|| 基礎 (底) がある感じの集合
辿ると最終的に『空集合』に行き着く集合のこと。
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基本は『整礎関係』の話ですね。
これはその「集合での表現」になります。
「実現したいこと」は1つ。
『基礎が欲しい』
\begin{array}{llllll} \displaystyle ∅&:=&\{\} \end{array}
その具体的な中身として便利そうなのが「空集合」で
\begin{array}{llllll} \displaystyle &&&&&&&& α&∈&α+1 \\ \\ ∅&∈&1&∈&2&∈&…&∈&α&∈&α+1 \end{array}
『基礎がある』っていう表現のために
その「下方向」を判別できる「帰属関係」なんかが採用され
\begin{array}{llllll} \displaystyle ∅&∈&1&∈&2&∈&…&∈&α&∈&α+1 \end{array}
結果として
↑ を満たすような「集合 α 」を用意すると
『正則性』が生まれる、と。
これはまあ、感覚的にはこんな感じの話です。
0 みたいなのがある集合(自然数)の話とも言えます。
定義
『整礎的集合 V_α 』もまた定義は再帰的です。
「初期値」「再帰処理」「特別な事例」で定義されています。
\begin{array}{llllll} \displaystyle V_0&=&∅ \\ \\ \displaystyle V_{α+1}&=&2^{V_α} \\ \\ \displaystyle V_α&=&\displaystyle \bigcup_{β<α}V_β \end{array}
V の由来は下から上に広がってく感じか
あるいはフォン・ノイマンの名前から来ている感じで
それ自体には特に意味はありません。
・初期値
「空集合」を初期値として設定
\begin{array}{llllll} \displaystyle V_0&=&∅ \end{array}
これは『実用的な集合論』の核の一つになります。
・再帰処理
グロタンディーク宇宙の構造を
\begin{array}{llllll} \displaystyle V_{α+1}&=&2^{V_α} \end{array}
冪集合の定義より
確実に『 V_α∈V_{α+1} 』ですから
この関係が成立する場合、上下を明確に定義できます。
・特殊パターン
α が「極限順序数」のときの処理
\begin{array}{llllll} \displaystyle V_α&=&\displaystyle \bigcup_{β<α}V_β \end{array}
これも普通の話です。
\begin{array}{llllll} \displaystyle ω&=&\{0,1,2,3,4,5,6,...\} \\ \\ &=&\displaystyle \bigcup_{n<ω}n \end{array}
具体的にはこういう話なので。
集合の階数 Rank
|| 下地と次の決まりから
『整礎的集合』には「階層」を定義できます。
\begin{array}{llllll} \displaystyle \mathrm{rank}(V_x)&=&\mathrm{sup}\{α\,|\,V_x∈V_{α+1}\} \end{array}
それをこんな感じに書いたりするんですけど
まあ初見じゃ意味不明。とりあえず今はスルーで。
\begin{array}{llllll} x&∈&\{x\} \\ \\ \displaystyle V_α&∈&V_{α+1} \end{array}
ともかく、例えばこれは確実にこうですから、
少なくとも上下ははっきりと存在していて
だからこそ「その階層を表す数」は定義できるので
こういう考え方が使われることがあるわけです。
中身の定義
初期値は『 0 階層目』
それ以降は「 +1 」で表現され
\begin{array}{llllll} \displaystyle \mathrm{rank}(∅)&=&0 \\ \\ \mathrm{rank}(\{∅,\{∅\}\})&=&1 \end{array}
「極限順序数 ω 」に至った後は
\begin{array}{llllll} \displaystyle ω&∈&\{ω,\{ω\}\} \end{array}
こういうのを「 ω+1 」と表現します。
\begin{array}{llllll} \displaystyle 0,1,2,3,4,...,ω,ω+1,... \end{array}
まあつまり
階数の中身は「見慣れてる数」です。
(厳密には『順序数』)
階数の表現方法
『整礎的集合を V_x 』としてみます。
\begin{array}{llllll} \displaystyle V_x&∈&V_{α} \end{array}
そしてこれが分かるとすると
\begin{array}{llllll} \displaystyle \mathrm{rank}(V_x)&=&x&≤&α \end{array}
階数がこうであることは直感的に分かりますよね。
ただまあ、これはあくまで「有限」の範囲の話。
「無限」が絡む場合にどうなるのかはよく分かりません。
しかし『無限にも階層がある』ことは
「カントールの定理」より明らか。
つまり『階層が存在する』ので
「無限」が絡むパターンであったとしても
『階数 \mathrm{rank}(V_x)=x 』を定義することは可能です。
で、じゃあ具体的にどうすんの?って話なんですが
その1つの解答が ↓ なんですよ。
\begin{array}{llllll} \displaystyle α&∈&\mathrm{Ordinal \,\, Number} \end{array}
\begin{array}{llllll} \displaystyle \mathrm{rank}(V_x)&=&\mathrm{sup}\{α \mid V_x∈V_{α+1}\} \end{array}
記号があれでパッとは分かりにくいかもしれませんが
\begin{array}{llllll} \displaystyle \begin{array}{llllll} \displaystyle x&∈&α &&→&& \mathrm{rank}(x)&<&\mathrm{rank}(α) \end{array} \end{array}
言ってることはこういうことなので
まあ普通の話です。
ちなみに \mathrm{sup} は『上限』を選択する記号で
\begin{array}{llllll} \displaystyle \mathrm{rank}(V_ω)&=&\mathrm{sup}\{0,1,2,3,4,5,6,...,ω\} \\ \\ &=&ω \end{array}
この場合の『上限』は ω ですから
階数は ω ということになります。
以上、階数に関してはこんな感じ。
知らなくても特に問題はありませんが、
ちょくちょく見かけるのでなんとなく覚えておきましょう。
「集合」の『順序数への変換』
それによる『大小の比較』とか
「基数の定義」とかで使われたりするので。