\sinβ \\ \\ \displaystyle \sin(α+β)&=\sinα\cosβ+\cosα\sinβ \\ \\ \\ \displaystyle \sin \left( kx-ωt \right)&=\sin kx\cos ωt-\cos kx\sin ωt \\ \\ \displaystyle \sin \left( kx+ωt \right)&=\sin kx\cos ωt+\cos kx\sin ωt \end{array}
で、加法定理はこうなので、
\begin{array}{llc} \displaystyle \sin \left( kx-ωt \right)+\sin \left( kx+ωt \right) \\ \\ \displaystyle =2\sin kx\cos ωt \\ \\ \\ \\ \displaystyle r\sin 2π\frac{x-vt}{λ}+r\sin 2π\frac{x+vt}{λ} \\ \\ \displaystyle =r2\sin kx\cos ωt \\ \\ \\ \displaystyle =2r \textcolor{pink}{\sin kx} \textcolor{skyblue}{\cos ωt} \end{array}
整理するとこうなります。
これ、シュレーディンガー方程式の
『時間』の話で使うので、覚えておいてください。
波動方程式
|| 波だったら満たしてるはずの条件
これは三角関数の性質がだいたいメインのやつで、
「波形が満たす条件」って感じのものになります。
「 \psi(x,t) が波形なら↓を満たすよ」って感じで、
『 \psi(x,t) の性質を限定する』のがメインの役割ですね。
\displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial t^2}=u^2\frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial x^2}
最小作用の原理と似た感じです。
「 \psi(x,t) が波形」なら、これを必ず満たします。
導出は単純。
「波の式」を偏微分するだけです。
波形だからこうなる、という感覚は、
計算してみると実感できるかと。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{d}{dθ}\sinθ&\displaystyle =\cosθ \\ \\ \displaystyle \frac{d^2}{dθ^2}\sinθ&\displaystyle =\frac{d}{dθ}\cosθ \\ \\ &=-\sinθ \\ \\ \\ \displaystyle \sinθ&\displaystyle =-\frac{d^2}{dθ^2}\sinθ \end{array}
まあ「波形」と言うよりは、
「三角関数」のこの感覚なんですけど、
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x,t)&\displaystyle =r\sin \left( ωt-\frac{2π}{λ}x \right) \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&=r\sin \left( ωt-kx \right) \\ \\ \\ \displaystyle θ&=ωt-kx \\ \\ \displaystyle \psi(θ)&=r\sin θ \end{array}
↑で言っていた「速度」については、
『位相』を考えないと出てきません。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial \psi(x,t)}{\partial t}&\displaystyle =r\frac{\partial}{\partial θ}(\sinθ)\frac{\partial}{\partial t}(ωt-kx) \\ \\ &=rω\cosθ \\ \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial t^2}&=rω(ω(-\sinθ)) \\ \\ &=-rω^2\sinθ \\ \\ \\ \displaystyle -r\sinθ&\displaystyle =\frac{1}{ω^2}\frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial t^2} \end{array}
というのも、
波だと微分するとこんな感じになって、
位相の係数が出てくるんですよね。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial \psi(x,t)}{\partial x}&=r\cosθ\,(-k) \\ \\ &=r(-k)\cosθ \\ \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial x^2}&=r(-k)^2(-\sinθ) \\ \\ &=-rk^2\sinθ \\ \\ \\ \displaystyle -r\sinθ&\displaystyle =\frac{1}{k^2}\frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial x^2} \end{array}
で、 x の偏微分だとこうなるので、
\begin{array}{rlc} \displaystyle -r\sinθ&\displaystyle =\frac{1}{ω^2}\frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial t^2} \\ \\ \displaystyle -r\sinθ&\displaystyle=\frac{1}{k^2}\frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial x^2} \\ \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =\frac{ω^2}{k^2}\frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial x^2} \end{array}
係数を整理すると↓みたいになります。
\begin{array}{rlc} \displaystyle ω&=ku \\ \\ \displaystyle\frac{ω}{k}&=u \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =u^2\frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial x^2} \end{array}
これが波動方程式です。
最後、念のために係数を確認しておきましょうか。
\begin{array}{rlc} \displaystyle k &\displaystyle =\frac{2π}{λ} \\ \\ kv&=ω \\ \\ \\ \displaystyle v&\displaystyle =\frac{ω}{k} \\ \\ \displaystyle u&\displaystyle =\frac{ω}{k} \end{array}
はい、見ての通りですね。
u は速度を意味しています。
3次元の波動方程式
『式の意味』は大して変わりません。
「1方向」が「3方向」になっただけです。
全微分・偏微分が分かってればすぐに分かります。
というのも、座標を q=(x,y,z) とすれば、
3次元の波動方程式は↓みたいな、予想できる形に。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =u^2\left( \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial x^2}+\frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial y^2}+\frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial z^2} \right) \\ \\ &\displaystyle =u^2\left( \frac{\partial^2 }{\partial x^2}+\frac{\partial^2 }{\partial y^2}+\frac{\partial^2 }{\partial z^2} \right)\psi(q,t) \end{array}
特徴的な部分を↓のようにまとめれば、
\begin{array}{rrl} &\displaystyle \nabla&\displaystyle =\frac{\partial }{\partial x}+\frac{\partial }{\partial y}+\frac{\partial }{\partial z} \\ \\ \displaystyle \Delta&\displaystyle =\nabla・\nabla &\displaystyle =\frac{\partial^2 }{\partial x^2}+\frac{\partial^2 }{\partial y^2}+\frac{\partial^2 }{\partial z^2} \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =u^2\Delta \psi(q,t) \end{array}
まあこうなるだけで、
やってることは1方向のやつと大差ありません。
違いは「全微分・偏微分」の部分だけで、
それ以外には特に無いです。
3次元の波動方程式の導出
よく見る波動方程式の一般形なので、
一応、ちゃんとやっておきます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x,y,z,t)&=\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle \psi(q,t)&=r\sin(ωt-kq) \end{array}
q は『ベクトル』だと考えましょう。
中身の意味はどれも「位置」です。
続いて、それぞれ1次元の進行波の速度が
位相をずらすことを考慮してみます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle λ&\displaystyle =\sqrt{λ_{x}^{2}+λ_{y}^{2}+λ_{z}^{2}} \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(q,t)&\displaystyle =r\sin\left(ωt-2π\frac{x}{λ_x}\right) \\ \\ \displaystyle \psi(q,t)&\displaystyle =r\sin\left(ωt-2π\frac{x}{λ_x}-2π\frac{y}{λ_y}\right) \\ \\ \displaystyle \psi(q,t)&\displaystyle =r\sin\left(ωt-2π\frac{x}{λ_x}-2π\frac{y}{λ_y}-2π\frac{z}{λ_z}\right) \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle k&\displaystyle =\sqrt{k_{x}^{2}+k_{y}^{2}+k_{z}^{2}} \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(q,t)&\displaystyle =r\sin\Bigl(ωt-(k_x x+k_y y+k_z z)\Bigr) \end{array}
すると、こんな感じになるのが分かるかと。
で、これを更に「偏微分」して、
波動方程式の形に近付けていくと、
\begin{array}{rlc} \displaystyle θ&\displaystyle =\Bigl(ωt-(k_x x+k_y y+k_z z)\Bigr) \end{array}
\begin{array}{rlc}\displaystyle \frac{\partial θ}{\partial t}&=ω \\ \\ \displaystyle\frac{\partial θ}{\partial x}&=k_x\end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial \psi(q,t)}{\partial t}&=rω\cosθ \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2}&=-rω^2\sinθ \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2}&=-ω^2\psi(q,t) \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial x^2}&=-k_{x}^{2}\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial y^2}&=-k_{y}^{2}\psi(q,t) \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial z^2}&=-k_{z}^{2}\psi(q,t) \end{array}
こうなるのは明らかですから、
↓のように書けますよね。
\begin{array}{rlc} \displaystyle q&=\begin{pmatrix} x&y&z \end{pmatrix} \\ \\ \displaystyle \frac{\partial }{\partial q}&=\begin{pmatrix} \displaystyle\frac{\partial }{\partial x}&\displaystyle\frac{\partial }{\partial y}&\displaystyle\frac{\partial }{\partial z} \end{pmatrix} \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 }{\partial q^2}&=\begin{pmatrix} \displaystyle\frac{\partial^2 }{\partial x^2}&\displaystyle\frac{\partial^2 }{\partial y^2}&\displaystyle\frac{\partial^2 }{\partial z^2} \end{pmatrix} \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial q^2}&\displaystyle =\frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial x^2}+\frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial y^2}+\frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial z^2} \\ \\ &\displaystyle =-(k_{x}^{2}+k_{y}^{2}+k_{z}^{2})\psi(q,t) \end{array}
後は『長さ \sqrt{q・q}=\sqrt{x^2+y^2+z^2} 』を考えて
変数をまとめれば、
\begin{array}{llc} k_{x}^{2}+k_{y}^{2}+k_{z}^{2} \\ \\ =\displaystyle (2π)^2\left(\left(\frac{x}{λ_x}\right)^2+\left(\frac{y}{λ_y}\right)^2+\left(\frac{z}{λ_z}\right)^2\right) \\ \\ \displaystyle =(2π)^2\left(\frac{q・q}{λ^2}\right) \\ \\ \displaystyle =k^2 \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial q^2}&=-k^{2}\psi(q,t) \end{array}
1次元の時の形と似た感じに。
となれば、やることは一緒。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(q,t) &\displaystyle =-\frac{1}{k^2}\frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial q^2} \\ \\ \displaystyle \psi(q,t)&\displaystyle =-\frac{1}{ω^2}\frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2} \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle -\frac{1}{ω^2}\frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =-\frac{1}{k^2}\frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial q^2} \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =\frac{ω^2}{k^2}\frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial q^2} \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(q,t)}{\partial t^2}&=\displaystyle u^2\frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial q^2} \\ \\ &\displaystyle=u^2\left( \frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial x^2}+\frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial y^2}+\frac{\partial^2\psi(q,t)}{\partial z^2} \right) \end{array}
はい、できました。
見た目はすごいややこしいですけど、
言ってることはけっこう単純です。
なので、そんな難しく考えないように。
定常波の波動方程式
「波動方程式に定常波の式を入れる」と、
『時間の変数』を排除することができます。
詳しい話はさておいて、
とりあえず求めてみましょうか。
そのために、定常波の式を確認しておきます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(x,t)&=2r \sin kx\cos ωt \\ \\ \\ \displaystyle \phi(x)&=2r \sin kx \\ \\ \displaystyle \psi(x,t)&=\phi(x)\cos ωt \end{array}
ごちゃつくので略記しておきましょうか。
で次、偏微分してみます。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial \psi(x,t)}{\partial t}&\displaystyle =-\phi(x)ω\sin ωt \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =-\phi(x)ω^2\cos ωt \\ \\ \\ \displaystyle \frac{\partial \psi(x,t)}{\partial x}&\displaystyle =\cos ωt\frac{\partial \phi(x)}{\partial x} \\ \\ \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial x^2}&\displaystyle =\cos ωt\frac{\partial^2 \phi(x)}{\partial x^2} \end{array}
変数を別々に分けてるので、
偏微分すると↑みたいになるのはすぐに分かるかと。
準備はこれで完了。
さっそく「波動方程式」に入れてみましょうか。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \frac{\partial^2 \psi(x,t)}{\partial t^2}&\displaystyle =u^2\frac{\partial^2\psi(x,t)}{\partial x^2} \\ \\ \displaystyle -ω^2\phi(x)\textcolor{skyblue}{\cos ωt}&\displaystyle =u^2\textcolor{skyblue}{\cos ωt}\frac{\partial^2 \phi(x)}{\partial x^2} \\ \\ \displaystyle -ω^2\phi(x)&\displaystyle =u^2\frac{\partial^2 \phi(x)}{\partial x^2} \end{array}
\begin{array}{rlc} \displaystyle ω^2\phi(x)+u^2\frac{\partial^2 \phi(x)}{\partial x^2}&=0 \\ \\ \displaystyle \frac{ω^2}{u^2}\phi(x)+\frac{\partial^2 \phi(x)}{\partial x^2}&=0 \\ \\ \\ \displaystyle \frac{k^2u^2}{u^2}\phi(x)+\frac{\partial^2 \phi(x)}{\partial x^2}&=0 \\ \\ \displaystyle k^2\phi(x)+\frac{\partial^2 \phi(x)}{\partial x^2}&=0 \end{array}
するとこのように、
時間の変数を排除できますよね。
言い方を変えるなら、
定常波の波動方程式は時間に依存しない
とも言えるわけですが、
まあ、この時点では
で? って感じだと思います。
よく分からないと思いますが、
結論だけ言っておくと、
これは「シュレーディンガー方程式の発想」に繋がるもので、
かなり重要なものなんですよ。
なのでとりあえず、ぼんやり覚えておいてください。
詳しい話は後でします。
波動関数の中身
波動関数の具体的な中身は、
「波の形を表す関数 \psi(q,t) 」になります。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \psi(q,t)&=A\sin (ωt-kq) \\ \\ \displaystyle \psi(q,t)&=A\cos (ωt-kq) \\ \\ \displaystyle \psi(q,t)&=Ae^{i(ωt-kq)} \end{array}
定常波の場合だと↓
\begin{array}{rlc} \displaystyle \displaystyle \phi(x)&=2r \sin kx \\ \\ \\ \displaystyle \psi(q,t)&=\phi(q)\cos ωt \\ \\ \displaystyle \psi(q,t)&=\phi(q)\,e^{iωt} \end{array}
数式はこんなですけど、
『正規直交系から』↑が導かれた、
と考える方が順番は正しいですね。
正確には『確率としての解釈』が重要で、
「結果的にこうすると都合が良い」から、
波を表す式で書かれている、という感じです。
まあ要は『必要』が先なわけで、
波形で書かれるのは、その結果になります。
なので、これが「意味するもの」だとか、
「そもそもの正体」だとか、
そういうのは、
『確かなことは分からない』ってのが答え。
単に「計算で必要になるもの」程度に思っておけば、
それが一番答えに近いです。
それ以上を考えるにしても、
分かることは『必要になった理由』くらいで、
それ以上は特にわかりません。
『波の形を表す関数で書かれる』こと。
『内積をとると確率になる』こと。
これらは確かなことなんですけど、
すぐに分かるのはここまで。
まあつまり、
『シュレーディンガー方程式の意味』とか、
『正規直交系の確率解釈』とか、
この辺りが結果的に意味を持たせてるだけで、
それらは「後付け」に過ぎないんです。
このあたり、現時点じゃよく分かんないと思うので、
とりあえずここでは聞き流しておいてください。
ボルンの規則(確率解釈)
|| 確率と正規直交系とその内積
これは『波動関数の解釈の1つ』です。
内容については↓みたいな感じ。
『波動関数』は「絶対値を 2 乗」すれば、
その値が『粒子の存在確率』になる関数である。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \int_a^b |\psi(x)|^2\,dx&=P(x) \\ \\ \displaystyle \int \psi^{*}(x)\psi(x)\,dx&=\langle \psi (x) | \psi (x) \rangle \end{array}
これだけみると ん? ってなりますが、
これ、順を追って考えてみると
確かにこうなるな、ってなります。
って言われてもよく分かんなくて当然なので、
とりあえず順番に説明していきましょうか。
『方程式の意味』『正規直交系』
『確率解釈』『内積』『展開係数』
この辺りがキーワードです。
シュレーディンガー方程式の意味
まず『方程式の意味』についてですが、
これはざっと書くと↓みたいな感じに。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \hat{H}\psi(x)&=E\psi(x) \\ \\ \psi^*(x)\hat{H}\psi(x)&=\psi^*(x)E\psi(x) \\ \\ \\ \displaystyle\int \psi^*(x)E\psi(x)\,dx&=\displaystyle \int E\psi^*(x)\psi(x)\,dx \\ \\ &=\overline{E} \end{array}
『期待値を算出することにする』っていう、
『意味のある計算結果を得られるようにする』手順で
自然とこういう形が導かれます。
大雑把には↓のような流れで。
『複素関数』→『実数値へ(内積で)』
『連続値』→『確率を求める』
\begin{array}{rll} \displaystyle \psi(x)&→&\psi^*(x)\psi(x) \\ \\ \psi^*(x)\psi(x)&→&\displaystyle \int \psi^*(x)\psi(x) \,dx \end{array}
↑の操作は、これを「実現するため」の、
「具体的なやり方の1つ」になります。
↑は最もシンプルなやり方です。
ただ、あくまで1つのやり方に過ぎません。
複雑にすれば、他にもやり方は見つかります。
とはいえ、わざわざ複雑にする意味は特にありません。
なので、とりあえずこれを採用して考えてみる
というのが一連の流れだと考えてください。
このあたり、詳しい話は後述。
「シュレーディンガー方程式」の項目でやります。
今はとりあえず飲み込んでおきましょう。
期待値と確率と波動関数
基礎方程式の計算結果は↑みたいにしたいので、
『そのために必要なこと』が出てくるってのは、
なんとなーく分かると思います。
この場合だと、
特に分かりやすいのは、
\begin{array}{rlc} \displaystyle \int_{\mathrm{all}} \psi^*(x)\psi(x)\,dx&=1 \end{array}
『期待値』ですから、
こうする必要があるのは想像できると思います。
繰り返すと、『期待値』ですから、
この部分は『確率として解釈する必要』がありますよね。
念のため、
軽く期待値の意味を確認しておきましょうか。
\begin{array}{rlc} \overline{E}&\displaystyle =\frac{1}{2}E_1+\frac{1}{2}E_2 \\ \\ 1&\displaystyle =\frac{1}{2}+\frac{1}{2} \\ \\ \\ \displaystyle \overline{E}&\displaystyle =\sum^{n}_{i=1}E_ip_i \\ \\ &=E_1p_1+E_2p_2+E_3p_3+\cdots \\ \\ 1&=\displaystyle \sum_{i=1}^{n}p_i \\ \\ \\ \displaystyle \overline{E}&\displaystyle =\int_{\mathrm{all}} E(x)p(x) \,dx \\ \\ 1&=\displaystyle \int_{\mathrm{all}} p(x) \,dx \end{array}
とまあこんな感じなので、
\begin{array}{rlc} \displaystyle \int_{\mathrm{all}} \psi^*(x)\psi(x)\,dx&=1 \end{array}
『期待値であると解釈したい』のなら、
これをこうしたいのっては、
まあ当然の要求ですよね。
\begin{array}{rlc} \displaystyle \int_{\mathrm{all}} \psi^*(x)\psi(x)\,dx&=\langle \psi (x) | \psi (x) \rangle \end{array}
ちなみに話は変わりますが、この↑の形は
「内積の形と見る」根拠にもなっています。
この辺り、今はとりあえず
そうなんだ、くらいに思っておけばOK。
何が嬉しいかは後で分かります。
とりあえず、なんとなく覚えておきましょう。
展開係数と確率解釈
「展開係数」の確認からしてみましょうか。
詳しい話は前にしてるので、忘れたのなら確認を。
\begin{array}{rlc} \psi(x)&\displaystyle =\sum_{i=1}^{n} c_i \psi_i(x) \\ \\ \\ \displaystyle \int \psi^*(x)\psi(x)\,dx &=\displaystyle \sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n} c_{i}^{*}c_j δ_{ij} \\ \\ &=\displaystyle \sum_{i=1}^{n} |c_{i}|^{2} \\ \\ &=1 \end{array}
前に語ったように、
これは『確率として解釈することができる』ものです。
加えて、これは↓のように書けるわけですから、
\begin{array}{rlc} \displaystyle \int \psi^*(x)\psi(x)\,dx &=\displaystyle \sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n} c_{i}^{*}c_j δ_{ij} \\ \\ \\ \displaystyle \sum_{i=1}^{n}x_i|c_{i}|^{2}&=\overline{x} \\ \\ \displaystyle \sum_{i=1}^{n}|c_{i}|^{2}&=1 \end{array}
この場合の↓の役割は、
\begin{array}{rlc} \displaystyle \int\psi^{*}(x)\psi(x)\,dx &= \displaystyle \sum_{i=1}^{n}|c_{i}|^{2} \end{array}
『位置 x になる確率である』と、
そのように「解釈することが可能」ですよね?
んで、この意味を考えてみると、
『位置 x になる確率』なわけですから、
「存在確率」と、そう言い換えても良くないですか?
とまあ、要はそんな感じ。
まとめると、
\begin{array}{rlc} \psi(x)&\displaystyle =\sum_{i=1}^{n} c_i \psi_i(x) \\ \\ \displaystyle \int \psi^*(x)\psi(x)\,dx &=\displaystyle \sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n} c_{i}^{*}c_j δ_{ij} \\ \\ &= \displaystyle \sum_{i=1}^{n}|c_{i}|^{2} \\ \\ \\ \overline{x}&=\displaystyle \sum_{i=1}^{n}x_i|c_{i}|^{2} \end{array}
波動関数と展開係数の関係から、
『存在確率として解釈できる』ので、
これを規則としてしまおう、みたいな、
そういう流れで「ボルンの規則」は生まれたんですね。